★花火★
<脚本:長坂秀圭>

<SS版→ピンクのしおりにしてから、主人公選択画面で高峰隆士にカーソルを合わせ、4回点滅させてから”左ボタン入力”で出現>
<PS版→8人全員のシナリオを全て読み終えると出現>



 このシナリオは、泣く、泣きます、泣かせます。

 涙なくては語れませんよ。この話は。そして、この「花火」無くては、街はもちろん隆士は語れません!!!このシナリオは、他のシナリオと比べ驚くほど短い話ですが、詰まっている内容はこの何十倍にもなるほどの重さを、そしてメッセージを乗せているのです。

 主人公は、高峰厚士。
 そう、隆士の父親。

 隆士の結末を知った後で、このシナリオの存在を知った時のショックはかなり大きかったのではないでしょうか。実は私もかなりショックを受けました。隆士シナリオでは冷たく愛情のかけらも見えなかった父厚士。それが、こんなにも我が子への愛情が溢れていたなんて...。そして、こんなにも不器用にしか愛することが出来ないなんて...。

 「親の心子知らず、子の心親知らず」とはよく聞きますが、まさにこの親子がそうでした。隆士の心を厚士は理解できなかったのです。厚士の心の中では、隆士は幼い「隆クン」のまま。時間が止まったままだったのです。そして、隆士もまた厚士の心を理解できていなかった。厚士の内面に隠された溢れるほどの愛情に、気付くことができなかったのです...。8年前にできた小さな溝が次第に深く、いつの間にか修復不可能にまで深くなり、その年月がお互いの気持ちを頑なに...お互いの事を表面でしか判断できなくなってしまったのです。

そんな中での3年ぶりの対面で、お互いに掴み所のない相手の気持ちに戸惑いを感じ、苛々を募らせ、自分の気持ちが素直に言えない、うまく伝えられないもどかしさや悲しみが、厚士のシナリオを読んでいて文面から伝わってきました。

 そして、親としての意地と親としての愛情の深さを。

 これを読んでいて感じませんでしたか?自分たち親子も何だか似てるなーって。近頃、親子の会話が少なくなっているのも事実。このシナリオを読んだあと、”自分たちはどうなんなろう”と、思わず考えさせられました。そして、改めて隆士シナリオの良さを感じさせられたシナリオでした。

 貴方は、いかかでした?


オカヤマビルへ