★オタク刑事、走る★
<脚本:長坂秀圭 平松正樹>

 この人がいなけれは、やはり街は語れないでせう。

 「街」のスーパーアイドル(?)噂の彼は雪印のコーヒー牛乳大好き人間、自称ゲーマー刑事だがはたから見ればだたのゲームオタク、雨宮桂馬(25)!!彼がいなければ、街にドップリはまることもなかっただろうし、あらい正和さんの名が知れ渡ることもなかっただろう(笑)と私は思う。それくらい凄いんですよ、あらいさんの素顔が。...じゃなくって、(いや、実際そうなんだけど...)、面白いんですよ。シナリオが!

 世間様では、桂馬役のあらい正和さんの素顔を拝見して、そのギャップの凄さに圧倒されて桂馬に転んだ人が多いようですが、私はそういうのを抜きにして、桂馬のシナリオに惹かれました。と、言っておきながら、あらい氏の出演しているビデオを入手して、声を聞いたとたん転ぶかもしんないなぁ...。実際に隆士がいい例だし.....。

 まあ、それはさておき。

 話の流れは確かにありきたりなものを感じさせる。がしかし、一歩間違えれば渋谷消滅の中での緊張感あるゲームを使った謎解き、一部の無駄もないヒントの掲示、そして全ての謎が最後には一本の線でつながっていく様は読んでいて身震いがするほど凄い。話を進めていく中で、桂馬が必死で考え、渋谷の中を一生懸命走り回っている姿を、ある時は天から見守る神のごとく、ある時はいつも側にいるしおりさんのごとく、ある時は桂馬自身となって、見ている(感じている)と、だんだん桂馬君がいとおしく感じてきて、つい声に出して「桂馬、がんばれ!」と、言ってしまうほど面白くってツボにハマってましたね。しかも、シナリオが途中で「つづく」で止まってしまった時には、根性で他の主人公からのザッピングを探して、先に桂馬のシナリオだけ進めてしまうほど中毒性を持っているもんだから、5時間6時間は当たり前でしたわ。

 そして、最後のオカヤマビルでの犯人との対面。この場面は、涙なしでは語れません。本当に意外な、意外な人物だった上に.....。犯人が切々と語る時、桂馬との5日間に渡る様々な出来事が走馬灯のように頭の中をかけ巡り、様々な思いが胸の中に溢れ、桂馬の...そして犯人の思いが痛いほど伝わってきたのを覚えてます。ゲームでここまで泣いたのはこの「街」が初めての様な気がします。

 桂馬はこの「街」のメインシナリオと言っても過言ではないでしょう。(実際、体験版も桂馬のシナリオのボリュームが一番多かったし)


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