自由連句百韻「熱いコーヒー」の巻

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自由連句百韻「熱いコーヒー」の巻  キョン太の連句道場最初の自由
連句百韻です。

 自由連句は575の長句と77の
短句を交互に付け進めるという以
外に、特別なルールはありません。
面倒な式目は気にせず、とにかく
前句に付ければよい。式目連句で
は厳禁の、打越に戻ることがあって
もお構いなし。時には長句と長句、
短句と短句が並ぶたけくらべがあっ
ても構いません。誰でも気楽に参
加できる形式なのですが、それで
も満尾までに4ヶ月かかりました。
長丁場。いずれ式目百韻にも挑戦
してみたいですが、1年ぐらいかか
りそうですね。

 4ヶ月の間にはいろいろなことがあ
りました。その思い出を少々。

 脇句から23句目までは、この3月
に卒業した学生達の句が並んでい
ます。その頃彼らは卒論の追い込
みの最中でした。毎晩遅くまで演習
室で過ごし、演習室にあるパソコン
で書き込んでいたのでした。

 学生達の句が23句目までで終わ
ってしまったのは、卒論提出とその
後の行事があれこれあったり、大学
のネットワークに侵入者がいたりし
て一時的にパソコンが使えなくなっ
たり。いずれまた復帰してもらいた
いものですが、今のところは就職し
たてだったり、就職できずに臨時の
仕事をやっていたり、で、パソコンを
買ってインターネットに繋いで、とい
った余裕がないのだろうと思います。
長い目で見ましょう。

 24句目から29句目あたりまで、
清志・キョン太・兼坊と名前を使い
分けているのは、付けてくれる人
がいなくなったので、人数を多く見
せかける苦肉の策。でも徐々に、
優得軒さんやなず菜さん、玉ちゃん
に亜月庵さんといった現在の常連
が顔を出してくれるようになり、私は
兼坊に統一出来るようになりました。

 新たに参加してくれた連衆達は、
学生達よりはかなり手だれで、割と
楽に進行しています。3月中に私は
3年生達(現在4年生)を引き連れ
て、というか引き連れられてというか、
研修旅行に出て、その間P-in
compactとモバイルギアで何とか参
加しようと目論んだものの接続がう
まく行かず、留守の間はどうなって
るだろうかと心配もしましたが、何
の何の常連の皆さんが付け進めて
いてくれました。

 この巻が満尾した時点で、ほかに
自由連句2巻、歌仙1巻が進んでい
ます。この巻には参加できなかった
方も、どうぞそれらの巻に参加して
ください。

2001年1月12日首
2001年5月14日尾
初表 発句 冷えますね熱いコーヒーいかがです 兼坊
脇句 何杯飲んでもねむけにゃ勝てず 甘蕉
第三 寝たいのに部屋が寒くて眠れない うさぎ
四句目 羊数えて数間違えた ヘル
05 ヘビ年の僕のセーター鹿だらけ おばけ
06 うさぎの君よ嫌わないでね 兼坊
07 いつの日かアポロに乗って会いに行くよ 甘蕉
08 だけどやめるよ13号は
初裏 09 我渡る 津軽海峡 はつかりで ブタ
10 渡ってきたよ不幸のメール ヘル
11 パソコンもちょっと上手になりまして 兼坊
12 テクがないのはおばけ君だけ うさぎ
13 空気抜きテクテク歩くさんぽ道 猿穂
14 お腹がへったと騒ぐ人たち 桔梗
15 友たちと山越えやっと大騒ぎ ヘル
16 これで見えたよ卒業の日
17 字足らずが単位足らずにならぬよに 兼坊
18 三度数えてやっと安心 おから
19 三度見た昨日のあいのり超感動 うさぎ
20 仲間たちにはいつも泣かされ ヘル
21 最後には泣くより笑って手を振ろう 甘蕉
22 たれ目かわいい横町の犬 兼坊
二表 23 一度でもしっぽを振ればおともだち 甘蕉
24 人はどこかで繋がっている 清志
25 電線の向こうに誰かいるはずさ キョン太
26 さぁ飛び立とう春の青空 優得軒
27 ナナカマドついばみに来た鳥の群 兼坊
28 たった四日で食べ尽くし行く 紋玖庵
29 苗を植え田植え草取り米作り キョン太
30 ウォームアップのカエルげこげこ ふぅ
31 狂言のわわしい女ふと思い なず菜
32 頑張らなきゃとバーゲンセール 兼坊
33 衣替え樟脳の香の新しく 亜月庵
34 三十路遥かに虫もつかずに
35 蟻地獄育てたあとは飛んで消え なず菜
36 面影求め夜の街ゆく 亜月庵
二裏 37 振り向けば違う人だと恥ずかしく 照英
38 出会いのチャンスいつも失い 兼坊
39 寂しさは我が足音にせまる闇 亜月庵
40 定年までの残り少なく 兼坊
41 世界地図広げて紡ぐ旅の夢
42 タイタニックも今はロマンス 亜月庵
43 えひめ丸沈没までの時わずか 兼坊
44 いにしへごとの意趣返しやも 優得軒
45 お遍路の鈴の音春を連れてくる
46 れんげ たんぽぽ 菜の花の野に 優得軒
47 さわさわと青麦畑風渡る なず菜
48 野球少年走る放課後
49 辛くてもプロを目指して練習を 照英
50 スターの道も初めの一歩 ふぅ
三表 51 ついてこい!オレが天下の段平だ! 亜月庵
52 誰もつかない森さんのしっぽ なず菜
53 引率の先生年で膝痛い 兼坊
54 杖などいかが参道の店
55 芸人は南船北馬の旅暮らし 優得軒
56 与三ァも震える楽屋の底冷え 亜月庵
57 此の辺り盆地の底の川伝い Beehive
58 平家落人伝説の村 兼坊
59 猟奇的殺人事件の匂いして 亜月庵
60 金田一さん黄門になる
61 売れ筋の国語辞典で財をなし 兼坊
62 住民票を「飛鳥」に移す
63 近代の大英帝国夢の跡 亜月庵
64 アジアアフリカ開発途上 兼坊
三裏 65 宇宙から見るたび砂漠広がって 亜月庵
66 はかなく消えたミールちふ駅
67 メーテルと999の時も過ぎ 亜月庵
68 親指族は何語るらん
69 高校の教科書親が買いに行き 兼坊
70 バリアフリーは夢のまた夢 亜月庵
71 なげけども弱いものには厳しくて ふぅ
72 高校球児の春は始まる 亜月庵
73 冬の間に積もりし雪もどこへやら 兼坊
74 裏の畑に土筆顔出す 優得軒
75 軒裏の古巣に燕目もくれず
76 2×4の家続々と 兼坊
77 西日射す郊外線の無人駅 亜月庵
78 未来の姿どうなるだろう 優得軒
名残表 79 母は外いつでも父といる娘 兼坊
80 花咲きそむる春のしののめ 優得軒
81 タラノメの折り取られたる心なく 兼坊
82 野守の監視かいくぐりつつ 優得軒
83 空の雲あまた映して水鏡
84 DOSからWindowsへと昇格 兼坊
85 講習会受けてようやく合点いき 優得軒
86 俺が交通違反したわけ 兼坊
87 道路脇彼女が誰かとツーショット 亜月庵
88 思い出すたび夜も寝られず 優得軒
89 地獄絵の火炎血の池閻羅王 兼坊
90 我が娘苦しむさまに陶酔 亜月庵
91 風邪引いてやつれた顔がまたいいね 兼坊
92 化粧忘れてすっぴんなだけ 亜月庵
名残裏 93 連休が明けて見知らぬ人と会う 兼坊
94 あなたの会社倒産ですよ 兼坊
95 建築の目途も立たない設計図 亜月庵
96 嫁と姑の意見分かれて
97 太古より変わらぬドラマ長閑なり 兼坊
98 花と競って開く折り詰 亜月庵
99 青き踏むふるさとの野は風の宿
挙句 少年の日の初めての虹 多夢
於キョン太の連句道場

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