1997年1月○日 ★逃げるが一番!

朝、空から白くて丸くて冷たい物が落ちてきていた。
僕は、生まれて初めて「雪」ってものを知った。
朝から降り続いた雪は、夜になるとお外一面を銀世界に変えていた。

お姉ちゃん達はなんだかとってもうれしそうで、ウキウキしてる。
夜も10時を回った頃、お姉ちゃん達二人は僕を連れてお外に遊びに行くって言いだした。

お外に出ると、隣のお家の子が雪だるまを作っていた。

僕が歩くと、ズボッズボッて僕の足が雪に埋もれて上手く歩けない。

だけど、いつの間にかお姉ちゃん達と僕は、お家から200メートルくらい離れた田んぼ道に来ていた。
お姉ちゃん達は楽しそうに雪の中を走り回ったり、雪を投げて遊んでいたんだけど。
ふっと気づくとお姉ちゃん達の様子がおかしい!
「どうする、どうする。犬が来たよ」
お姉ちゃんが僕を抱き上げた。
次の瞬間、お姉ちゃんの足下には鎖の外れた中型の犬が牙をむいてた。
一生懸命追っ払おうとするお姉ちゃん、恐くて暴れる僕。
ついに僕はお姉ちゃんの腕から抜けて、地面に立った。
奴は、ウ〜ウ〜うなりながら僕の方に寄ってくる。
僕が後ずさりをすると、僕の首輪が抜けた!
僕は、一目散にお家へと走った。
お庭まで逃げ込んだけど、奴は追っかけてきた。
僕は全身の力で「ワン!ワン!」って吠えた。
でも、奴は怯まない。
その時だ、隣のうち子が、僕の異変に気づいて、ほうきを片手に来てくれた。
奴は、それにビックリしたのか、そそくさと逃げて行った。
奴と入れ替えに、お姉ちゃん達がハァ〜ハァ息を切らせ走って帰ってきた。
僕を見つけると僕を抱きしめて、「無事で良かった〜」って一言。
あっ、僕はお姉ちゃん達を置いて逃げちゃったんだ・・・・。