2000年1月△日 ★老犬ゲンゾウ。

最近毎日が寒い!
今日もやっぱりとっても寒い!だけど僕はいつものように、お姉ちゃんとお散歩に出かけた。

いつものお散歩コース、何もいつもと変わらない。
お姉ちゃんは周りに人がいないことを確認して僕をたんぼ道に放してくれた。
クンクン・・・・トコトコトコ。
「チャッピー!スットプ!」
僕の楽しいお散歩をじゃまするお姉ちゃんの怒鳴り声・・・。(僕は仕方なく止まる)

「チャッピー、あそこに何かいるよ」
「犬かなぁ?猫かなぁ?」
「ねぇ、チャッピー動いてないよねぇ?死んじゃってるのかなぁ?」
お姉ちゃんは僕に話しかけた。
お姉ちゃんはなんだか、ドキドキしているみたいだけど僕にはよく分からなかった。
はっきり言って、僕はそこに何がいようがあまり関係ない!
今は、僕の楽しいお散歩の時間なんだ!
「ク〜ン、ク〜ン(早く、行こうよ〜)」
僕は、つぶらな瞳でお姉ちゃんを見て甘えてみた。
案の定、お姉ちゃんは僕の可愛さに負けてお散歩を再開してくれた(^−^)v

お散歩を終えて、お家へ帰ってしばらくすると、お母さんが仕事から帰って来た。
お姉ちゃんは、お母さんが帰ってくると、何かを一生懸命話していた。

そして、お母さんとお姉ちゃんは、慌ただしく外へ行ったり、電話をかけたり忙しそうにしている。

外もすっかり暗くなって来た。僕は窓際の僕の特等席に座って外にいるお姉ちゃん達を見ていた

「ゲッ!何だ!何だ!知らない人が僕の家のお庭に知らない犬を入れてるぞ!!!」
「ワン!ワン!ワン!」僕はありったけの声で吠えた。
だけど、その犬は僕の声なんか無視してる。
次の瞬間、僕は抱き上げられて、2階のお兄ちゃんの部屋に閉じこめられた。
下の部屋では、さっきの犬がお家に入って来て、お姉ちゃん達にお風呂に入れてもらってるみたいだ。
しかも、僕のご飯の臭いがしてきた!?
・・・・・・・。
2時間後、誰かが、さっきの犬を迎えに来た。
相手の人は、なんだかとってもうれしそうに「ありがとうございました。」って言って帰っていった。

僕はようやく、お兄ちゃんの部屋から出してもらうことができた。
お姉ちゃんは、なんだかうれしそうに、さっきまでいた犬の話をしてくれた。

「チャッピー、さっきいた犬は、ゲンゾウって名前の17歳のワンちゃんなんだよ。
1週間前に、鎖に繋がれていたゲンゾウを誰かが悪戯して逃がしてしまったんだって、
それから、飼い主のお兄ちゃん達がずっと捜していたんだけど、全然見つからなくて、
歳も取っているし、耳も目も足腰ももう弱ってきてしまっている。この寒さでは・・・・。
って、諦めかけていたんだって。
でも、今日たまたまチャッピーのお散歩コースにゲンゾウが寝ていて、
お母さんが犬を捜している人はいませんかって、問い合わせたら、
ゲンゾウの飼い主の人が見つかったんだよ。
飼い主の人は、東京の仕事場から、バイクでゲンゾウを迎えに来たんだよ。」
お姉ちゃんは、とっても感動しているみたいで少し興奮しながら話してる。
だけど、僕にはあんまり話の内容は理解できなかった。

「そうそう、もし、迎えに来た人がこの犬じゃありませんって言ったら、
家で、あのワンちゃん飼うつもりだったんだよ。
そうなったら、チャッピーは仲良くできたぁ?」
(ゲッ!何言ってるの、絶対に仲良くなんてしないよ。)

「あっ、それから、ゲンゾウの飼い主の人が、チャッピー君のご飯貰っちゃってゴメンネだって。」
ガ〜ン! (あいつ、僕のごはんまで食べていくなんて〜!)
(あっ、僕まだ夕ごはん食べてなかった!)
「クゥ〜ン〜(ごはん頂戴〜!)」

こうして、僕のなんだか長い一日は終わった。
この家には、僕以外のワンコはいらないのだ!