<小話 〜その2〜>

お土産売りの人々




 どこの国でも観光地にはお土産売りさんが出没するものだ。

 カンボジアも例外なく、遺跡を歩いていると、流し(?)のお土産売りさんたちが寄ってくる。

 肩から袋をかけたり、籠の中に商品を持って、近づいてくる。遺跡から遺跡へと歩いて移動している時、そして車から降りた時が多い。たとえば、アンコールワットの入口付近には沢山の人がいるが、内部にはいない。これは、彼らが礼儀正しくて遺跡観光を妨げないようにしているのか、それとも中には入ってはいけないという決まりでもあるのか……。よくは分からないが。
流しの人達は、子供達が圧倒的に多く、たまに女性。
 結構しつこい。纏わりつくようにして、「これ1ドル、これ1ドル」と繰り返してくる。お釣りは多分――持っていないので、1ドルでの売買が全て――の模様。値切りたければ、品数を増やして、「これだけ全部で1ドルにして」という具合で交渉する。
 一度でも足を止めたり、話を聞いたりすると、「いらない」と言ってもずーっとついてきて、そして違う商品を次々に出してくるので、買う気がない人は、始めから相手にしないようにしなければならない。一人一人に、「いいです」なんて断っていたら……歩けない。そう、良心が咎めようとも、心をにして、目も合わさずに歩き抜ける――これが最良である。
 ―――が、結構流しの人達が売っているものは安いので、お土産が欲しいわ、と思っている人は買ってみるのもいいと思う。アンコールワットにはお土産屋さんは殆ど無いし、ホテル付近のきれいな店は、同じような品でもとても高いのだ。特に空港は何もなく、しかもかなりの割高だ。
 ただし、品物はよく吟味しよう。流しの人達でも、持っている商品に良し悪しがある。多いのは、織物、草編みの腕輪、絵葉書などであるが、よく見ないと、汚れていたり折り曲がっていたりする。織物はそれこそ星の数ほど色柄が豊富なので、好きなものが目に止まったら、早めに決断を。観光スケジュールは結構忙しいので、流しの人達の所へは、あまり立ち止まっている時間も無いし、それに他の場所で同じような色柄のものにめぐり合える確立は低いだろう。
 なお、個人的なオススメは、1dayの本文にも書いたが、プノンペンの市場。アンコールワット近辺は、観光客が多いので、相場は高めである。ホテル近辺に土産物屋があって、ガイドさんが立ち寄ってくれるが、本当に何倍もする。我らの感覚からすると「安い」のだが、他の場所での相場を知ってから行くと――とても買う気にならない。
 カンボジアには、お土産を纏め買いするような場所はないので、最初から「知人みんなに土産を…」などという発想は捨てていくことをオススメする。気に入ったものがあれば買う――そのくらいのスタンスでいいと思う。


 ところで、やはり日本人観光客は多いのか、こんな場所でも、土産物屋の看板には拙い日本語が書かれていたりする。恐るべし、日本人である。きっと、金払いがいいんだろう。風魔はビンボーだったが…。(笑)
 土産売りの子供達も少しだけ喋る。「おねーさん」と呼びかけ、「これ、安い」とか「いくらなら買う」とか、その程度は話し掛ける。たまに、語彙の多い子がいたりすると、「おねーさん、キレイね」「おねーさん、ビジンだからまけるよ」とか、妙に歯の浮く台詞を口にする。が、

「おねーさん、キレイ。これ、似合う」
これは分かる。ここまではいい。――――が。


「おねーさん、キレイね。結婚シテクダサイ


………これ、完璧に分かってないぞっ!それとも、分かっていて口説いているのか!?

 訂正してあげた方がいいのか、どうなのか………。
 結局、爆笑して行きすぎた我らであったが、あの彼は、今でもあの場所で、ああ言いつづけているのだらうか……。それとも、うまくひっかけて、国際結婚したのか……はぁ、気になる〜〜……。