<小話〜その6〜>

 
ガイドさんのこと

 風魔は現地ガイドさんが好きだ。
 できれば添乗員つきのツアーより、現地ガイドさん案内のツアーの方がいい。
 地元の人だと結構面白い話を聞かせてくれたりするし、何より――反応が面白い!(笑)
……と言ったら失礼なのかもしれないが、やはり違う国の人なので、ちょっとした感情表現の仕方が新鮮だったり、案内や通訳のやり方が意外で面白かったりする。いままで出会った現地ガイドさんの中で一番面白かったのはタイに行った時に出会ったソムさんという方だが――。水上マーケットに行く日の朝、ボートで迎えにきてくれた彼。安定の悪いボートの舳先に仁王立ちになり、片手を腰に当て、もう片手をブンブンと大きく左右に振りながら颯爽と(?)、「ミナサーン、オハヨウゴザイマーッス!!」と満面の笑顔で叫ばれたのは……今でも忘れられない。(笑)
 脱線した。
 さて、今回のガイドさん。お名前は「シャー・リン」さんといわれた。「謝輪」という字だそうだ。
 どうにも人の名前が覚えられない風魔。二度も三度もちゅんたに聞くので、困ったちゅんた――ポンと手を打ち、
赤い彗星と覚えればいいんだよ!」(――by ガン○ム 爆笑)
 かくして、風魔は無事にガイドさんの名前を呼ぶことができるようになったのであった。たとえ内心で「赤い彗星」と連呼していようとも……そう、間違いなく呼びかけられればそれでいいのだ!(笑)


 さて、この謝さん。
 いたって普通のまじめそうな人だ。日本語もとっても堪能。どうも話し振りからすると、かなりの教育を受けた――いい大学の出身のようだ。日本と比較的文化の近い中国の人だからかもしれない。あまり奇行は目に付かなかった。(いや、別に期待してるわけじゃ…はは)
 一番すごかったのは服装。小話4にも書いたが、皮ジャン一枚で延々通していた。そして足元は、まるで夏用かと思うような薄いスラックス……。さすがは現地民である。
 各観光地での説明もなかなか分かりやすく、細かい質問にもきちんと答えてくれる。しかも結構日本語の微妙なニュアンスを理解してくれるので、話をするのがとても楽だ。本当に頭のいい人なんだろう。
 が、たまに意図せずお茶目なことがある。天然なのか、それとも真面目が過ぎた結果なのか―――。
 テレビ塔に行ったときのことである。
 バスを降りて大きな広場を歩いて入口まで向かう。――と、途中で太極拳をやっている地元のお年より立ちの団体に出会った。それを見た謝さん、なんだか嬉しそうに――
「あれ、老人ディスコね♪」
………ガイドさん。そ、それって…違うんじゃあ……(爆笑)
 天壇公園に行った時のこと。自由時間を取ってくれるというので、集合場所を決めておくことになった。
 くるくる周囲を見渡した謝さん。しかし、辺り一帯はだだっぴろい広場だ。ちょっと考えた彼は、やがておもむろに腕を上げ、ひとつの建物を指差した。
「あそこにしましょう。あそこに×時集合。皆さんが分からなくならないように、あの建物の『前の辺り』に私、立ってますから、観光終わったら来てください」
 前辺りに立っている!? わざわざ!??
 まあ、いいか、行ってみれば分かるだろうと、我らは一通りウロウロし、高台に上がり、 そして――ふと、指定された建物を見下ろした。と、そこには――
 ――い、いる!
 まだ集合時間には間があるというのに、律儀にひとりボツネンと立ち尽くす彼の姿があったのだった……。
 その哀愁漂う背中に、ついシャッターを切ってしまった風魔だった。
写真28←この真中にポツンといるのが謝さんだ!


 旅が円滑に進められるのは、ガイドさんの力量だ。
 我らが無事に帰ってこられたのは、彼のお陰だろう。
  謝さん、貴方は本当に優秀な案内役でした。ちょっとお茶目なところもとっても◎です!ありがとうございました!!

 本当にレベルの高いいいガイドさんだった。いつの日か、また巡り遭いたい……。