(1)桟橋にて
 桟橋での乗船下船の際は要注意です。うねりが来た瞬間は船が持ち上げられ、うねりが引くと船は下に下がります。つまり船が上下運動をしますので、梯子から船に降りる際に梯子の下の方まで下りてから船に乗ろうとすると、船が波で上に上がってきた時に、梯子と船との間に足を挟まれて怪我をしてしまいます。そこで船に乗るときは、船が波で一番高く浮いて来た所よりも高い位置でひとまず梯子を降りるのを止め、次にまた船が持ち上げられるのに合わせて、すばやく船に乗り移ります。乗り移ったら梯子から直ぐに手を離しましょう。そうしないと波が引いて船が下がり、梯子に宙ぶらりんになってしまいます。船に乗ったら安全お為に常に重心は低くしましょう。またあとから来る方の邪魔にならない位置まで移動するのが良いでしょう。
 今度は船から桟橋に上がるときですが、このときも船が一番高い位置に浮いたときを見計らって梯子に乗り移ります。もし船が低い位置に居るときに梯子に足をかけてしまうと大変です。梯子に足をかけた位置よりも高い位置まで船が浮き上がってきて、足を挟まれてしまいます。梯子に乗り移ったら、速やかに上がるのばベストです。
 また、乗船や下船するときは、人間だけ先にどんどん乗り込んで行きましょう。お互いに協力して先に船に乗っている人に荷物を渡しましょう。先に船に乗った人は、あとから来る方の荷物を受け取ってあげましょう。下船の際も、荷物は船に置いておき、ひとまず人間だけ先にどんどん上がりましょう。荷物は後で船頭さんやガイドさんが渡してくれますよ。先に上がった方は、後から来る方の荷物を受け取ってあげてくださいね。桟橋ではみんなで協力して、安全なウォッチングにしましょう。
(2)ウォッチング中にて
 ウォッチング船の重心は後部にあります。波が来た際には船の先端部分の跳ね上がりが大きくなっています。そのため船の中央より後ろよりに座席があります。ついつい映画タイタニックの雰囲気を味わいたくなる年代の方もおられますが、移動中は船の先端付近には近づかないほうが良いでしょう。

5.ウォッチャー同士の接触
      海の危険
 冷静なウォッチャーやガイドの近くにいると何かあったときにはとても安心です。でもウォッチャーはイルカを前にして冷静にはなれない場合が多いですので、ウォッチャー同士の距離が近すぎると逆に危険が伴います。ウォッチャーはイルカだけを見ていることが多く、進行方向を見ずにイルカを見て泳いでいます。そのため、最初は離れていてもイルカに近づくにつれウォッチャー同士の距離も近づき、最終的には激しくぶつかったりすることが良くあります。またウォッチャーの後ろをウォッチャーが泳ぐ場合、フィンの泡で視界が失われることが多いです。そうした状況では人と人がぶつかったり、フィンで顔面をけられてマスクがずれて水が入ってきてパニックになってしまうこともあります。
 夏でも最低限ラッシュガードなどで体を保護しましょう。皆さんが御蔵島に行く前のスノーケリングの練習に近くの海で泳ぐ際に気を付けなくてはいけないのは、ガヤ(毒性の海藻)です。ガヤに刺されると最初はビリッと痛みを感じ、その後2週間くらいは猛烈なかゆみに襲わます。さらに2年くらいは大きく跡が残ってしまいます。お近くの練習場所で泳ぐ際も体を保護する為にもウエットスーツやラッシュガードをおすすめします。また海の中ではむやみにものに触らないようにするのが基本。そして岩などを触ったグローブで顔を触ったりしないことも大切です。ガヤはグローブなどにも付着していると顔が腫れてしまうことがあるからです
2015年5月7日更新
 泳いでいるときには船の後ろに回らないようにしましょう。気を付けていても流されてスクリューに巻き込まれる危険があります。素もぐりがある程度上手い方の場合は浮上時に特に気をつける必要があります。というのは水面にいるウォッチャーは船から見えますが、1〜2分も潜っているウォッチャーは船から確認できません。息継ぎに浮上するときは必ず上を確認する習慣を身に付けましょう。浮上するときは体を回して上を見ながら浮上するのが一般的です
自然の海は、プールとは違う楽しさががあります。
しかしさまざまな危険もありますので対策を考えておきましょう。
2.自然の岩
1.クラゲ
 7月ころで既にクラゲが出てきています。夏だと大抵は素肌でイルカ・ウォッチングをされる方が殆どなのですが、夏でも海ではできる限り保護をするしましょう。
 実際にカツオノエボシが2011年8月にもウォッチング船上から確認ができました。また過去には実際に刺されたウォッチャ-もいたとのことです(2001年7月)。同じく2001年10月にも危なく刺されそうになったウォッチャーもいました。風船のような浮きを持ち、青くて細い綺麗な触手を持つカツオノエボシ(写真)は刺されてショック死する人もいるほど毒性が強いクラゲです。刺されると全身に激痛が走ります。もし刺されても触手を真水で洗ったり、触ったりしてはいけません。触手をピンセットでゆっくりはがし、患部をアルコールで洗います。無理に触手を取ろうとすると、更に毒が射出され、体内に入ってしまうからです。
 右の写真は御蔵島でウォッチング中に素肌で泳ぐウォッチャーの胸をかすめて通ったカツオノエボシ。夏でもやはりウエットスーツや、ラッシュガードで体を保護することをお勧めしたいです。
 2011年9月30日、竹芝桟橋から三宅・御蔵島・八丈島に向かう東海汽船から転落した2名の学生の方が亡くなるというお知らせがありました。海の事故は往復の東海汽船でもありますので、とくに小さいお子さんは十分に注意してあげてください。
 2011年9月25日、三宅島からのウォッチング船の観光客が御蔵島でのイルカウォッチング中に、行方不明となり捜索により発見されましたが残念ながら亡くなられたという悲しいお知らせがありました。

ご訃報に接し、ご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げます。
Q:女性の場合、生理中にドルフィンスイムをしてもいいものでしょうか?イルカが怒ったり、サメに狙われたりしないでしょうか? A:生理中でもドルフィンスイムには問題はないですよ。馴れないと抵抗があるかもしれませんがタンポンを使用するのが一般的です。ただし重いとボートに乗るどころでは無いので体調と相談しましょう。また集中力が落ちやすいですので安全面には気をつけましょう。生理とサメの関係ですが「サメは新鮮血を好むので生理の血液は問題ない」ということに一応なっているようです。更に言うとサメは新鮮血だけでなく実は尿にも反応します。でもこれについてはドルフィンスイム中、皆さん海の中に自由に流していますが、サメにおそわれたという事は聞きません。実績から言いますと御蔵島のドルフィンスイム中に、生理や尿が原因でサメにおそわれることは発生しにくいことのようです。 掲示板より 投稿日:2002/09/11(Wed) 00:57
 冬になると御蔵島の桟橋付近にも群れで現れるサメ。最近はウォッチングシーズン中にも出る場合がありました。2011年10月9日AMのイルカウォッチング中にメジロザメの仲間で危険として分類されるガラパゴスザメと思われる体長3m程度のサメ(すぐ横にいた成熟したイルカの体長と比較してはるかに大きい)に1隻のウォッチング船のウォッチャーが遭遇し避難をしました。岸から10〜20m程で水深約2〜3mの浅瀬で餌を探している状況でした。6歳の児童を含むウォッチャーを全て回収するまで水中で警戒観察を続けていたガイドのお話では、その後、大型の魚の頭部と思われるものをイルカがくわえていたのを、サメが奪い取ったとのことです。ウォッチャーは冷静に速やかに船に戻り事故等はありませんでしたが、連絡がうまくいかず、ウォッチャーを回収した直後に別のウォッチング船が知らずにかなり真上にエントリーする状況がありました。その際にエントリーされた方が撮影された映像がYouTubeにUPされています。(YouTube映像へのリンク。映像はウォッチャーに向かって最接近したサメと人との間に二頭のイルカが急いで割り込む様子から始まりますが、この個体は餌を銜えていない為、群れの別の個体と思われます。通常ガラパゴズザメは群れで行動します。)御蔵島近海に生息するサメの種類と分類方法は資料1資料2を参照しました,。
 ウォッチング中にしかも浅瀬に大型のサメが現れることはこれまでありませんでしたが、最も懸念されるのは例年よりも多くの釣り客が御蔵島を訪れている状況です。実際に今回サメが現れた場所は、両側に多くの釣り客が釣りをしている隙間のような場所であり、餌や釣った魚の処理等によりサメが集まってきてしまったと考えられます。御蔵島では近年シマアジを釣り上げる際を狙ったサメによる漁業被害が頻発しているという漁業関係者の指摘があり、更にガラパゴスザメは八丈島近海ではキンメダイ漁場に好んで現れるという調査結果があります。またその調査で捕獲されたガラパゴスザメの過半数の胃の中から釣り針が見つかっています。今回ウォッチング中に現れたサメも釣り場狙いのガラパゴスザメであることが十分に考えられます。今後遊漁が増えてきた場合のイルカウォッチングの安全性が心配されます。
 この日の海の状況としては、黒潮が数日前から離れ、御蔵島は冷水塊の中心に位置し、表面水温が21.5℃まで下がっていました。通常、冷水塊と共に深層のキンメダイが現れることが多く、この日も数日前から御蔵島を覆っている冷水塊の中のキンメダイの群れを追ってメジロザメ系のガラパゴスザメが現れた可能性も考えられます。(参考資料3) 
 御蔵島の海は淡水が海に落ちるため、サメが近寄れないのでイルカが棲んでいるという説明がされる場合がありますが、、メジロザメ系のサメは淡水に耐性があり、時には川を遡ることがありますので実はあまり関係はありません。
参考文献
資料1;:東京都島嶼農林水産センター「島嶼八丈島周辺海域におけるサメ類の出現種と有効活用」平成17年度 主要成果 
資料2 堀井善弘 東京都島嶼農林水産センター他 「漁業被害の現状と駆除活動による板鰓類資源に与えるインパクト」日本水産学会誌Vol.76(2)267-268(2010)
資料3 
大泉 宏 東海大学海洋学部 「八丈島周辺海域のサメ類と鯨類による食害被害軽減に向けた基礎調査」日本水産学会誌, Vol. 77(1)  124(2011)
3.サメ
 素もぐりにある程度なれてきたときにあるのは、ウォッチング中に深く潜り、イルカの方ばかり見ていて海底の岩にぶつかることです。海底の岩石はかなりゴツゴツしていて、海の中で柔なくなった皮膚がぶつかると、簡単に引っかき傷ができてしまいます。大抵はぶつかる寸前に、一緒に泳いでいる近くのイルカの動きが一瞬止まったりする場合があるので気づく場合もありますが、イルカの方もいつも気を使ってくれる訳ではないですので注意が必要です。夏でも最低限ラッシュガードなどで体を保護しましょう。(旅人は毎年、岩にぶつかる寸前にイルカに注意されています)
ねろりさんからの情報(掲示板より):2003/09/09(Tue) 17:19
私は4、5日、御蔵の海にはいりました。クラゲは場所によってですが、大群をなしていましたよ。その時のは猛毒の類いではありませんでしたが、一緒に泳いでいて刺された人もいました。すぐに治ったみたいでしたが、なるべく素肌はさらさないほうがいいと思います。私は、みゅうさんのと同じような長そでのやつに、長いスパッツで全身ガードしてました。
(情報ありがとうございました)
4.スクリュー(ペラ)
6.ウォッチング船上での危険