メキシコ放浪記
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俺は旅行に出かける時には、普通は宿は予約しない。正月早々メキシコへ行ったときもそうだった。
前年の暮れも、もう冬休みに入っていた。アフリカ南部のレソト共和国へ行きたくて、モリモリ(知人)の友達の旅行者の人に頼んでたんだけど、まだめどがたっていなかった。近所の喫茶店で読書(マンガだったかな?)してた時、「よし、今決めよう!」と思い立ってJTBに行ったんだ。
JTB生駒のおじさんとの会話。
「往復の航空券だけでいいんですか?」
「はい」
「ホテルの予約はしないんですか?」
「はい、しません」
「じゃあ、メキシコに知合いでもいるんですか?」
「いません」
「え? じゃあ、英語かスペイン語はできますか?」
「英語はほんとにほんの片言で、スペイン語はぜんぜんわかりません」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(しばらく無言)。オモシロイ旅行ですね」
レソト共和国やメキシコ合衆国について、旅行ガイドを立ち読みしたりして、いろいろ調べたりしてたんだけど、メキシコは南北アメリカでは治安のよい国ベスト4に入るとのことだが、さすがにメキシコ市については、初めて訪れる旅行者は、夜8時以降は出歩かない方がいい、と書いてあった。
JTB生駒のおじさんとの会話の続き。
「メキシコに着くのは深夜ですからね、1泊目だけでもホテルを予約しておかれた方がいいと思いますよ」
「そうですね、じゃあ1泊目だけは予約してください」
(この間、あちこちに問い合わせてもらう)
「もうホテルの予約はできないようです」
「・・・・・・・・。じゃあ何とかします。大丈夫ですよ。いつもそうですから」
メキシコはスペイン語。知ってるスペイン語は「アミーゴ(友人)」だけ。しかも危険な深夜のメキシコ=シティー。ホテルも未定....。
え〜イ、人が住んでる街だ、何とかなる!
とはいうものの、心配なことが一つあった。サソリである。
メキシコといえば、テキーラ!だけど、サソリも気になって百科事典で調べてみたら、実はそんなに危険はないと書いてある。安心しながら、読み進めると、最後の方に、「ただし、メキシコのサソリは猛毒である」。そりゃあないよ!
沖縄をブラブラ歩き回ったときも、ハブの種類や、それぞれのいる島・いない島、もしも咬まれた時の対処の仕方、とだいぶ調べたが、ある生徒から
「そんなに調べたのなら、ホテルを調べた方がよかったのじゃない?」
と言われ、ナルホド!でも結局、沖縄では、無謀な山歩きをしてしまった。
結局、メキシコのサソリも調べておいてよかったのだ。雨のジャングルで途方に暮れたり、サボテン砂漠で何時間もさまよったり、した時も、ここらでいっぷくなんてしていたら、やられたかもしれないのだから。
【1996年度添上高校生徒会通信に連載】2001-2-2加筆