当連句道場3巻目の自由連句百韻ですが、ちょっと、というかだいぶ変則。照英さんの最初の句は、句のつもりでなく書き込んだ記事のタイトルだったんですが、それがちょうど77だったので、優得軒さんが575の句を付けたところから始まったのでした。よって最後は長句で終わってます。今までの自由連句百韻はともかく懐紙の書式に収めて掲げましたが、これはそういうわけに行かないので、通し番号だけです。
でもそういう変則だったことが却って生き生きとした句を生んだかな?とも思います。どうぞご鑑賞ください。なお、途中で亜月庵さんから尻取りをやりたいというリクエストがあったので、80句目からは一部を除いて尻取りになっています。これをきっかけに新に尻取り自由連句も始めたので、どうぞお楽しみください。
今回初めて、最後に句上げを書き出してみました。連衆は9名(但しキョン太は兼坊の別名ですが)。常連の照英さん、亜月庵さん、玉ちゃん、優得軒さんのほかに、ふぅちゃん、なず菜さん、カルビさんも参加してくれました。この巻では1句だけでしたが、今興行中の巻ではもっと付けてくれると嬉しいです。
変則自由連句百韻「ごめんなさいね」の巻 | ||
2001年3月1日首7月14日尾 | ||
01 | ごめんなさいね変な所に | 照英 |
02 | ともだちを尋ねみればひとがいて | 優得軒 |
03 | ボジョレーヌーボ車座で飲む | 玉 |
04 | スピーチをするのが教員文化だぜ | キョン太 |
05 | 戸はたてられぬカミサンの口 | 玉 |
06 | 今はもう会議するよな井戸はなく | 照英 |
07 | 蛙はついに大海を知る | 玉 |
08 | 東路の道の果てより生い出でて | 兼坊 |
09 | ニャンコしぇんしぇ〜わしも男だす! | 亜月庵 |
10 | 筑紫路のむくつけ男あきがきて | ふぅ |
11 | 髪かき上げるキンキラの爪 | 亜月庵 |
12 | 月の舟漆黒の夜を漕ぎ進む | 玉 |
13 | プラネタリウム閉館となり | 兼坊 |
14 | マニュアル車走らせて行く一人旅 | 玉 |
15 | もみじマークを付けて幾年 | 亜月庵 |
16 | 濡れ落ち葉集めて埋めて土づくり | 玉 |
17 | 掘れば哀れに白々と骨 | 亜月庵 |
18 | 駆け付けた新米刑事反吐を吐き | 兼坊 |
19 | 宿酔いには無理な朝駆け | 亜月庵 |
20 | ジョギングをウォーキングに切り替えて | 玉 |
21 | 衰え初めし膝を保たせる | 亜月庵 |
22 | 郊外の家と会社の道遠く | 兼坊 |
23 | バブルに作りしローンあほらし | 亜月庵 |
24 | 金利ゼロ物価は上げよ国のため | 兼坊 |
25 | お国のためと死んだあのころ | 亜月庵 |
26 | 「月光」のピアノ聴くたび思い出す | 優得軒 |
27 | 初めて買ったLPレコード | 亜月庵 |
28 | アルバイトだけで過ごした夏休み | 兼坊 |
29 | 食うのに困るわけじゃないのに | 亜月庵 |
30 | 職業がいつのまにやらフリーター | なず菜 |
31 | カタカナ文字に憧れました | 兼坊 |
32 | イタリアンパスタはやっぱりアルデンテ | 玉 |
33 | 死の直前は今かも知れず | 兼坊 |
34 | 西行の望んだ春の花の下 | 玉 |
35 | 若者達はイッキ飲みする | 兼坊 |
36 | 危ないと注意すれども馬耳東風 | 優得軒 |
37 | また教え子に手を出す教師 | 兼坊 |
38 | おにいさんは君のパパよりおにいさん | 優得軒 |
39 | 生年月日を聞いて愕然 | 兼坊 |
40 | パソコンの星座占い大凶で | 玉 |
41 | 東洋人だ筮竹にせい | 亜月庵 |
42 | 贅肉をどうにかしたいお伺い | 兼坊 |
43 | 鳥ガラ風は天国直行 | 亜月庵 |
44 | ぐつぐつとゆっくり煮込むスープかな | 兼坊 |
45 | シェフと呼ばれて悪い気もせず | 亜月庵 |
46 | 連休も家族サービスに明け暮れて | 玉 |
47 | ぐったり朝の国電に乗る | 兼坊 |
48 | マイホーム駅まで自転車一時間 | 亜月庵 |
49 | 四季折々の花が咲く道 | 玉 |
50 | この町は定年過ぎの人ばかり | 兼坊 |
51 | 年金事業先細りして | 亜月庵 |
52 | 銀行も保険会社も倒産し | 兼坊 |
53 | 婿の選定間違えたかも | 亜月庵 |
54 | 勉強はするがちっとも働かず | 優得軒 |
55 | 期待集めて入閣したが | 兼坊 |
56 | ウケねらい口がすべってさようなら | 優得軒 |
57 | メル友だった頃はよかった | 兼坊 |
58 | 看板に偽り有りの亭主面 | 亜月庵 |
59 | 人を見る目がないのは自分 | 兼坊 |
60 | 美人とて髑髏に皮をのせただけ | 亜月庵 |
61 | ちょっと手元が狂う神様 | 兼坊 |
62 | 鉄人に負けたショックがトラウマに | 亜月庵 |
63 | 羊のようになったボクサー | 兼坊 |
64 | お百度を踏んで勝利の願を掛け | カルビ |
65 | 暁月に紫雲たなびく | 玉 |
66 | 高僧の遷化と言へば沙羅双樹 | 兼坊 |
67 | 諸行無常とサンマの煙 | 亜月庵 |
68 | 梅干しと鰻と来れば涎かな | 兼坊 |
69 | げんのしょうこを用心に飲む | 亜月庵 |
70 | ディスプレイ見過ぎたせいか目が痛い | 兼坊 |
71 | 遠くを見ても止まぬ老眼 | 亜月庵 |
72 | スポーツで鍛えた体は衰えず | 兼坊 |
73 | 酒は三度の飯よりも好き | 兼坊 |
74 | にじむ灯に肴はあぶったイカでいい | 亜月庵 |
75 | 梅雨の晴れ間に蛍がりする | 照英 |
76 | どぶ川であった昔が嘘のよう | 兼坊 |
77 | 二人で行った横町の風呂屋 | 亜月庵 |
78 | 駐車場地上げ屋どもが夢の跡 | 兼坊 |
79 | 白き花散る雨の夕暮れ | 亜月庵 |
80 | ウクレレを弾いて漫談牧伸二 | 兼坊 |
81 | 時間来るまで語り続けて | 照英 |
82 | 哲学をしてるつもりの蹙め面 | 亜月庵 |
83 | らっきょうのないカレーはいかん | 兼坊 |
84 | 簡単に出来ないものは歌仙の句 | 照英 |
84 | 拝観料また値上げする似非古刹 | 亜月庵 |
85 | 野くれ山くれ奥の細道 | 玉 |
85 | 小さな句碑を探す旅する | 照英 |
86 | 駿河には清水次郎長名を馳せて | 玉 |
87 | 長谷寺参りむし衣の女(ひと) | 亜月庵 |
88 | 火と燃ゆる恋の思いを包みかね | 兼坊 |
89 | 金と力が無い色男 | 照英 |
90 | とこしえに変わらぬなどとぬけぬけと | 亜月庵 |
91 | とんと塩爺記憶が消えた | 兼坊 |
92 | 枝豆をつまみに呑んだ酔いがでて | 亜月庵 |
93 | 伊賀で天下を望む若者 | 兼坊 |
94 | 物言えばさみしさつのる返り花 | 玉 |
95 | 理は無き主張続く米国 | 兼坊 |
96 | 異国にてかき捨てる恥右大臣 | 亜月庵 |
97 | 維新となるか平成の御世 | 玉 |
98 | 威勢のみよいとは思いたくないが | 兼坊 |
99 | 痛くないガン末期で愕然 | 亜月庵 |
100 | 核戦争今は昔の物語 | 玉 |
於キョン太の連句道場 |
句上げ | |||||||
照英 | 7 | 優得軒 | 6 | 玉 | 18 | キョン太 | 1 |
兼坊 | 35 | 亜月庵 | 32 | ふぅ | 1 | なず菜 | 1 |
カルビ | 1 |