24金



「先輩のフルートって金だってホントですか?」

「え?ああ、これ?そうだよ。」

「やっぱりそうなんだ〜。銀色のフルートじゃないなあって思ってたんですけど。」

「火原に聞いたの?」

「そうです。ちなみに・・・・何金?」

「24金。」

「24金!?」

「まあ、銀でももう少し金の純度が低くても悪くはないんだけどな。やっぱり、こっちの方が音が柔らかいんだよ。」

「は〜、24金・・・・」

「おい・・・・」

「・・・・・・・・24金・・・・・・・・・」

「おい、香穂子。お前、くだらない事考えてないか?」

「・・・あ、えっ!?いえ、そんな〜。」

「ふうん?」

「言ったら絶対呆れられるから!」

「そう?まあ、言うか言わないかはお前の勝手だけど。」

「・・・・?」

「虐められたいんならね。」

「!や、そ、それはちょっと遠慮したいというか・・・・」

「じゃ、さっさと言え。」

「呆れません?」

「内容によるな。」

「や、そのちょっと・・・・輪切りにしたら24金の指輪がいくつかなあ、なんて全然考えてないですよ!」

「・・・・はあ。」

「ちょっ!ため息つくなんて酷いですよ!呆れないって言ったじゃないですか!」

「内容による、と言ったぜ?だいたいフルートを輪切りに、なんて考えつく方がどうかしてると思うぜ。」

「だから、ちょっとって言ったじゃないですか!」

「・・・・・・・・・」

「だから呆れた目で見ないで下さいってば!」

「・・・・まあ、フルートを輪切りにしなくったって、24金くらいの指輪、買ってやるよ。」

「え?」

「だから」

「?」

「ここ、にはめろよな?」










―― そう言って、柚木が口付けたのは


                         香穂子の左手の薬指  ――
















― ひとこと ―
オーケストラの人間は結構こういう馬鹿な話してます(笑)






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