御曹司と神子姫 〜 遙かなるお題 40 〜
「だからお前は強情なんだ!」 「なっ!強情ってなに!?」 「強情は強情だ!お前は下がっていろと言っているのに!」 「嫌だって言ってるでしょ!?下がって護られるなんて私の性に合わないの!」 「性に合う合わないの問題じゃない!怪我をするかもしれないんだぞ!?」 「しないかもしれないじゃない!だいたいそれを言うなら前に出る九郎さんだって怪我するかもしれないって事でしょ!?」 「俺はそんな油断はしない。」 「私は油断するっていうの!?九郎さん、まだ私の事、女だと思って信用してないんだ!」 「ちがっ、お前の事は信用しているが、それとこれとは話が別だ!」 「何が別なの!?信じてくれてるなら、隣で戦わせてよ!」 「だからっ!・・・頑固な奴だな!いい加減納得しろ!」 「いーやーでーす!」 「お前が怪我をすると周りの奴らが煩いんだ!」 「別に九郎さんは関係ないならいいじゃない!」 「関係ないわけ有るか!お前が怪我すると迷惑だ!」 「!確かに怪我したら弁慶さんとか、朔とかに治療してもらわなくちゃいけないし、譲くんや白龍には心配かけるけど、九郎さんには迷惑なんかかけてないじゃない!」 「お前が怪我すると士気が下がる。」 「そんなこと、九郎さんが怪我したって一緒でしょ!?」 「俺は別にいいんだ!」 「よくない!」 「お前が危ない目にあうと気が散るんだ!」 「知らないっ!私だって九郎さんが危ない時にすぐ助けられない場所に引っ込むなんて嫌だから!」 「あー、まったくなんで毎回怒鳴り合わなくてはいけないんだ!」 「九郎さんが石頭だからでしょ!」 「なっ!石頭とはなんだ!!」 「・・・・誰かあの二人の通訳、してあげたら?」 「布陣の相談のたびに毎回これではなんですが、僕も馬に蹴られたくはないんです。すみません、朔殿。」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「す、すまない。」 「・・・・はあ。お互いに考えているのは相手の身の安全だけなのに、どうして毎回こうなるのかしら。」 「あはは〜、まあ、九郎も不器用で望美ちゃんも勝ち気だからねえ〜。」 「何を呑気な事を言っているんですか、兄上。さっさと止めてきて下さい。」 「ええっ!?俺!?」 「だから!お前が怪我をするのが俺は嫌なんだっっ!!」 「私だって九郎さんが怪我するのは嫌ですっっ!!」 「・・・・俺、馬に蹴られるかも・・・・」 〜 終 〜 |