世は戦国乱世・・・・といえど、たまにはのんびり平和な日もある。

そんなある日の青葉城。

威勢の良い、というより柄が少々悪めな喧噪が飛び交う城の縁側で、城主でもある伊達政宗は非常に真剣深刻な顔をして何かブツブツと呟いていた。

「Ah〜・・・・I can't stop thinking about you. 悪くねえが、Impactがな。」

己の腕に自信があると言われる猛者でもなければ、向き合っただけで震え上がりそうな鋭い隻眼を細めて首を振る。

「Would you go out with me?・・・・って、前田の風来坊か!」

ちっと舌打ちして忌々しげに、手に持っていた書物の頁をめくる。

「I just wanna tell you, you're beautiful.・・・・あいつは beautifulよりlovely、いやcute。」

首を捻ってそう呟いた割に、政宗は視線を宙にさまよわせて、数秒考えて。

「まあ、あの銀青の髪とかは beautifulか。それに後数年すれば・・・・。」

何を思い描いているのか、政宗の口元がゆるむ。

いや、ゆるむというか平たく言えば・・・・にやけている。

正直、ちょっと、否、多分に彼に心酔して苦楽を共にする兵達には見せられないほどのくずれっぷりだ。

「っと、違う事を考える所だったぜ。」

我に返ったのか表情を引き締めた。

色々無軌道な所がある伊達軍といえど、さすがに君主の部屋まで押しかける部下がいなかったおかげで、無事奥州筆頭の面子は護れたようだ。

「しっかし、いざ探すとなると難しいもんだな。」

ため息をついて前髪をかき乱すように頭を掻いた政宗は、手元にあった書物にちらりと目を落とした。

そこに所狭しと書かれた異国語を解するのはこの日の本広しといえど、政宗と西方にいる某胡散臭い教組だけであろう。

そんな書物に目を落として、しばし。

また、ぺらりと頁をめくって。

「I've been thinking about you.」

書いてあった言葉を復唱し、やや斟酌。

「・・・・間違っちゃいねえが、恥ずかしすぎるだろ。」

真田みたいな純情馬鹿に似合いの台詞だ、と毒づくのは、己の行動と胸の内に抱えた想いのくすぐったさ故だと政宗本人にもわかっている。

今まで政宗は言葉に苦心したことなどなかった。

戯れで学んだ異国語は場面によって適当に口を突いて出るもので、深く考えることなどなかったのだ。

しかしことさら意味のある言葉を選ばなかった事も事実。

はあ、とため息をまた一つついて政宗は書物をぱらぱらとめくった。

「Crazy for you・・・・We are MFEO・・・・It,s hopeless trying to resist my feelings for you.・・・・あー!どれもぴんとこねえっ!」

流し読みするように頁をめくって、とうとう限界に来たらしい政宗は縁側に仰向けにひっくり返る。

そして・・・・ぼそっと呟いた。

「Ah〜・・・・どっかに最高にcoolな口説き文句はねえのかよ。」










気障なセリフで想いを告げる










「・・・・その前に、いつきに分かる言葉で口説いたらどうです。」

「!?!!いつから聞いてやがった!小十郎っっっ!!!」











                                        〜 終 〜











(政宗のセリフはほとんどネットで探しました・汗)