メキシコ放浪記
LAST UPDATE 2001-02-16 17:59

タクシー!

 USAテキサス州のダラス=フォートワース空港で乗り継いだアメリカン=エアライン機にはどうやら日本人は俺一人。
 英語とスペイン語しか通じない空間で、四苦八苦の空の旅。入国手続きももたついて、空港をやっと出たのは深夜の11時。

 メキシコという国は、南北アメリカでは治安のよい国ベスト4に入るらしいが、さすがに2000万人の巨大都市メキシコ=シティは危険。旅行ガイドブックには、初めて訪れる旅行者は夜8時以降は外出しないようにと書いてある。
  おまけに、まだ大統領が暗殺されて間もないころで、さすがに緊張した。

 マシンガンを持つ迷彩服の軍人たちや、拳銃をちらつかせる通行人などもいた。
 そんなメキシコ=シティの深夜の雑踏に、たった一人でたどりついたものの、言葉も分からず、ホテルの予約もなく、「俺は一体ナンテことをしてんだろうか!」と、ちょっとビビった。大半がメスチソ(スペイン人と黒人の混血)で、空港内では白人の旅行者も目立つ。「タクシー?」と客引きの声・声・声。

 俺は旅先では、バスや電車といった庶民の足を使って、土地の人たちと同じ交通手段で移動するのが好きだ。タクシーはまず乗らない。でもメキシコの鉄道はあんまり発達していないし、遅い。それに深夜の空港からはやはりタクシーしかない。
 外国でタクシーに乗ったら、まずボラれる心配をしてしまう。

 韓国の天安(テニャン)から独立記念館までタクシーに乗った時もボラれた。といっても、物価の違いもあるし....と思って何も言わなかったが、やはりこれはよくない。
 同僚が、長らくインドに滞在している友人にパキスタンを案内してもらってる時に、タクの運ちゃんがメーターを倒してすぐまた立てたらしい。その友人はなんとウルドゥー語でガンガンまくしたててボロクソに抗議したから運ちゃんは平謝りしたらしい。ウルドゥー語でケンカ売れる日本人などめったにいてるものじゃないだろう。

 ボクたちフツーの旅行者はそんな芸当はできない。
 「メーターを倒せ」「なぜ今の角を曲がらなかった(遠回りする)」というぐらいは言えた方がいい。また釣銭が無いと言われたら「ポリボックスまで行って両替しよう」と言うなど、いざというときのセリフを頭にたたき込んでおこう。
 また、後部座席ではなく助手席へ乗る国とか、同方向の客を同乗させる国とか、バスとタクシーの中間的なものが走ってる国とか、自動ドアは日本独特のものであるとか、マナーや仕組みの違いを調べておこう。

 俺
は韓国の太田(テジョン)で、後から乗ってきたおじさんと話してて親しくなって、タクシーを降りてから一緒に食事して、いろんな話をして、最後は駅のホームでいつまでも手を振ってもらったことがある。

 また主要駅などにタクシーチケットの窓口があって、ゾーン(距離)別に料金チケットを販売していて、運ちゃんにはそのチケットを渡すという国もある。これは旅行者にはありがたい。ボラれないからだ。といっても、やっぱりキャッシュで客をつかまえたい運ちゃんは、駅の構内にある窓口を見つける前の旅行者に「タクシー?」とささやき回っているので、要注意。
 メキシコもこれだった。もちろん俺はそれらを無視し、ホテルリストで安そうな所を見つけて、そのゾーンまでのチケットを購入したのサ!

【1996年度添上高校生徒会通信に連載】2001-2-3加筆