世界で一番素敵な朝






朝は嫌いだった

だって良い夢見てて口うるさいベルの音で起こされちゃうし

起きたら起きたで朝御飯を慌ただしくかきこんで飛び出さなきゃいけなかったし

寝ぼけた頭を朝の光でたたき起こすのは、結構気分よかったけど

でも

こっちの世界に来てからは・・・・もっと嫌いだった

朝がくるたびに聞こえない声を探してしまうから

早く起きなさい、遅刻しちゃうわよ!って・・・・

ずっと煩いって思ってた声だったのに

こっちの世界へ来て朝がきて暖かい夢から起きたばかりだと

悲しいほど懐かしく思い出す

慌ただしくて暖かかったちょっと前までの日常を・・・・










でも、今は・・・・










カーテンの間から洩れる朝日に頬を撫でられてあたしはぱかっと目を開いた

途端に目に飛び込んでくるのはプルシャンブルー

最近すっかりこの青い目覚めに慣れてしまっている事に気付いてあたしは苦笑した

柔らかなプルシャンブルーの波ごしに整った顔が見える

いつもなら見上げないと見えない顔が今はまっすぐ前にある

でもまだ目は開いてない

「・・・・シオン・・・・」

そっと呼んでみるけど、瞼をほんのちょっと動かしただけでシオンは起きない

・・・・実はいつもこうだったりする

眠っちゃうのはあたしが先だけど、起きるのもあたしが先

だからこれはあたしの特権

「シオン!おはよ」

あたしの声にシオンは少し眉を寄せて薄く目を開いた

きっと誰も見たことがない無防備なシオンの表情

毎朝それを独占できるって特権だよね?

あたしは朝からとくんっとくんっと暖かい鼓動を聞きながら笑った

かつて持っていた日常の朝はもう来ないけど

朝起きたらシオンがいるこんなプルシャンブルーな朝は、きっと








世界で一番素敵な朝♪











                          END






― いいわけ2(汗) ―
一応「世界で一番優しい夜」のメイヴァージョンということになります。
ただあっちを書いた後に思いついて書いたものですから付け足し的に
なっちゃったんですが(^^;)
きっと朝シオンが起きられないのは「世界で一番優しい夜」でわかるよ
うに夜中にメイの寝顔に見とれてるせいでしょう(笑)