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ボーイ・イン・ザ・ボックス事件
The Boy in the Box (アメリカ)



当時の手配書


発見現場

 1957年2月25日、ペンシルベニア州フィラデルフィアの農道脇で少年の遺体が発見された。4〜6歳、全裸で、頭髪を短く刈られた少年は、毛布に包まれて、JCペニーで販売された揺りかごの段ボール箱に入れられた状態で遺棄されていた。見るからに栄養不良で、痣だらけ傷だらけのこの少年が体罰の末に死亡したことは明らかだった。

 事件はマスコミにより大々的に報じられ、街中の公共施設に手配写真が貼られたが、少年の身元は遂に割れなかった。そして「ボーイ・イン・ザ・ボックス」という呼称の強烈なインパクトゆえに、今日でもアメリカの最も有名な未解決事件の一つに数えられている。

 他の未解決事件と同様に、本件においてもいくつもの仮説が唱えられているが、米ウィキペディアによれば以下の2つが近年、注目されたという。

 1つは、発見現場から1.5マイルほど離れた孤児院にまつわるものである。
 1960年、レミントン・ブリストウという監察医務院の職員が、個人的にニュージャージーの「超能力者」にお伺いを立てたところ、彼女が透視した家の特徴がその孤児院と一致した。念のために彼女を発見現場に呼び寄せると、やはりその孤児院へと導いたという。
「超能力者」が出て来た時点で眉唾だが、とりあえず話を進めよう。
 その孤児院が売りに出された際に中を調べたプリストウは、JCペニーで売られていたものと同じ揺りかごを発見した。また、物干しには少年が包まれていたのとよく似た柄の毛布が掛けられていた。かくして彼は、孤児院を経営していた男の継娘が生んだ私生児が件の少年に違いないと確信するに至った…。
 JCペニーはアメリカ最大手のデパートであり、どの街にもあることで知られている。同じ揺りかごがあったからといって断定するのは些か早計である。毛布もよくある柄で、似たものがあったとしても不思議ではない。
 1998年に元孤児院経営者と継娘は一応、取調べを受けたが、結局、無関係ということで孤児院捜査は打ち切られたようだ。

 もう一つは、2002年2月に「M」とだけ名乗る女性から寄せられたものである。
 彼女の証言によれば、件の少年は彼女の母親が貰い受けた「ジョナサン」である。彼は2年半にも渡って虐待された挙げ句、浴槽で吐いたことの体罰として床に叩きつけられたことで死亡した。母親は身元を隠すために少年の髪を刈り、そして現場に遺棄した。
 遺体を車のトランクから出す際に、バイクに乗った男が通り掛り、助けが必要かと訊ねてきた。ナンバープレートを見られないようにしながら無視していると、やがて男は立ち去ったという。
 この証言は、JCペニーの段ボール箱は以前から現場に捨てられていたとの当時の目撃情報と一致する。
 警察は興味を抱いたが、「M」に精神病の病歴があることが判ると意気消沈してしまった。当時の彼女の隣人たちも少年が住んでいたことを否定し、この一言で片付けたという。
「馬鹿げてる」

 結局、いずれも答えではないようだ。

(2009年1月29日/岸田裁月) 


参考文献

『世界犯罪クロニクル』マーティン・ファイドー著(ワールドフォトプレス)


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