「御蔵島の旅人」ホームページへ

2004年07月05日新規
2011年10月16日更新
アカコッコ
かつて御蔵島はニオイエビネランの咲き乱れる島でした。
ところが本土からの人々の乱獲、山採りにより、野生のものは絶滅してしまいました。
これらの生物を見ても採取したりしないでそのままにしようね。みんなで自然を守ろうね。


                                  2004年6月 御蔵島にて
 とても控えめな色をしているため、あまり目立ちませんが御蔵島に固有の蝶といわれるのがミクラクロヒカゲです。クロヒカゲの亜種と言われています。本土のクロヒカゲよりもより色が深いと言われています。また共通して大斑紋以外の斑紋が極めて目立ちません。特にクロヒカゲには羽の一番上の先端部分(前翅)に小さく縦に並んだ2〜3つの斑紋(前翅眼状斑紋)があるはずですが、特に上の個体ではほとんど痕跡を認めることができません。また下の羽(後翅)の茶色い筋(褐色帯)が、本来は下の個体のように大斑紋間に食い込んで山状に軌跡を描くだけですが、この個体は特に八の字を描く程に二つの大斑紋の間にめり込み、そのうちの一本は羽の端にまで達しています。

 下のミクラクロヒカゲの個体も、本土のクロヒカゲでは上の羽(前翅)の先端部分にはっきりと2〜3個並ぶはずの小さな斑紋が、この個体には明確なのは一つで、その下に白っぽい点のような痕跡らしいのが一つあるのみです。また他のミクラクロヒカゲにも共通するように、大斑紋以外の斑紋が極めて目立ちません。

 これらの差異は、個体差であるのか亜種であるのかは不明ですが、こうした本土のクロヒカゲとの差が単に成長段階における主食のササの種類や島独特の気候といった成長時に発生した差なのか、あるいは御蔵島独特の鳥類などの外敵により斑紋の目立つものが自然淘汰された結果によって変化し、本当に亜種として分類されるものなのか、あるいはこちらが原種でより外敵が多い本土はその環境に合わせて斑紋が発達していったのか等は今後の研究に期待するとして、こうした差を観察し楽しむのも御蔵島の楽しみの一つとなっています。ミクラクロヒカゲは日陰を好み森に住む蝶ですが、深い山よりササ類が生えやすい都道や黒崎高尾山道などのガイド不要のエリアを散策すると見つけやすいです。

                        2009年6月撮影 御蔵島にて

御蔵島は富士箱根伊豆国立公園に属しており、島全部が自然保護区に指定されていて
生物の採取は禁じられています。みんなで自然を守ろうね。