御蔵島のイルカ・ウォッチング船

 2004年以前は、御蔵島のドルフィンウォッチングには様々な港から船が出ていた。御蔵島の他に、三宅島、そして遠く伊豆半島からもウォッチング船が来ていた。初めての方はこの内どこを利用したものかが良く分からなった。そこで当時、旅人達が情報を交換し総合的に判断し
てみたウォッチャーの都合によって違うかもしれないが、ウォッチングのしやすさから言ったら御蔵島の船が良い。船べりが低いので船から海に入るのが楽であり、海から上がるのも楽である。ウォッチングまでの移動時間が短く、その分、ウォッチング時間も充分とれる。





1.移動時間を比較すると? 出港場所 コメント
 ウォッチング船での移動時間が長いと船酔いをしやすくなる。まず移動時間で比較してみましょう。

御蔵島港が便利
 ポイントまでの移動時間は、やはり御蔵島港からが短い。ボートを泊めてある桟橋のすぐ横にイルカが来ることも良くあるくらいだ。出港1分後にエントリーということも良くある。

三宅島からは遠い
 晴れていて海が凪いでいるときは御蔵島までの移動の45分は苦にならない。ただしそれでもやはり黒瀬川と言われた海の難所だけのことはある。国際イルクジ会議の乗船スタッフを依頼された時、最初で最後、参加者約10名と三宅島から乗船しイルカ・ウォッチングに向かったが、10人中9人が酔った。 酔わずに海に入れた参加者は1名。酔ったが無理して海に入った2名は同時に溺れた。救助に向かい2名のウエイトを外しスーツで浮力を確保させ、3名分のウエイトを体に巻きつけ船に戻ったときには、救助者の私はウエイトの塊と化していた。酔って海に入った人が3名だったら事故が起こっていたかもしれない。 
 
御蔵島港 移動時間もほんの数分でOK
 
港のすぐ横に居るケースもよくあります。すでにイルカの居る現地の海から出航するので、船に乗る前から背びれが見える場合もよくあります。船酔いしやすい人、快適にウォッチングしたい人は御蔵島港がベスト。
三宅島 往復で90分程度
 荒海の海域を漁船で行くため、酔い止めが無かったら御蔵島に上陸したくなるほどつらい。酔い止めを飲んでも、ウォッチングの帰りは疲れて酔ってしまうことも。
下田港 往復8時間程度か?
 以前はイルカを目の前にして船の上で船酔いでグッタリしているウォッチャーを見かけたものだった。帰りはどうなったか、その辛さは想像を絶する。
田子港 往復8時間以上か?
 禁止のダイビングを御蔵島で行っていたのは、田子の老舗のダイビング船。御蔵島で20代の女性ウォッチャーにスクリューで足切断の事故を負わせた。
その他 その他、船籍を表記しない(これって意図的?)ウォッチング船が何処からか来ている。質問すると黙ってどこかに行ってしまう。夜にこっそりダイビングを行う業者もある。ダイバーにはモラルはないのか・・・?

2.ウォッチング時間で比較 出港場所 時間 コメント
御蔵島港が時間に余裕あり
 一回のウォッチングは2時間までと決まっている。
 御蔵島港の船は2時間まるまるポイントに滞在できる。 (2004年の御蔵島自然保護条例では、ウォッチング船の出航は、一回3時間までとなりました)

三宅島港からだと滞在は短くなる
 三宅島からの船の場合はポイント滞在は大体1時間となってしまう。これは片道45分かけて御蔵島まで来る為に、移動時間を入れると半日つぶれてしまう為だ。乗船客の回転を早くする為には、滞在は1時間となってしまう。

その他の船
 詳細は不明だが、島の周りに少し来て直ぐに帰ってしまうパターンが多い。
御蔵島港 約2時間  堪能できる。イルカの居る海域もゆっくりと観察することができる。
三宅島
(坪田etc.)
約1時間 長い移動時間の割には少々物足りない感あり。
伊豆方面の港 約1時間 苦労して来たのにあっという間に終わってしまう。

3.ウォッチングのしやすさで比較すると?
御蔵島港が便利
 御蔵島の船は写真の様な小型のボートだ。ウォッチングは海に入ることに始まり、海を出ることに終わる。つまり海への入りやすさ、上がり安さが重要になる。御蔵島の船は慣れると、海面からタラップなしでも船に上がることができるほど楽だ。
 
三宅島やその他の船
 三宅島のウオッチング船の場合は、立派な大きな漁船を使用する。これでないと黒瀬川の荒海を渡って御蔵島まで来れないのだ。その為、船べりも高く、絶対に梯子が無いと船には上がれない。梯子で全員が上がるまでには時間がかかるのと船べりが高いので上ると疲れてしまう。その為、ちょっと様子をみるなんてことは無理なので逆にエントリーの機会も逃がしやすい。三宅島の船のメリットはトイレがあること。普通は海の中でしてしまうが、海に入らないで観察するひとには濡れないですむし、トイレもあって便利かもしれない。
 写真は御蔵島のウォッチング・ボート。
 慣れるとタラップを使わず船べりからそのまま上がれる。

4.気になる料金で比較すると?
御蔵島港がお得
 料金は御蔵島港のウォッチング船は全て料金が決まっている。ウォッチングを始めた当初は、ボート一隻を借り切る必要があり手が出なかったが、現在では御蔵島港の船はどれに乗っても1ボートで1人\7,000-だ。支払いは最終日にまとめて乗った回数分支払う。


三宅島からの船は高い 
 料金は三宅島のウォッチング船で全て一律料金が決まっている。1ボートで一律一人\13,000-だ。御蔵島の船と比較して高いのは、三宅島から御蔵島まで来るのには遠いからであるのと、ダイビングショップの取り分が入っているからだ。キャンセル料についてはまちまちだ。1999年に三宅島の登録ウォッチング船が、海が荒れたため出港を中止した。しかし客からウォッチング料金全額を徴収した。(ショップはドルフィン・スイムで三宅島では有名。ダイビング雑誌にも出ています。)
御蔵島からの船
 一律\7,000-
三宅島からの船
 一律\13,000-

5.ガイドの充実度は?
 御蔵島のガイド
 御蔵島のイルカのガイドとしては、毎日御蔵島で船を出している各船の船頭さんたちが常に情報交換しているため、何時、どのイルカに子供が生まれたのかなど完全にチェックしていて教えてもらえる。2004年からは御蔵島自然保護条例で認定されたガイドが御蔵島の船に乗船しガイドをしてもらえることになり充実度が増した。スノーケリングが始めての人も、ガイドや船頭さんに申し出ればスノーケリングを教えてもらえるなど、サービスの充実度は一番だ。
 また元根の岩礁の細い隙間を巧みに抜けていく操船技術を披露してもらえるなど、御蔵島のウォッチング船ならではのイルカ以外のアトラクションも楽しい。その他、
御蔵島のウォッチング船のガイドは、最近の観察で分かったことなどを解説してくれるぞ。彼女たちはイルカの個体識別やイルカの家族構成についても詳しい。御蔵島の船頭さんやガイドたちと言えば、宿まるいの広瀬氏や千鶴さん、鉄砲場の栗本氏(みちおさん)、海豚人丸の加藤氏、しげお工房の広瀬さん、吉祥丸の元さんetc.に定評があり多くのリピータを生んでいます。

 2004年からは、御蔵島自然保護条例により、イルカ・ウォッチングには御蔵島村認定のガイドの同行が必要になりました。
(ダイビング団体等が認定するイルカ・ガイドは、効力がありませんので注意)

2001年6月。宿まるいのカメラマン&ガイドがイルカをビデオ撮影しているところ。