式目連句と自由連句
式目連句 季節や同類の語(たとえば月と日は天象というカテゴリー)を何句続けてよいか(句数〈くかず〉と呼ぶ)、一度季節や同類の語が途切れたら次は何句空いたら出していいか(句去〈くさり〉と呼ぶ)といった規則に従って巻く連句。一般に連句と言えばこれを指す。
自由連句 長句と短句を交互に出す、という以外に特別な規則はない。よって以下のルールは基本的に式目連句で使われるもの。
1巻の句数
百韻 長句・短句を各1句と数えて百句で満尾。中世から近世初期まで主流。
歌仙 同じく36句で満尾。芭蕉が愛用してから現在まで主流。
暦 同じく12句で満尾。杉浦清志が連句を授業で教えるために考案。
句の名称と続け方
発句 575 正客の座。季語と切れ字を詠み込む。
脇句 77 亭主の座。発句と同季同所同時刻を原則とする。
第三 575 発句・脇句の世界から離れ、丈高く詠むことを要する。
平句 4句目から挙句の前まで、575の長句と77の短句を繰り返す。
挙句 77 前句と同季。めでたく巻き納める。
月と花の定座
あらゆる景物の中で月と花は特別な物として扱われ、どこで詠むかが定められており、これを定座(じょうざ)と呼ぶ。但し定座より前に詠む分には差し支えない。
百韻 | 歌仙 | 暦 | |||||
句数 | 定座 | 句数 | 定座 | 句数 | 定座 | ||
初折 | 表 | 8 | 7=月 | 6 | 5=月 | 6 | 5=月 |
裏 | 14 | 10=月・13=花 | 12 | 8=月・11=花 | 6 | 5=花 | |
二の折 | 表 | 14 | 13=月 | 但し表に花が 出れば月は裏 |
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裏 | 14 | 10=月・13=花 | |||||
三の折 | 表 | 14 | 13=月 | ||||
裏 | 14 | 10=月・13=花 | |||||
名残の折 | 表 | 14 | 13=月 | 12 | 11=月 | ||
裏 | 8 | 7=花 | 6 | 5=花 |
句数と句去
連句で詠み込まれる題材は、物によって何句続けていいとか、一度切れたら何句空けないと出せない、といった決まりがあり、前者を句数(くかず)、後者を句去(くさり)と呼ぶ。次の表がその規則。但しこれは百韻・歌仙に適用されるもので、句数が極端に少ない暦では、若干異なる。
句数→ | 1句 | 1〜2句 | 1〜3句 | 2〜5句 | 3〜5句 |
↓句去 | |||||
二句去 | 天象 | 降物・聳物・人倫 芸能・食物・衣類 名所・国名・異生類 異植物・異時分 |
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三句去 | 同字 | 同生類・同植物 同時分 |
神祇・釈教・旅 述懐・夜分・山類 水辺・居所 |
恋 | |
五句去 | 同字 月・田・煙 夢・竹・舟 衣・涙・松 |
夏季・冬季 | 春季・秋季 |
たとえば天象とは月とか日とか星の類。一度出たら次の句には同類の語を出せない。また次に同類の語を出すには、2句空けないといけない。
必要な物
歳時記または季寄せ 歳時記も季寄せも季語を集めた本。俳句でも使われるが、俳句用のものは多く、四季でしか分類していない。連句には同一季の季語でも、初・仲・晩の区別がある物が望ましい。
参考書 何か一つ、連句について解説した本があると便利。でも初心者は先輩に教えてもらえばよい。
懐紙 正式には大きめの和紙を使いそれに墨と筆で書くが、ノートと鉛筆でもパソコンと指でも構わない。
必要な人
連衆 連句は複数の人が句を付け合う文学的な遊び。1巻の連句を付け合う仲間のことを連衆〈れんじゅ〉と呼ぶ。稀に一人で巻く独吟もあるが、それは練習のためとかたまたま連衆がいないからであって、連句を巻くには仲間が欲しい。
捌き 出された句を吟味して付くか付かないか判定し、連句を進行して行く人。いない場合は連衆が話し合って進めればよいのだが、連衆が初心者ばかりだとどう進めていいか困るので、連句のことをよく知っている捌きがいてほしいもの。但し自由連句なら付くか付かないか判定する必要もないので、いなくても構わない。執筆〈しゅひつ〉とか宗匠〈そうしょう〉とか呼ぶ場合もあるが、各語には微妙なニュアンスの違いもあるので、今では一般に「捌き」と呼ぶ。