バラのつぼみ |
『市民ケーン』 |
映画『市民ケーン』は、新聞王ケーンが「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して臨終するシーンで始まる。 |
ウィリアム・ランドルフ・ハースト |
1. 新聞王ハーストの陰謀 |
スペイン警察による取り調べ ハースト系新聞に掲載されたメイン号爆破の想像図 |
こうした編集方針の最も醜悪な例が「スペイン警察の取調べ」であろう。1897年、ハースト系の新聞は「アメリカ婦人を裸にするスペイン警察」の記事をスクープした。この煽情的な記事により反スペイン感情は高まり、遂には翌98年、アメリカ戦艦メイン号が撃沈されたのを切っ掛けにアメリカは開戦に踏み切った。しかし、この戦争はハーストの情報操作の賜物だった。ハーストの命を受けてキューバに赴いた画家フレデリック・レミントンは、「スペイン人の残虐行為を描いて送れ」との指令を真に受けて探し歩いたが何も見つからず、その旨を電報で知らせた。これに対するハーストの返答は、 |
政界進出を企み、演説するハースト |
こんな外道なハーストだが、その私生活は意外と間抜けだった。 |
『赤い水車』のマリオン・デイヴィス |
2. ウィリーとマリオン |
史上最悪の成金御殿、サン・シメオン宮殿 サン・シメオン宮殿の大晩餐室 |
そんな訳で、スターにはなれなかったマリオンではあったが、しかし、巨万の富は獲得した。ウィリーは彼女の映画作りと同様に、二人の愛の巣作りにも浪費を重ねた。伝説の「ザナドゥ」、サン・シメオン宮殿には驚くなかれ、3千万ドル以上の金員が費やされた。 |
スワンソンとデイヴィスに挟まれるチャップリン |
3. チャーリーの浮気とその代償 |
トーマス・インス |
マリオン・デイビスもそんな「一枚上手な提供者」の一人だった。彼女はまだ20歳になったばかり。種族繁栄本能も旺盛で、老人相手にその欲望が満たされる筈はない。ハーストの眼を掠めて幾人もの愛人たちと一時の逢瀬を楽しんでいた。そこに巨根で有名なチャーリーが登場する。お人好しのチャーリーはまたしても後先のことを考えずに「据え膳」を召し上がることとあいなる。 |
オーソン・ウェルズ |
4. バラのつぼみ |
ウィリーとマリオン、仲良く踊る |
5. バラのつぼみ、その後 |
参考資料 |
『ハリウッド・バビロン』ケネス・アンガー著(リブロポート) |