4/6(日) 【静かな雨】
先週の日曜日。用事があって世田谷に出向いた帰り。
せっかく都内に出たのだからとちょっと寄り道して帰ることにした。新宿は大好きな街の一つなんだけど、一人で歩くには、ちょっと厳しい気もしないわけではない。洋服を買うとか、家具を買うとか、ナニか目的がある場合はいいんだけど、ただちょっとフラッとという場合は、パワーがありすぎる気がするのだ。
その点、銀座とか、日比谷はいい。一人でブラッと歩くのにとても心地よい。
「あっ。そうだ。 堤さんの映画が日比谷で上映しているんだっ!!」と思い、日比谷線に乗り換えて、日比谷シャンテシネに足を伸ばした。
実は、堤真一のプチファンになってしまったらしいのだ。そう、あの香田ワールドに引き込まれてつつ、堤真一の神妙な顔が、柳沢慎吾ちゃんにそっくりだと認識したとき、何故かドツボにはまってしまった。
見に行った映画は「卒業」。GoodLuckでも共演している内山理名さん主演の作品で、静かで、雨の映像がとても美しい映画でした。そう言えば、内山理名さんって、「ベストカー」で大野クンと並んで「ブレイクしそうなタレント」にあげられたんですよね。どことなく山口智子さんに似ていて、キュートで品のある女優さんだなとあらためて思いました。
堤さんは、内山理名扮する主人公のどうも父親らしくて、主人公は、堤さん扮する心理学講師を、何とも不思議な思いで見守っているのでした。母親が子供を見守るように優しく、恋人を思うように切なく。
もちろん、堤さん扮する先生は目の前にいる女子学生が自分の子供なんて知るよしもない。でも、強引にデートに誘われ、振り回される堤さんの様子が、不思議と清らかで、そして安らかで、二人のデートは静かに降り落ちる雨と同じようにとても綺麗でした。
途中、主人公が、アルバイトしていたコーヒーショップ、美術館、公園に案内したあと、「今度は先生の好きな場所を案内して。」とせがむ場面がありました。すると、堤さんは昔、いつも恋人を何時間も待たせてしまった水族館へと案内するのです。もちろん、その恋人とは、主人公の亡き母親でした。
思い出の場所。自分の大切な場所。それがどこであるか振り返って考えることは自分自身を見つめることになるんではないだろうか。そんなふうに映画は語りかけているように思いました。
いつもの友達に「好きな場所ってどこ?」って訊いたら、「う〜ん・・・。実家の裏の畑かなぁ。」という答えが返ってきました。はい。確かに。私の大好きな場所の一つでもありまする。「飽きない場所は水族館。図書館も好きだなぁ。」と付け足し。
母に訊いたら「東京だったらやっぱり銀座かしら。東宝あたりがいいわぁ。」
もちろん私も大好き。母と宝塚に行くと、必ずよるお店があるんです。不二家レストラン。いつ行っても変わらない雰囲気がいいのです。
青山劇場に向かって毎年必ず歩く表参道ももちろん大好き。
ちょっと話は変わりますが、工事中の現場を見るのが実は大好きなんです。新しい命が生まれる喜びに包まれているような気がするのです。どんな人がここで生活するのだろう、どんな人がここで新しい出会いを経験するのだろう・・・。工事している人もまるで自分のことのように期待に胸を弾ませているような気がします。
たとえば、今まであったガソリンスタンドがなくなって、更地のままずっとそこにあるのはとてもつらいけれど、工事が始まると、なんだかワクワクしてくる。地球の細胞が活発に新陳代謝を始めているかのよう。
実は今通勤で毎朝走っている県道、そして国道バイパスも大好きな場所の一つなんです。富士山がよく見える。田畑の色の変化も楽しみ。どこまでも広がっている空の色もいつもやわらかに感じる。同じようにやわらかに曇る地にまるでこぼれているかのように散在ずる薄いピンクの桜。地と空を縫い合わせるかのような電信柱と鉄塔群。
相変わらず格闘の毎日だけど、通勤の道路が大好きといえるのは、とても幸せなことかもしれないです。そう言い聞かせて頑張ります。
