深夜に着いたメキシコで、なんとか見つけたホテル。深夜1時過ぎ、部屋のノブがガチャガチャするのだ。誰がやってくるというのだ!
鎖をつけたままそっと開けたら、どうやら隣の女性が部屋を間違えたようで、慌ててた。
それにしても俺も俺で、思わず「はい」って言ってるんだから、警戒心がないというか、ここは日本語が通じないということが分かってないというか、あきれてしまってた。
翌朝、そそくさとチェックアウト。アラメダ公園で見つけたタコスの屋台。歩き食いの朝食だろう、人が並んでいる。俺も、マシンガンを持った兵士の後に並ぶ。いくらかわからず20ペソ紙幣を渡す。屋台のおっさんが十字架を切る。俺が聖者に見えるワケがないから、これは「釣銭ないよ!」ってこと?
仕方ないのでそこらでタコスをほおばってたら、いろんなコイン混じりに17ペソの釣り。たった3ペソなのに20ペソも渡して、しかも値段が分かってない。
海外旅行で買物するとき、こういうのが難しい。いくらか分からずついつい大きめの札を渡してしまい、お釣りをもらって初めて値段が分かるという買い方。
店の雰囲気で、「まず間違いなく正直に計算してくれるだろう」と期待できそうなとこならいいけど、この買物の仕方はいいわけないネ。「いくら?」「高い」「安くして」「いらない」「ありがとう」などの言い回しと数字が言えて聞き取れるのが一番で、これはノリとナレでなんとかなるんだけど、それがなかなか難しい。
それと、よくある失敗が、特にパック旅行なんかで、着いて間無しに、市内観光かなんかで、製造直売や格安土産の店に連れて行かれるパターン。ガイドがいるから安心だし、多分安いだろうと思うし、何を見ても珍しくてこの店をのがしたら買えないかもしれない、なんて言うわけで、旅行中土産を持ち歩かねばならない羽目になる場合がある。これはパック旅行業社のガイドの、世界的な手口で、今書いたような心理につけこんで、まだ物価の分からない旅行者を、実はそんなに安くない得意先の土産物店に連れていき、その店はガイドにマージンを支払う、という仕組み。あとあと同じものがもっと安く売ってあって、悔しい思いをするなんてことはよくある話だよ。
じゃあどうすればいいか?
俺はスーパーに行くことおすすめする。
というのは、@値札がついている→だいたいの相場が分かる、A従業員は給料で雇われている→執拗にかまってこない→ゆっくり商品を観察できる→ありふれた商品と珍しい商品の区別がつくようになる→他の店での品選びに大いに役立つ。
【1996年度添上高校生徒会通信に連載】2001-2-2加筆