5 イルカとの距離もポイント

イルカを撮影する時の距離
 ピントが合う距離を「1.1m以上なら全部ピントが合う」という設定にしてあっても10m以上も遠くにいるイルカを撮影するのは条件がかなり厳しいと言えます。10mの距離のイルカを20mmレンズで写すと遠すぎて小さくしか写らなくなってしまいます。また10mも離れると、その長い距離を光が通らなくてはならず、その影響で光がカメラの届くまでには弱まってしまってイルカ自体も青く見え、海の青さとのコントラストが小さくなってしまいます。水中で被写体をはっきりと写すためには出来る限り被写体との距離を近づけた方が良いということになります。とは言え近すぎて1mくらいの距離にいるイルカの全身を20mmレンズで写すことも出来ません。20mm用ファインダーでのぞいたときにイルカの全身が入る程度の距離が良いということになります。またもっと広い範囲を写せる広角レンズでしたら、近くによってもイルカの全身を写すことができますので、もっとイルカの姿をもっときれいに映し出すことができるはずです。但しここで注意したいことは、早く近づこうと思ってイルカにまっしぐらに近寄ってしまうと、相手は野生動物ですのでもちろん逃げることが多いことが分かるかと思います。 広角レンズですと近くできれいに撮影できますが、イルカとしては既にカメラを意識した行動を取ってしまっています。逆に20mm程度のレンズですと、少し離れている為、イルカがカメラを意識しないように撮影できるかもしれませんが、少しでも距離が離れるとコントラストの無い写真になりやすくなります。つまり撮影の目的に合ったレンズを選ぶことによって、撮影する距離も決まってくるといえるでしょう。

 
朝と夕方は光量が不足して条件が厳しい。
  日中は斜め上から撮ると順光になり、仕上がりの良い写真になります。或いは真下からシルエットにして撮ってしまう方法もあるでしょう。また早朝のウォッチングでは日差しが弱く写真撮影は困難です。朝はイルカが息継ぎをする浅い水深であるならば絞りを開けて撮影すると良いでしょう。朝陽は既に光が減衰しているのと、海面に対して光の入射角が浅いので、光が水面で反射されてしまう割合が多いのです。同じように夕方も撮影は難しくなるでしょう。そんな場合は、一絞り開けて撮影してみましょう。20mmやこれより広い画角の広角レンズを持っているのでしたらF2.8まで開けても被写界深度は十分広いはずですので、広い被写界深度を利用して撮影すればピントが外れることはまずありません。
 日中は主にイルカの休息時間ですが、水面付近のイルカを撮影するには比較的綺麗に撮れるでしょう。ただしイルカは休息時間中なので無理な接近は禁物です。自然を撮影するカメラマンはナチュラリストでもありたいと思います。