日記をつけることのおっくうさから、長期に渡って中断していた岸田日記だが、サミーがフランスから凱旋したことで続けざるを得なくなった。彼のトンデモない素行を報告しなければならない義務が生じたというわけだ。
知る人ぞ知ることだが、サミーは我々マジソンズが結成する切っ掛けとなった男である。とにかく、その馬鹿っぷり、失礼、カリスマぶりに我々は圧倒され、
「こんなクダラナイ世界がこの世にあるのか!?」
と、ひれ伏した次第である。サミー高田なくして今日の岸田裁月はなかったわけで、再会には感慨深いものがあった。
20年前の好青年は、今では禿げ散らかった中年親父に変貌してはいたが、そのパワーは相変わらずで、我々マジソンズを圧倒した。
「ああ、こいつのために俺は下らない人生を歩んでしまったんだなあ」
という怒りを抑えて、持ち上げるだけ持ち上げると、馬鹿はどんどこ昇って行く。1日2万ヒットの有名サイトになったことを報告すると、
「だろ? みんな俺の魅力だよ」
オードリーの春日状態だ。挙げ句の果てに「マイケル・ジャクソンが死んだ日に、俺というスーパースターが帰って来たんだよ」などと自画自賛する始末である。だからこそ、私はサミーを愛しているのだ。こんな馬鹿はそうはいない。
その後、カラオケに誘われて、大量破壊兵器並みの威力がある『夢芝居』を聞かされた。音程が一つも合っていない上、鼓膜が破れんばかりの大音量だ。断末魔の絶叫に近い。彼奴は確実にパワーアップしている(馬鹿っぷりが)。
ちなみに、私はマリア四郎の物真似で『もだえ』を歌い、サミーに上から目線で「80点」と褒められたわけだが、ちっとも嬉しくなかったことは云うまでもない。
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