好きと愛してる






『好き』と『愛してる』はどう違う?





私がよく言うのは『好き』

彼がよく言うのは『愛してる』

『愛してる』って言われるとすっごく嬉しくなるんだけど、私は恥ずかしくてまだ一度も言えたことがない。

私は彼が大好き。

すごく、すごく大好き。

・・・だから時々不思議になる。





『好き』と『愛してる』はどう違うの?





私が向かったのはこんな事に一番詳しそうな人の所。

「おや、神子殿は可愛らしい事を聞くね。」

渡殿で捕まえた友雅さんの予想通りの言葉に私は苦笑う。

でも友雅さんはからかっても、結局はちゃんと答えてくれるのを知ってるから。

私が待っていると微笑んだまま、思った通り友雅さんはちゃんと答えてくれた。

「私にとって『好き』は女性以外にも使う言葉だね。
美しい華、月、楽の音・・ああ、そうだ。八葉の仲間も『好き』だね。
でも『愛している』は女性に使う言葉だ。
想いを伝えるための言葉ということになるのかな。
・・・でもね、神子殿。そういう事は直接本人に聞いてみるといいよ。」

それができないから人に聞いてるんでしょ!

「ほら噂をすればお出ましだよ。
おい、天真!」

相変わらずよく通る声で、友雅さんは庭を横切っていた天真くんを呼び止めてしまった。






ああ、まずいよお、友雅さんと二人っきりで話してる所なんか見たら・・・

ほら、不機嫌な顔で駆け寄って来ちゃった。

天真くんってば友雅さんの事、警戒しちゃってるんだから。

「なんだよ?」

しっかり私を背中に隠して天真くんは言った。

「おやおや、嫌われたものだねえ。」

「お前の日頃の行いを見てりゃ、警戒するさ。」

友雅さんは軽く肩をすくめた後、私に色っぽい流し目をくれる。

「天真、神子殿がお前に聞きたい事があるようだよ。
私にも聞かれたのだが、どうしても上手く答えてあげられないのでね。」

「ほんとか?あかね。」

ううっ絶対、友雅さんってば私たちの事からかってる!

・・・でも天真くんは真っ先に彼に相談しなかったから、不満げな目で私を見てる。

これは言わなきゃ絶対怒っちゃうよね・・・

私は小さく溜め息をついて言った。





『好き』と『愛してる』ってどう違うの?





「は?なんだよ。お前、んな事考えてたのか?」

え?天真くんはどう思ってるの?

気の抜けたように言う天真くんにびっくりする私。

その私の頭をくしゃっとなでて天真くんは言った。





「『好き』じゃ足りなくなったから、『愛してる』って言うんだよ。」





なんだか得意げな天真くん。

その様子がひどく可愛く見えて、言葉に詰まった想いが嬉しくて・・・

私は急に言いたくなった。





「天真くん!私も天真くんを『愛してる』!!」

「え?うわっ!」

今まで言えない事をすんなり言えた事が喜びを加速させて、私は天真くんに飛びついてしまった。

一瞬驚いてわたわたしていた天真くんだったけど、すぐにぎゅっと抱きしめてくれる。

そして耳に滑り込んできた優しい声。

「俺も・・・『愛してる』」

私は体中、幸せで一杯になったような気分で頷いた・・・






後日、一部始終横で見ていた友雅さんに私と天真くんが思いっきりからかわれた事は言うまでもない。







                                  〜 終 〜




― あとがき ―
『遙か』の創作をここまでこんだけ書いておきながら、初めての
あかね一人称創作です(^^;)
でもかなり変です。ごめんなさい〜。
こんなのあかねちゃんじゃない!っとか言われたら返す言葉がない・・・(汗)
初々しいものが書きたかったんです。
でも女の子って結構、『愛してる』って言葉使えませんよね?(え?そんな事ない?)
そう思ってふと書いてみたんです。
東条の『好き』と『愛してる』の違い観はこういうことですかね。
・・・しまった。コメントまで意味不明なものになってしまった(^^;)