シスター・プリンセス」編

  ある日、突然十二人の妹ができてしまう、という奇抜な設定で有名な作品のパロディです。


  作者 雲丸 

  シスプリ劇場 「四葉」編

 

「うわーーーんっ」
 朝、元気にボクを起こしに来た四葉ちゃんだったけど……今は、大声で泣いていた。原因は――
「兄チャマ、どうして四葉にキスしてくれないデスかっ」
「で、でもねえ、四葉ちゃん……」
 ボクは、ポリポリと頭をかく。四葉ちゃんは、朝の挨拶にとキスをねだってきたのだ。
 ……イギリスでは家族のキスは当たり前かもしれないけど、ここは日本だし。
「キスしてくれないのは……四葉を妹として認めてないからなんデスねっ。うわーーーんっ」
「そ、そんなことないよ」
「それじゃあ……してくださいデス」
 すっ、と顔を上げる。……こうなったら、もうしないわけにはいかない。
 ボクは四葉ちゃんの肩に手を置いた。ホントは、おでこに軽く触れるだけにしようかと思ったけど――。
 四葉ちゃんのぷっくりとした、さくらんぼのような唇を見た瞬間――
 ボクは、我慢できなくなった。
「んっ……」
 と、唇をふさぐ。
「あ、兄チャマっ……」
 目を見開き、慌てて顔を離す四葉ちゃん。だけど、ボクは逃がさなかった。
 頭を押さえて、もう一度、唇をふさぐ。
「んっ……んんっ……。あ、兄チャマっ……」
 舌を差し込み、唇をなぞってから歯茎をなぞり――それから、彼女の小さな舌にからみつける。
「んんっ……ふっ……ちゅっ……」
 唇と唇の間から、粘り気のある水音がもれる。四葉ちゃんの身体が、ガクガクと震えてきた。
 最後に少し唾液を流し込んでから口を離すと、彼女は力が抜けたのか、カクンと座り込んでしまう。
「はうっ……」
 四葉ちゃんは、目をとろんとさせ、肩で息をしていた。顎を伝う唾液が、さらにボクの劣情を刺激する――けど、さすがにこれ以上はやりすぎだ。まあ、今のでも十分やりすぎなのだが。
「あ、兄チャマ……」
 囁くような声で、ボクを見上げた。
「い、今のは……妹にじゃなくて、恋人にするキス……デスよ」
「……わかってるよ」
 ボクが頷くと、四葉ちゃんの顔が真っ赤になる。
「そ、それって……よ、四葉が恋人でも、いいってことデスか?」
「うん。……今まで我慢してたけど、ボクは四葉ちゃんが大好きなんだ。だから――」
「う、嬉しいデス、兄チャマ! 四葉も大好きデス!」
 満面の笑顔で、ボクの胸に飛び込んできた。
「で、でもまだ信じられないデス。だから――」
 四葉ちゃんは顔を上げ、静かに目を閉じた。
「もう一度……してほしいデス」

  おわり。
 
  「亞里亞」編

「亞里亞のおリボン……」
 すっ、とボクの前にリボンを差し出してきた。
「え? ボクに結べって?」
「兄やにしてほしいの」
「わかったよ。じゃあ、洋服を脱いで」
「ぬぐの……? なんで?」
「亞里亞ちゃんに似合う、特別な結び方をしてあげるから」
「うん。ありがとう、兄や」
 そして、ボクは裸になった亞里亞ちゃんのカラダに、リボンを結んでいく。
「……よし、できたよ」
「わあ……すごい」
 瞳をキラキラさせる亞里亞ちゃん。
「これはね、裸リボンっていうんだ」
「はだかリボン……? 兄や。亞里亞、にあってる?」
「うん……すごくね」
 すっ、とボクは顔を近づけ――わずかに膨らんだ、亞里亞ちゃんの胸の突起に、リボン越しに息を吹きかける。
「きゃっ、に、兄やっ」
 ぷるぷる、と震える亞里亞ちゃん。
 ボクはそのまま、その小さな突起を唇ではさんだ。そしてゼリーのような柔らかな感触を、舌先で転がしていく。
「や、やだ、兄や。亞里亞のそれ、キャンディじゃない……」
「でもおいしいよ。亞里亞ちゃんの、ここ……」
 ちゅっちゅっ、と音を立て、少し強く吸ってみた。
「ひゃうっ。あ、あっ……亞里亞、ヘンになっちゃう」
 ぎゅっ、と眉根を寄せて、亞里亞ちゃんはボクの頭にしがみついてくる。
 そこで、ボクは唇を離した。
「あっ……」
 亞里亞ちゃんは、安心したような残念なような、複雑な表情を浮かべる。
「今度は……亞里亞ちゃんがなめてくれるかな? ボクのキャンディ……」
 ボクは膨張して大きくそりかえったモノを、亞里亞ちゃんの眼前につきだした。
「あ、亞里亞、こわい……」
「大丈夫。最初に軽くペロッてなめてごらん? すぐにかわいく思えるよ」
「……くすん。こわいけど……兄やがそういうなら」
 亞里亞ちゃんはおそるおそる舌をさしだし、ボクのものに触れてきた。

  おわり?


  シスプリ劇場 「花穂編」その1


 花穂はお兄ちゃまが大好きです!
 かっこよくってやさしくて、世界一ステキなお兄ちゃま。花穂が失敗して泣きそうになっても、いつも優しく励ましてくれるお兄ちゃま。
 そのおかげで、花穂はいっつもがんばれるの。
 ……だけど本当は、花穂だってお兄ちゃまの役に立ちたいんです。花穂のドジのせいで、迷惑ばかりかけてるような気がして……。
 お兄ちゃまは「気にしないでいいよ」っていうけど、花穂は少しでもお返しがしたくて……それで今、チアリーディングをやっています。
 まだまだへたっぴだけど、いつか上手にできるようになって……お兄ちゃまを元気にしてみせるんだ。

 そして、今日もチア部の練習が終わりました。
 花穂、がんばったんだけど……いっぱい失敗して、いっぱい先輩に怒られちゃったの。ぐすっ……。いつになったら上手にできて、お兄ちゃまを応援できるようになるんだろう。
 花穂がいつものように、お兄ちゃまのことを考えながら、更衣室でお着替えしていると……。何だか先輩たちが、隅のほうできゃあきゃあ言ってるんです。
 何だろう、と思って花穂はきいてみました。すると先輩たちは、にこにこ笑って花穂に一冊の本を見せたの。
「あら、花穂さんもこういうのに興味があるの? 一冊貸してあげるわ」
「あ、ありがとうございます」
 珍しく……といっちゃいけないけど、先輩が花穂に優しいなんて、やっぱり珍しい。
 だから花穂、ついつい受け取っちゃったけど……。
 それは、マンガの雑誌みたいでした。タイトルは英語で……花穂にはまだ読めません。
 そしてパラパラとページをめくってみて……
「き、きゃあっ」
 花穂は思わず、本を投げてしまいました。
 だ、だ、だって……このマンガ、男の人や女の人のハダカの絵が、いっぱいあるんだもん! そ、それに、ただハダカなんじゃなくて……よ、よく見てなかったけど、カラダをなめたり、抱き合ったりしてるよ〜っ!
 こ、こ、これ、エッチな本だぁ〜っ!
「まあ、花穂さん。せっかく貸してあげたのに、投げ捨てるなんて……失礼よっ」
 先輩たちが、花穂をにらんできます。
 ど、どうしよう……。だ、だって、そんなエッチな本だなんて、思わなかったんだもん……。
「それに、床に落ちて本が汚れちゃったわ。花穂さんには弁償してもらわないと」
 べ、弁償〜? そんなぁ……お小遣い、あんまり残ってないのに……。
 で、でも本を汚しちゃったのは花穂のせいだから……やっぱり、責任はとらないとダメ……なんだよね。
「あ、あの……いくらですか?」
 花穂は本の値段をきいてみたけど、先輩たちはくすくす笑って……こう言ったの。
「お金を払えばいいってものじゃないわ。そうね……。この雑誌の新しい号が明日発売されるから……花穂さんにはそれを買ってきてもらおうかしら」
 え、えええ〜〜〜っ!
 か、花穂がエッチな雑誌を買ってこなくちゃいけないなんて……そ、そんなぁ〜っ!
 お兄ちゃま……。花穂、どうすればいいの……。


  シスプリ劇場 「花穂編」その2


 先輩たちが読んでいた本は、レディースコミックというものらしいです。
 更衣室をでたあとで、同じクラスの子がこっそり教えてくれました。
 ……でも、なんでみんな知ってるの? ひょっとして、花穂が遅れてるだけなのかなあ? そりゃあ、花穂は子供っぽいかもしれないけど……。
「花穂さんたら、何も知らないのね。これをあげるから、少しは勉強しなさい」
 そう言って、先輩がレディースコミックを、花穂のカバンの中に入れてしまいました。花穂が汚してしまって、明日買ってこなくちゃいけない本です。
 ……ど、どうしよう。こんな本、ママに見つかったら怒られちゃうよぉ。
「ちゃんと買ってくるのよ」
 先輩たちはくすくす笑って帰っていきます。
 ……あ〜ん、エッチな本を買ってくるなんて、お兄ちゃまにも相談できないよぉ〜。
 クラスの子にお願いしてみたけど、「手伝ったら先輩に怒られるから」って断られてしまいました。
 ……うん、そうだよね。花穂のせいで、迷惑かけるわけにはいかないもん。
 花穂、決めた! 明日、レディースコミックを買ってくる!
 ……は、恥ずかしいけど……これは、花穂の責任なんだからっ。ひとに頼ってばかりだと、立派なおとなにはなれないもんっ。
「あ、花穂ちゃーん」
 ……こ、この声は、お兄ちゃまっ?
 校門のところまで来た花穂に、お兄ちゃまが手をふってくれています。
 お兄ちゃまに会えたのは嬉しいけど……い、今はだめだよぉ〜っ。
「ご、ごめんなさい、お兄ちゃまっ」
 花穂はお兄ちゃまに背を向けて、走り出しました。
「か、花穂ちゃんっ?」
 お兄ちゃまの、驚いた声……。
 ……だ、だって花穂、ドジっ子なんだもん。お兄ちゃまと一緒に帰ったらはしゃいじゃって、それで転んでカバンの中身がでちゃって、お兄ちゃまに本を見られちゃう、なんてことになるんだもんっ、絶対!
 それだけは、できないよぉ〜っ。
「あ、花穂ちゃん、危ないよっ」
 ……え? きゃ、きゃああ〜〜〜っ!
 気がつくと、花穂はまた転んでいました。その拍子に、カバンが手から離れて……中身が散らばってしまっています。
 ……な、な、何でこうなるの〜っ。 うわぁーーーんっ。
「花穂ちゃん、大丈夫?」
 お兄ちゃまが、優しく起こしてくれたけど……花穂は、自分が少し情けなくなりました。ぐすっ……。やっぱり花穂はドジっ子だ……。
「ごめんなさい、お兄ちゃま……」
「気にしないでいいよ」
 お兄ちゃまが、花穂の服についた汚れを、ポンポンって払ってくれます。
 それから、散らばったカバンの中身に目を向けて……
「あれ? これって……」
「あっ、そ、それはダメ〜っ」
 花穂が先に拾おうとしたけど、間に合いませんでした。
 お兄ちゃまが、本を……レディースコミックを手にしてしまったのです。
「これ……花穂ちゃんのなの?」
 う、うわーーーんっ。どうしようーーーっ。


 シスプリ劇場 「花穂編」その3

  
「花穂ちゃんも、こういうの読むんだね……」
 お兄ちゃまは、それがどんな雑誌かわかったみたい。ちょっと顔を赤くして、本を差し出してきました。
「ち、違うの、お兄ちゃま。それ、花穂のじゃないのっ。本当はチア部の先輩の本で、えっと、その……」
「大丈夫だよ。花穂ちゃんが興味があっても、おかしくないからね。他の妹たちには黙っておくから」
 お兄ちゃまは優しい笑顔で、ポンポン、と花穂の頭を撫でてくれたけど……ち、違うのに〜っ。
 か、花穂、興味なんてないもんっ。エッチな子じゃないもんっ。
 そう思って、花穂が泣きそうになってると……お兄ちゃまは、少し心配になったみたい。
「……なにか、あったの? よかったら、相談にのるよ」
 そう、ささやいてきました。
 お、お兄ちゃま……!
 やっぱり、花穂のお兄ちゃまです。
 花穂が困っていると、いつでも助けてくれるの。あ、でも……これは花穂の責任なんだから、お兄ちゃまに頼っちゃダメ……だよね。
「あ、ありがとう、お兄ちゃま。でも花穂、自分で何とかするから」
「……そうかい?」
「うん。花穂が先輩の本、汚しちゃったから……続きを買ってこなくちゃいけないの」
「……そ、そう……なの?」
「うん、そうなの。………………って、ああっ」
 か、花穂のバカバカバカーーーっ。
 じ、自分で言っちゃったよぉーーーっ。
「よ、よかったら……いっしょに行こうか?」
 お兄ちゃまが、苦笑しながら言いました。
 ぐすっ……。何で花穂、こうドジなんだろ……。
「お、お願いします……」
 結局、お兄ちゃまに頼ることにしちゃいました。
 こんな調子で、花穂、いつか立派な大人になれるのかなあ……。
 

  シスプリ劇場 「花穂編」その4


 お兄ちゃまと別れて、花穂はおうちに戻ってきました。
 お部屋のベッドに、ふう、とカラダを投げ出します。
 ……お兄ちゃまと、もっと一緒にいたかったな〜。
 兄妹が一緒に住んでないなんて、変だよね。何でなんだろう。理由は、よくわからないけど……。
 とにかく、明日はお兄ちゃまとデートです。
 目的がえっちな本を買いにいくのはどうかと思うけど……いいの。これだってデートだもん。
「ん〜……この本、なんて読むのかなあ?」
 花穂はカバンから雑誌をとりだし、英語のタイトルを眺めます。
「ら……らん……らんば……。ランバダ?」
 それが正解なのかはわかりませんが、強引に読んだらそうなりました。
 ……ダンスと関係あるのかなあ?
 頭を傾げながら……花穂は、ちょっとだけ、ページを開いてみることにしました。
 べ、別に興味があるわけじゃなくて……。う、ううん。ホントは少し……ほんのちょっぴり、あるんだけど……。
 お兄ちゃまがこの本がどんなものか知ってたみたいだから……。花穂は、お兄ちゃまのことなら何でも知りたいから……だから読むの。
 花穂は、お兄ちゃまに近づきたいだけなんだ。
 そう、心の中で呟いて。心臓がドックンドックンってなるのを感じながら……花穂は、レディースコミック「ランバダ(?)」を読み始めました。

 
   シスプリ劇場 「花穂編」その5


 その本には……花穂の知らない世界がありました。
 前に保健の時間で、おしべとめしべを習ったけど、いまいちよくわからなくて……。
 男の人と女の人が、ハダカでいっしょに寝るというのは、何となく知ってるけど。ドラマでもそういうシーン、見たことあるし。
 ……けど、まさか――こ、こんなことするだなんて!
 男の人が女の人のカラダをなめまわしたり。そ、それに男の人のアレを……口にくわえたり。あ、アソコにいれたりするなんて!
 うそ、うそ、うそ〜! ムリ! ムリだよぉ〜! こんな大きいの、入らないよぉ〜!
 花穂は信じられなかったけど……この本のどこを見ても、そうすることが当たり前のように書かれています。そしてそれが、すごく気持ちいいことなんだって……。
 ――ああ、『エッチ』ってこういうことだったんだ。
 花穂は……ショックでした。
 でも花穂が知らないだけで、これって当たり前のこと……なんだよね。
 ――そうだ、お兄ちゃま。
 お兄ちゃまがこの本がどういうものか知ってるってことは……お兄ちゃまも、『エッチ』がどういうものか、知ってるってことだよ……ね。
 じゃあ、やっぱりお兄ちゃまも、アレを大きくしたり……このマンガみたいに、『せーえき』をだしたりするのかな……。女の人のアソコに『いれたい』って、思うのかな……。
 花穂はショックを受けていたはずなのに……お兄ちゃまのことを考えると、なぜかドキドキしてきてしまいました。
 ――花穂にも……『いれたい』って、思うのかな……?
 ……ううん。思わないよね。花穂は妹だし、子供っぽいし……。お兄ちゃまに迷惑かけてばかりだもん。魅力なんて、きっとないんだ……。
 それじゃあお兄ちゃまは、誰としたいって思うんだろう。
 『おとなっぽい』といえば……咲耶ちゃんかな? 千影ちゃんかな?
 ……あ、妹じゃダメか。それならほかの女の人――
 と、そこまで考えて。
 花穂は……すごく胸が苦しくなりました。
 お兄ちゃまが、他の女の人とエッチなことをするなんて――
 ……こんなこと、妹の考えることじゃないかもしれないけど。すごく、イヤな気持ち。
 ほかのひととするくらいなら――
 それならいっそ……花穂に、してほしい……。
 ……お兄ちゃまは、きっと花穂をそういう目で見たことはないと思うけど。花穂が魅力的になれば……見てくれる、かな……?
『エッチは一番大切に想うひととするもの』って……本にはありました。花穂の一番大切なひとは、お兄ちゃましかいません。初めてはすごく痛いらしいけど……花穂も、いつかするなら……お兄ちゃまと……。お兄ちゃまなら……花穂はきっとガマンできると思います。
 ……お兄ちゃまのアレを、花穂のアソコに。怖いけど……大丈夫。お兄ちゃまなら、きっと大丈夫……。
 お兄ちゃまなら、きっとやさしくしてくれるの……。
『大丈夫だよ、花穂ちゃん。ボクにまかせて……』
 って、花穂の耳元でささやいて。そして、キスをしながら……花穂はだんだん服を脱がされて。この本の女のひとみたいに……胸とかいっぱいなめられちゃうんだ……。
 そんな想像をしながら――
 花穂のカラダはなんだかとても熱くなってきて。胸の先っぽのほうと、おまたのほうがムズムズしてきて……。
 自然に手が、のびていきました……。


  シスプリ劇場 「花穂編」その6

「んっ……」
 胸にふれると、くすぐったいような、ヘンな感じがしました。先っぽのほうがブラにこすれて、ちょっと痛いです。
 でも同時に、なんだかむずがゆくて……。
 もっと触りたいっていう気持ちが、どうにもガマンができなくなってきました。
「…………」
 少し考えてから、花穂は制服の上着の中に手をいれて、ブラのホックをはずしてみました。肌が空気にふれて……先っぽがきゅってなります。触るとちょっとかたくなっていて……しびれるような感じ。すごく、敏感になってるみたいです……。
「んんっ……。これが……んっ……、気持ちいいって、ことなの……かな……」
 さわりながら、きっとそうなんだと、花穂は確信しました。
 ……だって、指がとまらないんだもん。
 もっと、続けていたくて……かたくなった部分を指ではさんだり、こねたりするけど……。でもちょっと、ものたりない感じ……。
 ……そうだ。これが、お兄ちゃまの指だって思えばいいんだ。
 お兄ちゃまになら……恥ずかしいけど、花穂のおっぱい、見られてもいいし、触られてもいいもん。
 花穂は目を閉じながら……お兄ちゃまのお顔を想像します。
 ……この指は、お兄ちゃまの指。いま、花穂にふれてるのは……お兄ちゃま。
 きゅっ、って指でつまんでみると――
「あっ……!」
 びくん、ってカラダが浮き上がりました。
 いまの、全身がしびれたみたいな感覚にびっくりして、花穂は手をとめて呼吸を整えます。
 ちょっと刺激が強すぎたみたい。想像だけでこんなになっちゃうなんて、もし本当にお兄ちゃまにさわられたら、花穂、どうなっちゃうんだろう……。
「あれ……?」
 おマタのほうが、なんだかヘンです。水気のある布地が、肌にくっついて――
「えっ……やだぁっ」
 花穂は、あわてて起き上がって、スカートをめくってみました。
「あっ……」
 するとやっぱり、パンツが濡れていました。小さな染みになっています。
「う、ウソぉ……花穂、おもらししちゃったの……?」
 そ、そんなあ……。花穂、この年でもらしちゃうなんて……。
 泣きたい気分になってきたけど、ちょっとヘンなことに気づきました。
 濡れた部分にさわってみると、ぬるぬるしてるんです。
 おしっこでもないし、女の子の日でもないし……これって……?
「あ、そっか。もしかして――」
 花穂は、さっき読んだレディースコミックを思い出しました。
 男の子を受けいれるために、女の子がだすもの……。これが、愛液なんだ……。
 指でさわってみると、糸をひきました。
 びっくりしたけど……ちょっとだけ、嬉しい気分です。
 だって……これがあれば、お兄ちゃまを受けいれることができるもの。
 ……でも、これじゃ少ないかも。マンガだと、もっとたくさんでてるし。
 花穂は、おマタのほうに指をあてます。
 ……もっとだすには、さわればいいんだよね。
 花穂はゆっくりゆっくりと、ワレメに指をなぞらせていきました。
「んっ……んんっ……あっ……」
 腰のあたりが、びくびくってなって、熱くなっていきます。
 おしっこがもれるような……でも、ちょっと違う感覚。
 指先がどんどん濡れていって……頭の中もぼーっとしていきます。
「さわって……お兄ちゃま。花穂に、もっと……もっとさわって……」
 想像の中のお兄ちゃまが、花穂をどんどんヘンにしました。
 左手で胸をさわって……右手でワレメをこすって……花穂、どんどんえっちになっていくの……。
「あっ……あっ……んんっ……」
 カラダの奥のほうから、なにかがこみあげてきます。
 指がとまらないどころか……自然に、はやくなっていって……。
「だ、だめっ……花穂、もうっ……」
 右手と左手で……胸とおマタ、それぞれの、一番敏感な部分を刺激しました。小さな突起をきゅってつまんで――
「お、お兄ちゃまっ……あっ、ああぁぁぁっ!」
 カラダがびくびくってなって……腰が浮き上がりました。頭の中が真っ白になって……右手がびしょびしょになっていることだけが、わかりました……。
「はあ……はあ……はあ……」
 花穂は、しばらく動けませんでした。
 手もそのままです。まだカラダが敏感で、よけようとしただけでも刺激を受けてしまいそうだから……。
 そうして、しばらくけだるい感覚の中……右手のぬるぬるが冷たくなってきた頃、花穂はようやく冷静になってきました。
「花穂……いけないことしちゃったかも……」
 ……いま、花穂がしたのって、オナニーってなんだ。
 本の中に、そういう体験記事があったのを思い出します。
 最初見たときは、「うそぉ、こんなこと絶対しないよぉ」って思ったのに……。
「花穂って、えっちなコなのかも……。どうしよう、お兄ちゃまに嫌われちゃう……」
 お兄ちゃまには言えないことができてしまいました。しかも、お兄ちゃまにさわられることを想像してやったなんて……絶対に、絶対に言えません。
「うわーんっ、明日からお兄ちゃまのお顔、見れないよぉっ……」
 そんな不安と同時に……
 やっぱりお兄ちゃまにさわってほしいという思いが、強くなっていました。
 ……花穂はきっと、悪い妹です。
 ごめんなさい、お兄ちゃま……。

 

 つづく。