道場で稽古の最中、ちょっとした会話の時、呼び止める時。 君は柔らかそうな短い髪を揺らして振り返って彼を呼ぶ。 『斎藤さん！』 ・・・・そのたびに俺の気分は少し下向き。 だってそうだろ？ 同じように振り返って俺を呼ぶ時、君は 『平助君！』 ・・・・て。 そりゃ、俺は童顔だ童顔だって新八さんや左之さんにも言われるよ？ でもどうして、俺の事は『平助君』で、一さんの事は『斎藤さん』なわけ？ 同い年なのに。 俺だけ子ども扱い？ ・・・・面白くないよ。 背丈だって君より高いし、剣の腕だって君より上なんだよ？ なのにいつだってあんたは俺の事を心配する。 悩みはないか、とか寝不足じゃないか、とか。 ・・・・そりゃ、心配されるのは悪くないな、とか少しは思ってるけど・・・・ でも なんでかわかんないけど ―― このままじゃ、やばい気がする だから、『平助君』って呼ばれるのは不満なんだって、いつも言ってやろうと思って君が呼ぶのを待ってるのに。 でも、やっぱり大きな目を細めて笑顔で俺を見たあんたに呼ばれると 『平助君』 『何？鈴花さん』 ・・・・笑顔で答えちゃうんだよなあ。 〜 終 〜 |
― ひとこと ―
お互いないものねだり、な平助と斎藤です。
まだ恋心も抱き始め、と言う感じの頃かな。
平助にしてみれば、一人だけ子ども扱いなのが危機感かなあ、と。
鈴花ちゃんも最初の方のイベントで「弟がいたら〜」なんて言っちゃってますしね（＾＾；）
