愛する貴女に花束を
〜 ディアーナ 〜
―― 初めてそのお話を聞いたときは驚きましたわ! だってキールが実験に失敗して異世界の女の子を召還してしまったなんて。 しかもそんな事になってしまったのだからきっと落ち込んでいるのではないかしら、と思っていましたら魔法研究院の長老達をキリキリ舞いさせるような女の子だっていうじゃありませんの。 だから私とっっっっても会ってみたくなりましたの。 ・・・もしかしたら私がずっと欲しかったものが得られるかもしれないって・・・ 彼女と初めて会ったのは王宮の書庫でしたわ。 キールが噂の異世界人の女の子を連れて書庫に来ているって女官達から聞いて私、つい家庭教師達を巻いて会いに言行ってしまいました。 ・・・その事は後でお兄さまとアイシュにこっっっってり絞られましたけど。 でもわざわざ会いに行ったかいはありましたわ。 彼女は・・・メイ=フジワラというお名前の異世界人の女の子は思っていたとおり・・いいえ、それ以上に私に気さくに接してくださいましたの。 私の身分を知って、キールに怒られてもメイは私を特別扱いしませんでしたわ。 本当の友達と同じように、「よろしくね。」って・・・ ・・・きっとメイにはその時の私の喜びはわからないでしょうね。 でも私は本当に、本当に嬉しかったんですの。 その時まで私は家族以外に私の事を『クラインの王女』という肩書き無しで見てくれる人を知りませんでした。 どこへいっても王女様って大切にしてはもらえたけれど・・・本当は寂しかったんですわ。 お兄さまにはシオンが、心の許せるお友達がいるのに私にはどうしてそんなお友達がいないの?!ってだだをこねた事もあるほどに。 ・・・だからメイと会った時、初めてお友達になれる人に出逢ったと思ったんですの。 それから私、メイとたくさんお話をしましたわ。 お茶会をしたり、こっそりお忍びで出かけてメイに街を案内してもらったり・・・ メイは楽しい事をたくさん教えて下さいましたわ。 街で遊ぶ事もそうですけれど、お友達とおしゃべりする事がこんなに楽しい事だなんて私知りませんでした。 ・・・そしてメイは私の初恋の事も笑わずに聞いてくれましたの。 王家の事を考えればもう諦めた方がいいのかもしれない・・・ そんな風に弱気になっていた私にメイは一生懸命言ってくださいました。 『一番好きな人とじゃなくちゃ、幸せになんてなれないよ?!』 って。 それから小さな声で 『・・・私はディアーナが幸せになれないなんて嫌だからね・・・』 って・・・ 心配してくれるメイの心が嬉しくて、あの人を想い続ける勇気をもらった気がして私、泣いてしまっていたの、気がつきました? メイがあの時、ああ言ってくれたから私、信じることができたんです。 いつかきっと想いはかなうって。 ・・・そして奇跡は起こったんですわ。 あの人と再会したのは去年の降誕祭。 それからはめまぐるしく事件が起こりました。 あの人が実はダリスの皇太子で、でも今はレジスタンスのリーダーになっているっていうことがわかったり。 ダリスの王との縁談を承諾することになったり・・・ 本当につらい想いもしたけれど、すべてがいい形で終わりを迎えて・・・ ―― そして私は明日、ダリスの新国王になったアルムレディンの妻になります そこまで考えてディアーナは目を手の中に落とした。 そこにあるのは小さなピンクの花をふんだんに使ったブーケ。 明日、ディアーナがアルムレディンとの式で持つブーケだった。 ディアーナは目の高さまでそれを持ち上げて柔らかく微笑んだ。 「・・・あのね、明日私があなたを投げるから、その時はかならずメイの所へ行ってね。」 彼女はきっとそんな風に意識してはいないだろうけど、自分ををずっと支えてくれた大切な大切な友人、メイの所へ。 一足先に幸せになるけれどかならず彼女にも素敵な幸せが訪れるように。 生まれて初めてできた大好きな友達だから。 だから 愛する貴女に花束を 〜 END 〜 |
― あとがき ―
おおおおーーー!!遂に野望のシリーズ完結!!・・・よかったあ、書き切れて(^^;)
ディアーナは花束シリーズ書き始めた時から書く気まんまんだったんで以外にあっさり書けましたv
や〜、やっぱディアーナってメイが初めて『友達』らしい友達だろうなあ、とずっと思っていたんでこん
なお話ができました。
・・・まあ、東条がメイ至上主義だから女の子もあますところなくメイにメロメロであってほしいという願
望のあらわれかもしれませんが(^^;)
あ、シリーズの方ですが一応、まだ隠しキャラとか残っているんですがここまでで完結とさせて頂きます。
隠しキャラ等はリクエストがあったら書こうかな〜っとか思ってます(誰もしないって・笑)
長い事お付き合いありがとうございました!
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