1988年2月18日、ミネソタ州ロチェスター在住のデヴィッド・ブロムという16歳の少年が、家族を斧で殺害した容疑で逮捕された。
バーナード・ブロム(41・父)
ポーレット・ブロム(40・母)
ダイアン・ブロム(14・妹)
リック・ブロム(9・弟)
動機は「彼が愛聴していた音楽を父に咎められたから」。それぐらいのことで皆殺しにするかねえ。しかも斧で。近隣住人は訝しんだ。
事件後まもなく「ネガティヴランド」というサウンド・コラージュ・バンドが、彼らの楽曲『Christianity Is Stupid(キリスト教は馬鹿げている)』がデヴィッド・ブロムの事件と関係しているために圧力が掛かり、ツアーを中止せざるを得なくなった旨を声明した。このニュースはローカル局に留まらず、CBSの全国ネットでも取り上げられた。
いわゆる「サブリミナル効果」という奴か? この曲を聞いたために家族を皆殺しにしたってか?
近隣住人は得心したが、実はこのニュースは嘘っぱちだった。「ネガティヴランド」の声明はジョークだったのだ(と同時に売名でもあった)。
結局、デヴィッド・ブロムの詳しい動機は判っていない。終身刑を宣告された彼は、現在もなお服役中である。近年の写真はネット上で見ることが出来るが、だいぶ太っている。
(2011年1月15日/岸田裁月) |