御蔵島のイルカを「今、何をしているところかな?」と考えながら観察してみると、様々な行動をしていることがわかるでしょう。ここでは、御蔵島で実際によく観察することができるイルカの行動について、少し見てみることにしましょう。
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1.捕食行動
イルカが水面と水底の岩を何度も往復していたり、岩に口をつけて逆立ちしている所を見かけることが有ります。そのような時は採餌行動である可能性があります。イルカの生存の為に大切な行動ですので、そっと見守りましょう。イルカが居なくなってから、潜って何があるかを調べてみると、蟹がいたりします。群れの魚を採る際には群れで囲い込みをします。
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2.絡み合い行動
オス同志で交尾のような行動をします。この間、イルカの警戒範囲は移動時よりも広くなります。警戒範囲に人間が入り、イルカが気づくとこの行動は停止します。イルカが群れから突発的に飛び出る事があり、イルカが人と衝突するとイルカ側も危険な為、群れは活動を一時停止するのです。絡み合い行動は交尾の練習ではないかと言われていますが、実際はこれも良くわかっていません。
(写真は若いオス同士が絡み合い行動を始めようとしている所。targetのイルカのスリットを他のイルカがくちばしで接触しているところ。絡み合い行動前に時々見られる光景です。この後、target役のイルカは順次入れ替わった。)
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3.休息
水中で楽に一定の姿勢を保つ為には、速度が必要です。水中で停止している状態は流れの影響で姿勢を保つ事は困難です。この為、休息中には群れをつくり、一定の速度でゆっくりと泳ぎながら休息します。(写真は御蔵島にて撮影。群れを大きくしながら休息行動に入り始めた)
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4.移動
ここでは休息行動以外の移動行動を指します。日差しが強くなり始める午前10:00〜11:00頃は、水深を深くとり移動を始めます。この移動中、活発に人と泳ぐ水深は、この時間帯では7〜10mとなります。この時間帯のこの水深では、イルカは激しく人と泳ぐことがあります。その他、浅い移動中は、ヒレに海藻やビニールを引っ掛けて遊びながら移動することもあります。 |
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5.攻撃・争い
母親のイルカに連れられた子供のイルカに対して、オスによる攻撃行動が度々観察されます。子供をつれたメスのイルカは交尾を行わない為だと考えられます。オスのイルカが子供のイルカを下から突き上げたりして攻撃し子供のイルカを殺そうとします。イルカウォッチング中も水面から子供のイルカが飛び出るところを目撃することがありますが、それはもしかすると、雄のイルカに攻撃を受けている最中かもしれません。イルカ社会にはこうした暴力が良くみられます。
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御蔵島にて撮影。
近づいたウォッチャーに威嚇行動をとっている。 |
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6.擦りつけ
イルカが海底の砂地で体を擦りつけている場合があります。古い皮膚を取ったり、皮膚についた寄生生物を採る行動ではないかと考えられます。この場合、水面から見ると、白い腹部がはっきり見えます。一見岩だらけの御蔵島周辺の海底ですが、ところどころに写真のように砂地があるのです。
(写真は御蔵島。岩の切れ目の砂地に3頭が砂の感触を確かめるように擦り付け行動をしていた。) |
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7.防衛・避難
様々な防衛手段があります。
まずは子守り中のイルカに人が近づいた場合、別のメスのイルカが次のような防衛行動を取ります。
集団的防衛行動を見る
(写真は移動中のイルカに人が近づいた為、群れ全体が一斉に潜水を始め、回避行動を取りはじめたところ。)
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8.交尾行動
メス一頭に対して、オスが数頭で交尾の機会を探ります。絡み合い行動と同様、この場合も近づくと危険です。観察する場合は、透明度が20m程度ある場合で見えるか見えないかの距離が目安になると思います。
(写真は交尾の練習をするオス達。白い腹を見せているcontactのオスは性器が出ており、手前のtargetのオスのスリットに接触しようとしている瞬間を撮影しました。このような方法の他に、実際の交尾は水中で二頭が止まって行う場合も御蔵島で観察されています。)
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9.波乗り
波の高い場所ではイルカが波乗りをして遊ぶことがあります。この場合数頭で群れになって遊ぶところを良く見ることができます。(写真は伊豆諸島開発えびね丸から撮影。場所は御蔵島桟橋横。この群れが2頭。他5頭の群れも波乗りを行っていた) |
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10.人と泳ぐ
イルカの意思で、イルカが人と泳ぐ場合があります。これは人の意思で、人がイルカと一緒に泳ぐ場合と区別されます。この行動に入る時には特徴があり、イルカ同士で水中で行う様々な動きを人に対して行います。
(写真は御蔵島で撮影。水深5m) |
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11.子育て
母親以外のメスのイルカが、子供と一緒に泳いでいることがある為、子供連れでも母親とは限りません。メスのイルカは子供の保護をお互いに協力します。子守り中のイルカは、人と子供の間のポジションを常に維持しようとします。場合によっては、人と泳ぎにくる時がありますが、イルカを良く観察し、子供のイルカを常に人と反対側の体に付けるようにしているときは近づかないでください。
(御蔵島にて撮影)
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