<小話〜その2〜>

 
買い物事情♪


 観光の合間合間に、お土産もの屋さんに連れて行かれるのは、ツアーにのっている以上、仕方の無い常識。
 それでも、今回はあまり連れまわされることは無かった。三日間のうちせいぜい三軒程度で時間も短い。
 内一軒は博物館内部にある書画のお店。「げっ…!」と絶句してしまうようなお値段。もっとも日本では手に入らない有名な書家の本物が置いてあった。我ら貧乏旅行者は目の保養をするばかり。
 もっぱらの「お土産物」はホテル内部で調達することに。本当は王府井辺りの繁華街に出掛けたかったのだが、わずか三日間のハードスケジュールの為に断念。
 泊まったのは「新世紀飯店(全日空)」だったが、このホテルには何軒ものお土産屋さんが入っていて助かった。しかも、安い。日本の感覚だと、ホテル内の店は割高だというイメージがあったのだが、気持ち悪いくらい安い……。少なくとも外で連れて行かれたお土産屋さんよりずっと安かった。(きちんと、同じ品で値段比べしている風魔って……貧乏性だなあ……恥)
 中国のお土産ものといえば、やっぱり代表的なのは印鑑。日本だとわざわざ彫ってもらうのはとても高いが、こちらは石材を買えばサービスでみんな彫ってくれる。彫ってもらう経験なんてあまり無いので、苗字じゃなく名前の方で彫ってもらった。ちょっと手紙の最後なんかにポンと捺すにはかわいい。 いちばん安い翡翠や瑪瑙なら500円くらい。(お遊び感覚で作れる)それでも、飾っておきたいくらい綺麗だ。
 でもさすがに、同じ翡翠などの材質でも透明度の高い石や、象牙、棗などになるとちょっと高くなって4〜5000円くらいになる。そして、かの有名な『鶏血石』……これは眺めるだけ。さすがにこの石はホテル内では見かけなかった。印鑑専門店のショーウィンドで見つけて、嬉しくなって暫く張りついて見てしまった。――おっと、脱線。
 さて、値段交渉だが、ある程度は値切ってもていいと聞いていたので、「いいな」と思う品があっても、何度も手にとっては離しを繰り返したり、迷っている素振りでうろうろしてみる。(こ、姑息だ…) そして、なるべく店員がヒマそうな時に入店するといい。そうすると、細かい交渉に乗ってきてくれる。ただし、買う気が無いときは団体の後ろについて入る。
 中国は漢方薬とお茶以外は、定価はあってなきが如し、のようだ。だいたい定石どおり、言われた金額の半額から交渉を開始して、それなりのところで手を打つ。安物はやっぱりあまり値引いてはくれないが、ちょっと高めの買い物をする時は、「え…!?」と言う金額で売ってくれた。
 今回、気に入った茶器のセットがあったのだが、1200元と高いので見るだけと思っていると――店員さんが声をかけてきた。「いいです、いいです」と逃げていこうとすると、「いくらなら買いますか」としつこく食い下がってくる。ヤケになった風魔、
500元
 半値以下。……今考えると凄い値段を言ったものである。さすがに店員さん、
「それはちょっと…」
 それはそうだろう。 しかし、「じゃ、いいですー」と去ろうとすると
「待って、待って!ワタシ、権限ない。マネージャーに聞く、待って」
 そして、帰ってきてから、
「内緒の値段ね、おっけーよ」。
 い、いいのか、半値以下っ!?
 しかも、更に鬼畜なことに、元の持ち合わせがなかった我ら、円で払おうとしたのだが、500元=7500円がピッタリなかった。そして、最終的に――7000円で買って帰ってしまったのだった……。

 しかしどんな買い物でも、安くなったことよりも、それまでのやり取りや駆け引きが面白いと思う。片言でも、電卓使って身振り手振りでもいいから、何かやりたい。
 ま、勇気がないのでなかなか思う通りには実行できないのが、現実ですがね。(笑)