見上げた先
「・・・・」 「神子・・・あかね、様。どうかなさったのですか?」 「え?あ、嘘。ごめんなさい。気を悪くしました?」 「いいえ。ただ何故じっと私を見ていらっしゃるのかと思いまして。」 「うーん、と。頼久さんって、背が高かったんだな〜って。」 「は?」 「他の八葉のみんなといる時は頼久さんが一番背が高って言うのは気が付いてたんですけど、なんとなく私の印象では友雅さんが一番大きかったから。」 「それは・・・・存在感ではないでしょうか。」 「え?・・・・うーん、存在感っていう意味では頼久さんに敵う人はいないよ。」 「そうでしょうか。」 「だって、好きな人、ですし。」 「あ・・・いや、その・・・・(///)」 「だからね、存在感じゃなくって・・・・ああ!そっか!」 「?」 「頼久さんって私の前でよく膝付いてたからだ!」 「・・・ああ、そうですね。臣下として当然の態度でしたから。」 「ふふ、臣下じゃないって何度言っても聞いてくれなかったもんね。」 「・・・・あの時は、それが私の気持ちを抑える唯一のたがでした。申し訳ありません。」 「いいんです。今はちゃんと大きく感じるって事は、神子だった時みたいにしてないってことだもんね。」 「そうですね。今でも貴女を主として敬う気持もありますが・・・・」 「?」 「それ以上に、今は・・・・私の大切な方です。」 「(///)頼久さん、その顔、反則・・・・」 「?それに、あかね様。」 「え、何?」 「こうして見下ろしていると、貴女の顔をよく見ることが出来る、という事を私は知ってしまいましたから。」 「!だ、だから最近、膝付かなくなったの?」 「そうかもしれません。」 「い、意外に現金(///)」 ―― 反撃代わりに言った言葉は、あっさり頼久の微笑みの前に甘く溶けた 〜 終 〜 |