『LUSTMORD : The Writings and Artifacts of Murderers』という本がある。副題の通りに、殺人者が書いたり描いたり造ったりしたものを集めた本だ(『平気で人を殺す人たち』という邦題が残念)。その中で私がひときわ感銘を受けたのが、デレク・エドワードソン(31)が殺人の後に書いた手紙である。
1957年8月31日、
ところはロンドン。デレク・エドワードソンは4歳のエドウィナ・テイラーを姦淫目的で殺害した。彼はこれまでに5歳の少女への性的虐待を含む様々な罪で8回の有罪判決を受けていた。
間もなく指名手配されたエドワードソンの顔写真がテレビで公開された。左の頬に傷があるのが特徴だ。観念したエドワードソンは2日後の9月9日に出頭した。
警察は事件後、エドワードソンの職場に残されていた仕事着から以下の手紙を発見していた。
「俺は4歳のエドウィナ・テイラーを殺した。俺のアパートに誘い込み、死後に犯そうと思って絞め殺した。だが、すぐに気づいた。俺はどこかの誰かが愛しているに違いない人間を殺してしまったんだと。俺は自分自身を恥じた。彼女の死体は地下の石炭貯蔵庫に放り込んだ。まだそこにある筈だ。腐った死体の臭いを忘れることが出来ない。今夜、自首するつもりだ。だが、俺は彼女にイタズラはしていない」
つまり、それまで鬼畜だったエドワードソンは、殺人を犯すことによって人間性を取り戻したのだ。こういうこともあるのだ。
なお、罪を認めたエドワードソンには終身刑が云い渡された。
(2009年12月4日/岸田裁月) |