<志水君のホワイトデー>

3/14。
世間一般でいうところのホワイトデー。




「おいし〜v」

志水からもらったアメを満面の笑みで香穂子は頬張っていた。

「そんなに、美味しいですか?」

「うん!あんまりアメですごく美味しいのって食べた事無かったんだけどこれはすごく美味しい。」

ニコニコ笑ってそういう香穂子の手の中には、山吹色の可愛らしい箱に入った小ぶりのキャンディーがある。

「よかった。」

「でも志水君、よくこんなお菓子売ってるお店知ってたね?」

どう見ても女の子御用達、という感じのパッケージをしげしげと見つめてそう言うと志水はちょっと首をかしげて答えた。

「姉に・・・未来の義妹さんにあげるなら、ここが良いって教えてもらいました。」

「っ!」

こともなげに言われた台詞に危うくアメを飲み込みかけて香穂子はむせた。

「み、未来のって。」

「ダメ、ですか?」

「だ、ダメって言うか・・・」

真面目に見つめ返されて、香穂子はどきまぎと視線を彷徨わせてしまう。

普通の人なら戯れで流してしまえる言葉も志水だと本気なのかも、と焦ってしまう。

そんな香穂子をしばらく見ていた志水は、くすり、と小さく笑うと言った。

「選択肢の一つに加えておいてくださいね。」

「う、うん。」

頷いたものの、漂ったなんとも甘やかな空気が恥ずかしくて香穂子は誤魔化すようにもう一つアメを口の中へ放り込んだ。

すると、今度はソーダ味がベースだったようでシュワッとした感触に頬が緩む。

「ん〜、おいしい。」

「・・・美味しそう、ですね。」

「?志水君も食べ・・・!?」

食べる?と言いかかった言葉は。





あっさりと志水の唇の中に消えて。





「・・・あ、ほんとだ。美味しい。」

何事も無かったかのようにそう言う志水の口の中で、さっきまで香穂子の口の中にあったアメ玉がころんっと転がった。








                                           〜 Fin 〜










<ホワイトデー志水編。短いけど多分コルダメンバーの中で一番甘い(^^;)>














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