火傷する恋
――火傷する恋は嫌なの!・・・そう思ってたのに・・・ 「お〜、嬢ちゃんv」 「え・・うわあ?!」 声が聞こえたと思った瞬間に抱き上げられてあたしは思わず悲鳴を上げた。 「相変わらず色気のねー声だなあ。」 「うっさいわね!いいから離して!シオン!!」 必死にもがくあたしを後ろから抱き上げていたシオンは、怒鳴りつけられてやっと下へ降ろす。 しかし片手はしっかりあたしの右手の手首を捕まえていて逃げられないように予防線を張っている。 「シーオーン!なんであんたはいちいちちょっかい出してくるの?!」 シオンの不意打ちのせいで不覚にも高鳴ってしまった鼓動を誤魔化すためにあたしは思いっきりシオンを睨み付けて言った。 ――あたしなんか、いい玩具でしかないくせに・・・ きりっと痛む心には気がつかないふりをする。 「そりゃあ・・・」 ふと一瞬シオンの表情に影がさす。 でもそれは一瞬。 「そりゃあ、俺が嬢ちゃんを愛してるから。」 いつものひとくったような表情に戻ったシオンの言葉に、あたしの気持ちは複雑に揺れる。 ――嘘つき・・・『愛してる』なんて嘘・・・ それでも顔が赤くなるのは、鼓動が早まるのは止められない。 ――こいつの言う言葉なんて全部ほんとじゃないのよ。調子のいいお世辞と私の反応で遊んでるだけ・・・ 言い聞かせても自分のものじゃないみたいに心は素直で。 ふと見れば黙ってしまった自分を見つめる群青色の深い瞳。 「どうかしたのか?殴り返してこないなんて珍しいな。熱でもあんのか?」 そういった後、シオンはよりによって額をこつんっと合わせてきた。 「うきゃあ!べ、別に熱なんかないわよ!!」 シオンが近づいた途端針が振り切れるみたいに上がった心拍数にあたしは思わずシオンを突き放した。 「ならいいけどな。体調悪いならちゃんとキールに言って休ませてもらえよ。」 なんの躊躇いもなく言う言葉には本当にあたしを気遣う気持ちが籠もっている。 あたしは思わず溜め息をついた。 ――こいつは何でこんなにタイミング良く油断させるんだろう ドキドキさせといて、そのくせいいタイミングで優しくする。 シオンがもてる理由はきっとこの辺だ。 気持ちを面白いように揺らしてくる。 だから色んな女を虜にして・・・ ――火傷する恋なんて絶対嫌だったのになあ 火傷する恋なんておおよそ自分には関係ないと思ってたのに。 女ったらしなんて絶対好きになるもんかって・・・考えてみたら最初っからシオンを警戒してたのは火傷注意報だったのかな。 「あんたねえ、片っ端からそんな言葉かけてると本命ができた時信用してもらえないよ?」 ちょっと意地悪のつもりで言った言葉にシオンは珍しく苦苦しい顔をした。 「・・・まったく、信用されてねえな。」 「え?」 聞き返したあたしにシオンは「何でもねえよ」と言って顔を反らせた。 その表情がなんだかちょっと寂しそうで、あたしは思わずシオンの前髪をひょいっと撫でてしまった。 と、弾かれたようにシオンが顔を上げる。 「メイ・・・」 あんまりシオンがびっくりした顔で見てるから、なんだか急に恥ずかしくなってしまってあたしはばっとシオンから二三歩離れるて言った。 「い、今のはいつもあんたがやってる子供あつかいなんだから。」 そう言って逃げるが勝ち!っと走りだそうとしたあたしは振り返って一言だけあいつに投げつけた。 「あのね、それから本当の事はちゃんと目を見て真剣に言えばきっと伝わるんだからね? 伝えたい気持ちができた時はちゃんとそうすんのよ!」 シオンが誰にそんな想いを抱くのかは知らない。 ――でも あたしはシオンに背を向けて走りながら、心の中で宣戦布告を投げつけた。 ――火傷する恋は嫌なの! だからあたしは火傷しそうな恋のままでなんて終わらせない。 遊ばれる気なんてないんだから、覚悟しといてよね! 〜 END 〜 |
― あとがき ―
うう〜〜〜〜ん、なんか変だあ(汗)
一応初のメイ一人称なんですけど・・・う〜〜〜ん。
なんというか、メイが可愛いのか可愛くないのか・・・
ああっコメントもろくなものでなくなってる(><)
この創作を思いついたのは某CMの『き〜てアロエリ〜ナ♪』っていう歌のせいです(笑)
火傷する恋といえば、『遙か』の友雅か、シオンだろ〜な〜と。
んで、シオンで書いてみました。
しかし、久しぶりに本命カップルの創作を、と思ったのにこんな物が出来上がってしまいました。
どうも中途半端でスイマセン(^^;)
メイじゃないけど、逃げるが勝ちで逃亡させて頂きます!(ダッシュ!)
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