17 28歳からの趣味・サツキ
S60年頃、「サツキ鑑賞会?」
会社の同僚を浦和に迎えて
私の3大趣味と言うと、麻雀・ゴルフ・サツキ盆栽だ。
麻雀とゴルフは、30数年と期間は長いが一般のレベルで、30年弱のサツキ盆栽は、素人としては自慢できるレベルかもしれない。そのサツキも最近は、まだ日が浅いカメラとHP遊びに押されて、全く不熱心になってしまい全くお粗末になっている。先日、久しぶりに会った先輩から、サツキは元気かと言われた事もあって、昔の写真を眺めながら振り返ってみた。
私の実家には、特に庭というものは無かったが、近所や友達の家には、立派な庭が多かった。五葉松が横たわり、鳥海山の石を囲んでサツキが植え込んである。鉢には、必ずしもいい形ばかりでは無いが、盆栽があった。
そんな家が多い中で育ったからだろうか、会社の帰り道にピンクの花を咲かせていた「貴公子」と言う小ぶりのサツキを買った。28歳、サツキ盆栽の始まりである。「若いのに」と珍しがられながらも、夢中になってしまった。
サツキの楽しみ方には、花柄を楽しむ事と形に重きを置く楽しみ方があるが、私は、形作りを楽しんだ。枝振りや根張りを年月をかけて育てていくもので、結構根気が必要だった。最初の頃は、大事な枝を針金掛けで折っては、暫くは気の抜けた状態になったりしていた。
仙台勤務時代は苗木が多かったが、全部で150鉢あった。これだけあると、当然、家族の協力が無いと全ての面倒を見ることは出来ない。毎日の水掛、短期間に済ませる花殻摘み等、家族一緒になって協力してくれた。「私たちとサツキと、どっちが大事なの」と皮肉られながらも、長年の協力には感謝している。
サツキは、6月に行う枝の剪定と植え替えが一番肝心で、6月の土、日曜日は当然朝起きてから夕方暗くなるまで、この作業となる。大きな鉢では、最低でも1Hは掛かる。従って、土・日以外に3〜4日ほど有給休暇で消化した。
S58年、東京勤務になった時である。このサツキを持って行けるのか心配だったが、新しい住まいの浦和には広い庭があった。そこで、サツキ専用に2トン車を準備し、荷台を2段にして詰めるだけ積んで、後は残していくことにした。
引っ越しの日、近所の方が噂を聞いて集まってきた。私の気に入っている鉢から順に並べ、車に積んだ。あのサツキは残るのだろうか等ワイワイ賑やかに見守る中、70鉢が車に積まれ、残り80鉢は、集まった方に育てて頂くことになった。殆どの方が狙っていた花が手に入ったと大変喜んでいた。
さらに平成元年、北浦和に移ると共に約半分になり、現在の大和田に移って来て、また半分の約20本になった。昨年、大きな鉢の一部をサツキ愛好者の知人に引き取って頂いたものもあり、更に少なくなっている。
苗木から15年程で、幹と枝に
針金が掛かっている養育状態のサツキ
良く花をつけたサツキ <S62 奥野さん 撮影>
日光 光琳 鬼怒の光 小金錦 旭の泉
私は、サツキの管理は比較的簡単な方だと思っている。水やりもあまり加減をせずにタップリやればいいし、寒さや病気にも強い。勿論、守らなければならない基本はあるが、一寸マスターすれば良い内容である。
1に「日当たり」、2に「水掛」、3に「植え替え」、4に「害虫駆除」の順でしょうか。多くの方が気にしている肥料などは、これらに比べると重要性はずっと低く、むしろ、剪定などの方が大事な事項と言える。
さて、サツキの花が咲かないと言う話を聞く事があるが、花の咲かないサツキは絶対にありません。次の事をチェックすれば、殆ど問題は無いと考えます。<勿論、多くの要因がありますから、全てではありません>
以下、簡単なポイントを紹介します。
・サツキの花芽について
サツキの花は、【新芽が7〜9月の日光に当たる事によって、花芽に変化する】原理をまず理解しておく必要があります。この事を念頭に置いて、以下のポイントをチェックしてください。要領が掴めると思います。
・日当たり 1日3H以上。 特に夏の日照は大事。
サツキの花芽の原理を理解していると、当然のこと言える訳です。但し、7〜9月は十分に日光に当てますが、陽ざしが強いと葉の先が焼ける事がありますので、注意が必要です。
日当たりについては、木を丈夫にする為にも、この時期以外にも1年中重要ですので、最も心がける事項です。
・水掛と水はけ 春と秋は1日一回、夏は朝夕の2回、冬は枯らさない程度に2〜3日に1回、水はけは良好に。
水やりで最も注意することは、タップリやった水の「水はけ」です。鉢から水が逃げていくようにすることで、受け皿で水を貯めておく光景を良く見ますが、絶対にやってはいけません。根の温度が上がらなくなり成長しませんし、根腐れ発生の直接原因になってしまいます。
・植え替え 鉢によって水はけの状態を見ながら判断しますが、基本は3年に一度と考えて良いと思います。
この植え替えが苦手な方が多いかもしれません。しかし、サツキは発育が旺盛な木ですから、鉢の中で根が一杯になると発育が止まる事と、水が鉢全体に行き渡らなくなります。特に冬期には、表面だけが水分を含んでいるように見えて、木が枯れてしまう等の大きな要因となります。
植え替えは、まず鉢から抜いた根を、形に添って二分の一に切り落とし、棒で良く突っついて根をほぐしたら、そのまま元に植え直すと言う方法で良いと思います。土は、必ず保水の良い「鹿沼土」を使ってください。
・害虫 どうしても害虫が発生しますので、2週間に一回を基本に消毒します。
数が少なければ、スプレーの殺虫剤で良いと思います。この害虫問題は、普段から気をつけていないと見逃してしまう事です。或いは、被害が広がってからしか気がつかないと言う問題です。特に、3月頃に発生する害虫は非常に小さい虫で、つぼみを食べるのですが、つぼみが枯れてから初めて気がつく事が多いので、本当に厄介です。そこで、2週間に一回の消毒を習慣づけると良いと思います。また、風通しが悪いと病虫害が発生しやすくなりますので、確認しましょう。
・剪定 花が終わったら(6月中に)直ぐ花柄を摘み、剪定をやり終える事。
7月に良い新芽を出し良い花芽をつける為には、花が終わったら直ぐ花殻を取り除き実施します。サツキの新芽は数多く出て来るので、形を整える事と新芽の数を整理するためで、「2枝2葉」を基本とします。「2枝」は、2本の新芽だけを残す事、「2葉」はその枝のもとの方から2枚の葉を残し、その先を切り捨てて剪定する事です。良い剪定は、翌年素晴らしい花を約束します。
もう一つ注意することがあります。サツキの枝を切るのは、この時期以外に絶対にやってはいけません。花芽の原理からも分かるように、折角、7〜9月の間に花芽を付けたのに、切り落としてしまう事になるからです。この間違いは、秋に他の庭木と一緒にサツキをバッサバッサ剪定していることが多いのでも分かります。この光景に、お節介にはなるのですが本当に注意したい気持ちになります。
・肥料 油かすを花が終わった後から、10月頃まで軽く与えます。肥料は、春先は絶対にやらない事。
サツキに対する肥料は、あまり神経質にならなくて良いのかもしれません。一ヶ月一回の油かすで十分です。
ただ大きな間違いの一つは、花前の春先に肥料を与える事です。良い花をさかせたい一心でしょうか、折角花芽に変化した葉先が、この時期に肥料(窒素)を与えることによって、勢いの良い葉に戻ってしまうのです。花芽の原則を理解していると良くわかると思います。
この点に気を付けると花を咲かせる事については、大体大丈夫ではないでしょうか。サツキは冬も含めて比較的丈夫な花木ですから、大事にしすぎないように育てる事が肝要と思います。
また、サツキは花柄、花の大きさ、木の性格など物凄く奥の深い花木で、誰にでも楽しめるものと思います。近年、愛好者が少なくなっていますので、是非、多くの方に育てて頂きたいと願っています。
ティ・タイムへ M310topへ
<<< この写真は、拡大できます >>>
02/2/23