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ジェイムス・ミラー
クリス・ウォレル

James Miller & Chris Worrell (オーストラリア)



ジェイムス・ミラーの著作

 1976年の暮れから翌2月にかけて、南オーストラリア州アデレード近郊トルロで頻発した連続殺人事件、いわゆる「トルロ・キラー」事件は奇妙な結末を迎えた。この事件はジェイムス・ミラークリス・ウォレルのチームにより引き起こされたものだったのだが、1977年2月19日の自動車事故により、相方のウォレルが死んでしまったのだ。同乗していた女性(おそらく7人目の犠牲者)も死亡。ミラーも重傷を負ったが一命は取り留めた。そして、その2年後の1979年5月、タレ込みによりミラーが逮捕されたのである。
 当然の如く、ミラーはすべての罪を相方のウォレスに押しつけた。

「あれは1976年のクリスマス・イブのことだった。俺たちはアデレードで1人の女を拾い、トルロ山中に向かった。ウォレルが女とヤリたがっていたので、俺は気をきかせて席を外した。一服して戻ってみると、女は既に死んでいた。急に殺したくなったんだそうだ。俺たちは女を捨てるとトンズラした。そんなこんなであいつが6人を殺したんだ。俺は死体を捨てるのを手伝っただけだ。俺は無実なんだよ」

 随分と虫がいい話である。仮にそうだとしても、どうして最初の1件で止めなかったのか? 彼自身も殺しを楽しんでいたのではなかったか? 陪審員もそのように判断を下し、6件の殺人で有罪を評決。ミラーには終身刑が云い渡された。

 ミラーはその後も無罪を主張し続け、『Don't Call Me Killer !』という本まで出版しているが、再審の道が開けることはないだろう。

(2009年3月7日/岸田裁月) 


参考文献

『連続殺人紳士録』ブライアン・レーン&ウィルフレッド・グレッグ著(中央アート出版社)


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