メキシコ放浪記
LAST UPDATE 2001-02-09 15:21

メリダのストリートチルドレン

 このことだけはここに書きたいです。
 「コンドルは飛んで行く」などのフォルクローレ(中南米の音楽)の生演奏を聞きながら、カフェ=ペオン=コントレラスという店の石畳の路上のテーブルで深夜[12時前]メキシコ料理とセルベサ(ビール)を飲んでいた時のメモ。

 「男の子がやってきて、1N$(ヌエボ=ペソ)[コイン1枚]あげる。しばらくして女の子がきて1N$あげる[笑顔の可愛い少女だった]。そしてその子が[テーブルの]ソースを指さし、それをピザにかけろという。[食べ方を教えてくれているんだと思って]その通りにすると、欲しそうにしてるので、そーだったのかと思い、[プル=ファボール(スペイン語で「どうぞ」)と言って]ほほえんでいると、皿からとってもっていった。ホントに子どもが苦しんでるのはたまらんよ、ホントたまらんよ!

 MEXICO政府が悪いのか、日本企業が悪いのか、親が悪いのか知らんけど、子どもが苦しんでるのはたまらんよ。
 涙出てきた。あのピザの残りを欲しいと言ってくるんだよ、小さい女の子が。涙止まらない、何とかしたいよ。1N$ずつだったけど、もっとやろう。金をくれてやるのはいやしいかもしれない。本当はよくないのかもしれない。でもね、腹すかしてる子どもを、そんな理屈でほうっておけるか?

 本当に泣いてしまった。今の女の子に泣いてしまった。食い物なんだ。ともかく、食い物なんだ。そして、彼や彼女には優しくしてくれて、本当の話を聞いてくれる大人がいるんだろうか。相談にのってくれたり、いざというとき支えてくれる大人がいるんだろうか!俺に何ができるんだろうか。涙が止まらない。たまらないよ。あの子どもたち、あちこちで会った子どもたち」

 帰りの飛行機でも涙が止まらなくなって他の乗客が変に思っていたっけ。

 【それじゃ、またな】  でもさ、今こうして生きていることも言ってみれば一人旅。いろんな人と出会ってサ、また別れてサ、忘れられない時と場所を重ねてサ、それでも明日を見つめているからこそ、いろんな事を乗り越えて生きてる自分があるんだよな。
 それじゃ、またな!

【(学級通信「夢(第47号)」1995年3月18日(土)発行=最終号)に掲載】
※「メリダ」とは、メキシコのユカタン半島にある中心都市の名前です。