8/31(土) 【星か月か】
 宝塚月組の霧矢大夢さんのパーソナルブックというのを読んでいたら、「100の質問」に答えるとても楽しいコーナーがありました。よくある「100の質問」とちょっと違って、全ての質問が二者択一。二つのうち、どっちか好きかを答えるのです。どちらとも言えない場合、どっちも大好きな場合も認められるものでした。
 一番はじめの質問が「コーヒーと紅茶」。一番最後の問題は「生まれ変わるとしたら男か女か」。
 「いけるとしたら過去か未来か」なんていうのもありました。
 
 その中で、とても興味深かったのが、人を選ぶ問題がいくつかあったことでした。
 まず宝塚らしいと思ったのが、エリザベートとマリーアントワネット。舞台としては、やっぱり、エリザベートでしょう。霧矢さんも「エリザベート」をお選びでした。霧矢さんは前回の「ガイズ&ドールズ」で女役の醍醐味と言われる役にも挑戦なさったと言うから、いつか、霧矢版「エリザベート」を拝見したいものです。いえいえ、カノジョが演じるのなら、やっぱり「トート」かしら。これも究極の選択です。

 ブラット・ビットとレオナルド・ディカプリオというのもありました。霧矢さんは、「どちらもメジャーすぎて」と選んではいませんでした。私の友達は、たぶん「ブラッド・ピット」と答えると思うなぁ。う〜ん、私は、どちらとも言えません。映画は俳優では選ばない主義ですから。

 「ジャニーズって凄い!キンキって凄い!!」と思ったのが、「キンキの剛と光一」という質問があったこと。悲しいことに霧矢さんのお答えは「興味なし」。残念ですねぇ。霧矢さん、ジャニーズにも素敵な人いるんですよ。「歌と踊りのとっても上手な、シャイな青年が一人いるんですよ。いつか絶対共演してください。」と今度教えてあげたいです。

 意外だったのは、松嶋菜々子さんと並んでいたのが、藤原紀香さんではなく、江角マキ子さんだったこと。私は、江角マキ子さんのことはよくわからないのですが、松嶋菜々子さんも、藤原紀香さんも、女優としての彼女たちよりも、トーク番組やバラエティーでの彼女たちの方がとても素敵だと思うし、好きです。きっと、素顔もとても素敵なんでしょうね。売れっ子の女優達って、結局は、素がとてもとても素敵な方たちなんだろうなと思います。

 質問にはなかったけれど、人物の二者択一と言えば、時代を超えて、話題になるのが、ビートルズのジョン・レノンとポールマッカートニーではないでしょうか。
 何かの雑誌で、若いときはジョンが好きな人が多いけれど、年をとると不思議とポールの方が好きになる・・・というようなことが書いてあったっけ。ふうぅぅん。私は、今も昔もジョン派です。
 あ〜あ。でも、ビートルズの曲なんて、久しく聴いていないなぁ。私は、ジョン派と言っておきながら、ポール主導の名曲、ビートルズの「アビーロード」のB面が大好きなのです。私が、聴いたのは、発表されてから、かなり年数が経ってからのことになるんだけれど、確かに心がビリビリとふるえたのを、今でもはっきり覚えています。ロックと言うよりは、クラシックを聴いているかのような美しさがありました。CDになってからは、曲が一つ一つ分かれてしまっているそうな・・・。弟の押入を探して、レコードをもう一度聴いてみたくなりました。
  
 そうそう、今度、ポールが四度目の来日をするそうですね。「これが最後の来日になるかも」なんて、ぴあのパンフレットに書いてありましたけど、そんなこと言わず、70歳になっても、80歳になっても、素敵なメロディーを聴かせに来日していただきたいものです。
 そうそう。ぴあのパンフを読んでいたら、ビートルズの年表のようなものが書いてありました。ジョンが亡くなった年に大野クンは生まれていたんですねぇ。うぅぅん。言葉がありません。

 私は、ジョン・レノンの作った、あの魂に響くような歌が大好きなので、大野クンにいつかジョン・レノンの歌をしっとりと歌いあげてほしいと楽しみにしています。そして、芸術とも言える美しいあの「アビーロード」B面で躍る大野クンのダンスステージがいつか実現できないかなぁと思います。

 話を「100の質問」にもどします。とても意外な質問だったのが、「星か月か。」
 考えてみると、私は今まで、「月か太陽か」なる話題ばかり、とりあげてきたような気がします。「星か月か」なんて考えたこともありませんでした。
 うぅぅん・・・。やっぱり月かなぁ。
 そう言えば、朝に見る月もとても好き。雲一つない澄み切った空に、それこそ、向田邦子さんじゃないけれど、大根の薄切りのような半透明の白い月を見つけると、なんとなく得したような気分になるのです。
 月の魅力は本当に奥深い。

 そうそう。忘れてならないのが、「北海道か沖縄か」。霧矢さんのお答えは、北海道でした。実は、来年の課の旅行が、沖縄になるか、流氷になるか、今意見がまっぷたつに割れているのです。
 私は、もちろん、北海道。流氷も見たいけれど、美味しいお魚料理も食べたいけれど、やっぱり、あの四角い太陽をどうしても見たいのです。

 でも、今のところ、なんとなく、沖縄になりそう。隣の席に座っている同僚が大学が沖縄だったとかで、案内はまかせてくれ!と妙にはりきっているのです。「あのね、凄いんだよ。夜はね、海も空も真っ暗で、天の川がブツッと切れるから、ああ、あそこが水平線なんだってわかるんだよ。砂浜は星砂だし。」
 ・・・・。弱いんだなぁ。星空の話をされると。。。
 満天の星空に輝く月を、夜中じゅう、じっと見るのも素敵なのかなと思う。ああぁぁ。沖縄もいいかも。

 
8/19(月) 【悲しい星空】
 先日、友達の実家に遊びにいったとき、空いっぱいに無数の星が輝く様をはじめて見た。食事の時、私が、まだ、満天の星空を見たことがないというと、友達のお母様が、「夜中に起きて、空をずっとしばらく見つめていてごらん。もの凄く小さな星もだんだん見えてくるよ。」と教えてくれた。友達は、私以外みなアウトドア派なので、「なんで今さら星空なの。」とバカにされながらも、私は一人、夜中にベランダに出て、念願の満天の星空を堪能した。確かに見ていれば見ているほど、星の数が少しずつ増えていくようだった。どこまでもどこまでも星空が続くので、あっという間に首がいたくなった。
 そう言えば、タイタニックのジャックはベンチに寝ころんで星空を見つめていたのだっけ。寝椅子でも用意すれば良かったんだなぁ。
 
 このごろ、ふっと思う。この世の中も、まだ満天の星空を一度も経験していないのではないかと。
 
 なんで、こんなことをいきなり書き出したかと言うと、職場で地元新聞に目を通していたら、とんでもない見出しに出くわしたのだ。「女性器一部切除」。先週の木曜日だったか、黒柳徹子さんのソマリア報告の記事だった。
 でも、記事を読んでも、何のことを言ってるのかよく分からない。ネットで調べても、なかなか思うような情報を得られずにいた。
 その概要を知ることができたのは、偶然にもその翌日の金曜日。嵐がMステに登場したあの日だった。
 私は、母と食事をしながらTVで大野ダンスに陶酔し、そのあともしばらくの間、久々に大野ダンスを堪能できた幸せに浸っていた。翌日のコンサートに備え、もう一度大野ダンスを凝視しようとビデオデッキにスイッチを入れたとたん、普段はあまり見ないニュースステーションが映った。録画したチャンネルがそのままセットした状態だったのだ。画面を見て、ギョッとした。ゲストは黒柳徹子さんで、ソマリア報告をするというのだった。「あの記事のことも取り上げられているかも」と思い、画面にしばし見入った。ソマリアの悲惨な生活の様子が報告され、最後の方にちょっとだけ、私が知りたかった「女性器一部切除」のことが話されていた。それは、“FGM”と言われるもので、なんと2000年も前からアフリカや中近東、アジアの一部で行われていた慣習だった。文字通り、女性の外性器を取り去ることだったのだ。
 
 早速PCに向かい、“FGM”と言う言葉でネット検索したら、いくつかのサイトが見つかり、その概要を知ることができた。もう、知れば知るほど仰天。「戦慄」とか「驚愕」とか言う言葉はこういう時にこそ遣うのだろうと思った。

 FGMの理由は、「女性の処女性と貞節を守るため」「女性の外性器は不潔で見苦しいから」などと言う全くもってナンセンスなものだった。でも、ソマリアやケニアなどの中西アフリカの女性たちは、まだ教育を受ける権利を十分に得られていないので、仕事を持つことはなかなかできず、生活するには、結婚という道しかなく、しかも、多くの男性がFGMを受けていない女性を嫌うので、親たちは女の子が生まれると、当然のごとく自分の子どもにFGMを受けさせる。結婚させるため、そして、男性側から持参金をもらうためにだ。麻酔もなく、思うような器具も使えないので、悲痛のあまり、ショック死する場合もあるという。それでも、ほとんどの親が手術を受けさせるのだ。女性自身も、FGMを受けないと悪霊にとりつかれるなどの迷信を信じている場合が多いそうだ。

 女の子はその国で女に生まれたがために、何度も何度も死ぬほどの痛みを経験しなければならない。手術の時、結婚初夜の時、出産の時とそのたびに悲痛を味わうのだ。なんて悲しい話なんだろうと思った。この世の中で一番悲しい存在が人間なのではないとさえ思えてくる。

 考えてみれば、私が、女性問題に興味を持ったのは、高校生のとき。生物の時間に染色体異常のことを知ったときだった。
 女性の性染色体はXX、男性の性染色体はXYであることは、すでに中学校で学んでいたような気がする。でも、性染色体異常、つまりXのみ、あるいはXXYなる染色体の場合があるというターナー症候群やクラインフェルター症候群なるものを知って、もう、大・大・大ショックを受けたのだ。
 
 社会人になってからも、何度か研修会などで性の分化の問題について、話を聞くことができた。本もいくつか読んだ。そして、正常な染色体をもってしても、人間がこの世に生を受けて、母親の胎内で女性、男性と分化していくのは、本当に神秘的なことであることを知った。そして、生まれた後、社会や家庭環境の中で形成される性差もとても大きいことも知った。

 以前、NHKの番組で、男性として生まれたけれど、5歳のころ「自分は女だ。」と確信し、ずっとずっと悩んできた方が、今は、女性として生きることを選び、周りにいる人たちにも自分が女であることをきちんと話し、少しずつ理解を得ていることを紹介していた。その方は、確か、性転換手術は受けず、ホルモン治療だけを受けていた方だったと思う。パッと見ると完全無欠の男の方なんだけれど、話し出すと本当に普通の女性。一緒にお仕事でもさせていただく機会があれば、きっと尊敬せずにはいられない人格の持ち主のように感じられた。

 私は、いろんなことを知るたびに、人間ってなんなんだろう、男と女ってなんなんだろう・・・っていつも考えさせられる。
  
 今、日本では、徐々にではあるけれど、ジェンダーフリーの考え方が普及しつつある。私の上司も、「女性の生き方もいろいろだ。星の数ほどあっていい。」と口をそろえて言う。今年、一緒に入所した同僚は、奥さんが腰の病気なので、布団干し、食後の片づけ、部屋の掃除はいっさいカレがするのだとか。
 
 でも、実際は、男女差別問題はまだまだ山積みなのではないだろうか。それに、FGMだけでなく、性同一性障害、夫婦別姓、DV、中絶、人工授精、代理母問題など、女性問題は多岐にわたり、どれも当事者にとっては切実だ。
 本当のジェンダーフリーというのは、いろんな性の問題があることを誰もが正しく理解し、誰もがまず人間として尊重され、その人らしい生き方を自然に選択でき、まわりもごく自然に認められる世の中なんだろうとつくづく思う。

 どんな小さな星も、堂々とその光を放つことができる世の中を、一人一人の正しい知識と正しい理解で築いていきたいものだと改めて思うのだ。

 今も悲しく涙を流している世界中の悲しい女性たちも、全員が満面に笑みを浮かべられる日が、いつかきっとやってくる。そうしなくちゃいけないのだ。じゃないと、どんなに美しい星空を見ても、本当の感動なんてあり得ないのだから。