2009年05月09日
「耳抜き」
 水に入ると水圧は高いので、体の中にある空洞の部分は低い圧力になります。すると鼓膜は水圧に押された状態になります。さらに少し沈むと更に鼓膜は押され痛みを感じます。耳抜きは、耳の中の空洞に空気を足してあげて外の圧力と同じ圧力にしてあげる動作です。一般的な方法では鼻をつまんだ状態で鼻の中に息を充填させていく方法があります。すると鼓膜が外側に戻されます。強くやりすぎると鼓膜が破れることもあるので注意してください。唾を飲み込む方法や、アゴは動かさずに唾を飲み込むようなアゴの筋肉の動きをする(あくびをかみ殺すなんて言い方もあるようです)だけで抜ける場合もあります。水面から80cmまでの水深で少なくとも一回耳抜きをしておく必要があると言われています。ジャックナイフで潜る場合、腰を折ったら耳は水深80cm位になってしまいますよね。つまりジャックナイフで腰を折り終わるまでに1回は耳抜きをしておく必要があるということです。
ワンポイントアドバイス
耳抜きでは効果がない副鼻腔(ふくびくう、ふくびこう)*1のスクイーズ
 水に入ると水圧は高いので、体の中にある空洞の部分は周りと比べて低い圧力になります。でも空洞部分は鼓膜の内側(中耳)だけでなく、他にも頭の中には空洞部分があります。副鼻腔(ふくびこう、ふくびくう)と呼ばれているものです。眉間から両目の上まで広がっている前頭洞(ぜんとうどう)と呼ばれている空洞のほか多数の空洞があり、細い穴で鼻の穴と繋がっています。ところが困ったことに、実はこの副鼻腔は耳抜きしても抜けないこは、意外にダイバーでも知らない人が多いのです。勢いをつけて潜ろうとしてしまうと、耳は抜けても副鼻腔に繋がる穴はあっという間にふさがり、そのまま潜ると副鼻腔だけ低い圧力になり、知らないうちに副鼻腔が縮もうとして痛んでしまうわけです。最近もビギナーのダイバーの方なのですが、うまく見せようとして無知から早く潜ってしまい、副鼻腔をいためてしまい、ダイビング後に頭が痛くなったり、眠くなったりしているのを我慢されているのを見かけます。浅い水深は特にゆっくりと潜っていく必要があるということなのです。

*1 副鼻腔の読み方ですが、「ふくびこう」とも「ふくびくう」とも読みます。本来の読み方としては「ふくびこう」というのが正しいのですが、医療の世界では慣用的にわざと「ふくびくう」と読むことが多いため、最近では潜「ふくびくう」と読む場合も増えてきました。
1.準備運動をしよう。

 (1)筋肉と関節の準備運動
 忘れられがちな準備運動。ウエットスーツを着てからやると死にそうに暑い場合があるので、普通はウェットスーツを着ない状態で準備体操をしましょう。特に足はつりやすいので十分なストレッチをやりましょう。

 (2)耳の準備運動
 「耳抜き」は水に入ってからその日初めてやるのではなくて、陸上にいるときに何度か練習しておきます。すると水に入ってからの耳抜きが随分と楽になります。鼓膜を濡らす前にやってください。鼻の中に一気に息を充填させると鼓膜が痛みます。ゆっくりと何度もやってください。すると耳管がだんだん広がってきます。云わば耳管と鼓膜のストレッチ運動です。