1991年にウェールズで起こった「猫まっしぐら」の事件である。
52歳の飛行機整備士、ジョン・ペリーは既に2回も離婚していた。妻に暴力を振うからである。こういう男は大抵性欲が強く、間もなく若いフィリピン人女性、アーミンダを3人目の妻として迎えた。ところが彼女は浮気性で、すぐに間男をこしらえた。これを知ったペリーが怒った、怒った。
ウガーッ。
それ以降、アーミンダの姿を見た者はいない。
まず、遺体を浴室に運んだペリーは、とりあえず頭と手足を切断し、それから肉を削ぎ、同じ大きさのサイコロ形に切りそろえた。恐ろしく手間のかかる作業であろうことは容易に想像がつく。法医学者によれば、これだけでもたっぷり12時間はかかっただろうとのことである。骨もいちいちノコギリで切り揃えたというから恐れ入る。
次に、頭部をオーブンで焼いて、頭蓋骨だけになったところでドリルとノミで粉砕した。
4日後にはアーミンダは跡形もなく消え失せた。残ったのはゴミ箱いっぱいのサイコロ肉と、モツと骨の山だけである。後はこれを怪しまれないように少しずつ棄てるだけだ。
と、ここで招かれざる客が訪れた。おまわりさんである。ご近所さんが人肉が焼ける臭いや腐る臭い、排水溝に流れる真っ赤な汚水に不審を抱いて通報したのだ。
「奥さんはどちらにおられますか?」
ペリーはこのように答えたという。
「いくらかはケイティにやりました」
ケイティとは彼が飼っていた猫である。
ケイティが食べた分を除いて、証拠はそっくりそのままなので云い逃れは出来ない。ペリーは有罪となり終身刑に処された。一方、ケイティは行方知れずである。
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