仲良し
―― いつも仲良しでいいよねって言われて でもどこかBlueになってた あれは・・・ |
「マルセル様〜!」 鈴をふるような明るい呼び声に、マルセルは振り返った。 そして聖殿の廊下を走ってくる金色の影をみつけて微笑む。 「アンジェ!どうしたの?」 息を切らせて走ってきた少女に笑いかけながらマルセルは聞いた。 アンジェリークは息を整えると嬉しそうに言った。 「あの、アップルパイがすごく上手に焼けたんです! マルセル様、よろしかったらご一緒にお茶にしません?」 「えっ、いいの?」 「もちろんです。」 にっこり言われてマルセルは嬉しくなった。 女王候補としてここに来た時からマルセルはアンジェリークが大好きだった。 時にはお姉さんみたいに、時には妹みたいに。 大事な大事な友達だと思っている。 だから彼女と過ごす時間はとても楽しい。 「じゃあどこでお茶にしようか? 今日は天気がいいから外で・・・そうだ!ルヴァ様の執務室のテラスをお借りしようか?」 「ええ、素敵!そうしましょう。」 二人は嬉しそうに笑いあうと目的地目指して聖殿の廊下を歩き出した。 ――と、ふいに近くの扉が開いて、見目煌びやかな夢の守護聖、オリヴィエが顔を出した。 「あ、オリヴィエ様。こんにちは!」 にっこりと二人に挨拶されて、オリヴィエは一瞬驚いたような顔をした。 「な〜んだ、びっくりした。一瞬、ジュリアスかと思っちゃったよ。」 「え〜?僕たちをジュリアス様と間違えるなんて、オリヴィエ様何かいけないことでもしてたんじゃないですか?」 「・・・ボウヤのくせに生意気言うようになったじゃない。」 オリヴィエに睨まれてあわててマルセルは目をそらす。 その様子をクスクス笑いながら見ていたアンジェリークにオリヴィエは目を移して言った。 「ところで二人そろって何処へ行くとこだったのさ?」 「あ、マルセル様と二人でルヴァ様の所へ。」 「ルヴァの所?また何で?」 「アップルパイが上手に焼けたんで、お茶にしましょうって、ね?」 「ねっ」と顔を見合わせるマルセルとアンジェリークを見てオリヴィエは苦笑して言った。 「あんた達、ほんとに仲良しだねえ。」 ・・・ズキン・・・ 「?」 少し痛んだ胸にマルセルは首を傾げた。 ・・・別に嫌なことを言われたわけではないのに。 アンジェリークと仲良しだって言われるのは嬉しい。 自分が一番アンジェリークをわかっているって認めてもらっているような気がするから。 ・・・なのに何故か心が重い・・・ 快晴の空が曇るみたいに・・・ (おかしいよね。・・・なんでだろ・・・) マルセルが答えを出すことはなかった。 にっこりとアンジェリークがマルセルに笑いかけて言ったのだ。 「マルセル様は大切なお友達ですもん。ね?」 笑い返した心の何処かで切ない、と訴える自分がいる事にマルセルは気付くことはなかった。 ・・・ただキラキラと輝く木漏れ日が、アンジェリークの金の髪に弾けてひどく眩しかった・・・ マルセルはふっと目を覚ました。 「あ・・・ああ、夢か。」 前髪を掻き上げながら立ち上がったマルセルの視界に温室のガラスに映った自分が入った。 がっちりとした体、髪の長さは変わらないけれど、少年ぽさのすっかり抜けた精悍な顔立ち。 ・・・いつの間にか、あの日のオリヴィエと同じ年になった自分がそこにいた。 「・・・あの時の私は・・・本当に子供だったな。 手をすり抜けていってしまうまで、大切な想いに気づけなかったのだから・・・」 彼女はあの数日後、宇宙の新女王となった。 今では聖殿の奥でしか会えない金色の天使。 マルセルは少し口元を歪めて、テラスに出た。 そこにはあの日と変わらない木漏れ日がある。 その陽射しを全身にあびてマルセルは唯一人、色あせない天使の名をそっと唇にのせた。 「アンジェリーク・・・」 |
――いつも仲良しでいいよねって言われて でもどこかBlueになってた あれは・・・恋だった |
〜 Fin 〜
― あとがき ―
一度はやってみたかった、歌詞付き創作です!
しかもスピッツでv
この曲はアルバムにしか収録されてない曲なんですが、これ聞いた時に思い
浮かんだのはマルセルだったんですよね〜。
友情と恋の線引きが曖昧な時期だろうな、マルセルは、ということで。
でも「仲良しでいいよねっていわれて」なのか「仲良しでいようねっていわれて」なのか
微妙にわかんないんですよね(^^;)
スピッツに詳しい方、間違ってたらごめんなさい!!
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