「香道一日教室」体験記


1.香道の歴史   2.香木について   3.組香   4.菊合香(体験!)


  去る9月13日、香道の一日教室に参加してきました。
アロマテラピー系の香りなら、お試し経験があるものの、
由緒正しい「香道」の世界は初めて。
 私とお香の出会いといえば、マンガの「あさきゆめみし」とか
氷室冴子さんの小説「ジャパネスクシリーズ」の
「この香りはあのお方!」などという台詞に「なんて雅なの!」
と、感動したことくらいかしらね〜。
というわけで、ワクワクしながらミーハー気分で行ってきました。

教えて下さったのは、「和
(なごみ)の会」の中尾和子先生です。

 
 1.香道の歴史


<はじまり>

 6世紀の始め、仏教伝来と共に「香」を焚く習慣も伝えられました。
文献上では、「日本書紀」に595年に淡路島に漂着した流木が推古天皇に
献上されたという記述があり、これが香木に関する最も古い記述です。

<奈良・平安時代>
 仏前にのみ供えられていた香ですが、奈良時代に来日した鑑真和上に
よって”練香(ねりこう)の作り方を伝授され、広がりが出てきました。
平安時代には、「薫物(たきもの)といいの上級貴族たちの生活空間で
さまざまに楽しまれました。
「歌合」 「絵合」 「貝合」 などとともに 「薫物合」も行われました。

<鎌倉・室町時代〜江戸時代>
 武士の時代になると、香りの好みに変化が見られます。貴族の好んだ
複雑で雅な香りよりも、スッキリとした一木の沈香が武士には好まれました。
 室町時代に、足利義政の理解と庇護のもと、連歌の趣を取り入れて
香りと文学の融合から生まれたのが香道です。
 江戸時代には、将軍を始め、経済力のある町人の間にも香のたしなみが
広がり、香道は発展し完成されていきました。

**香道一口メモ@**

  「香道の流派」
        御家流(おいえりゅう)・・・公家風
        志野流(しのりゅう)・・・・・武家風

<明治以後>
 明治維新後は伝統文化の排斥と西洋文化の流入によって、香道は
衰退の一途をたどりました。
 さまざまな混乱期の後、現代社会において、改めて日本文化が着目され
また、精神的・身体的「癒し」の面からも注目されてきています。

 
 2.香木について

<香木とは>
 よい香りの木であれば、何でも香木というわけではありません。
 香道に用いる香木は「沈香(じんこう)といいます。
上質のものほど水に沈みます。現代の科学でも、香木の正体はごく一部しか
明らかになっていません。しかも、どこで、どうやって取ってくるのかは、現地の
ごく一部の人にしか知られていないそうです。
 熱帯樹林で倒木に、何らかの菌が付着して、地中に埋もれて適度な温度と
湿度によって、長い時間をかけて、樹脂化したものだろうといわれています。

<香木の種類>
 香道に用いられる香木の種類は、香道独自の種類分けがあります。
木の育った場所の自然条件が作用するとして、産地・積み出し港の地名で
六ケ国(木所)としました。
 また、香りを適切に表現する言葉が無いので、五つの味に置き換えて
あらわします。これを「六国五味」といいます。

<六国五味>

六国(木所)

産地

伽羅(きゃら) ベトナム 苦 (にがい)
羅国(らこく) タイ 甘 (あまい)
真南蛮(まなばん) マナンバール しおからい
真那賀(まなか) マラッカ 無味 (むみ)
佐曾羅(さそら) サッソール 辛 (からい)
寸門多羅(すもんたら) スマトラ 酸 (すっぱい)

 3.組香

 香道とは、数種類の香木を組み合わせて、それぞれの香りを聞き当てる
「組香」(くみこう)のことを指します。
 香りを嗅ぐとは言わず「聞く」と言います。心の耳を傾けて香りと共に
文学的雰囲気を味わい、主題となっている自然の気配を聞き探ることに
起因しているものといえます。
 組香の主題は、和歌・物語・伝統行事・四季の風物などです。
多くは、和歌を「証歌」(しょうか)(組香全体をイメージするテーマソング)として、その趣を香りによって味わいます。

<組香の手順>

1.「試香」(こころみこう)
   それぞれの香木の特徴をおぼえるための香炉がまわります。
2.「本香」(ほんこう)
   試香に出た香に出なかった香をプラスし、順番が入れ替わって
   香炉がまわってきます。
3.特徴を思い出して「手記録紙」(てぎろくし)に答えを記入し提出します。
4.執筆(書記役の方)が記録紙に全員の答えを記入し、答え合わせます。
  最高得点を得た方に、記録紙が授与されます。


 4.体験!「菊合香」

<菊合香>
 9月9日は、古くから重要な五節句のひとつであると言われ、菊を愛で
菊酒を酌み交わし、災難をはらい長寿を祈りました。
この「重陽の節句」に、ちなんで菊を取り入れた秋の組香です。

<体験!>  
  香道について、基本的なことを教えていただいて、いよいよ
香席が始まります。まずは、今日の「菊合香」の証歌を味わいます。

秋風のふき上げに立てる白菊は
      花かあらぬか波のよするか

 白菊が風に揺れる様子が波打ち際の白波を思わせるわけですな。
ということをふまえて、っと。などと思っているとお手前(っていうのかしら)が
始まりました。香道のお道具にも興味津々だったのですが、お席が
少し遠かったので、いまひとつよくわからなかったです。
 ちょっと緊張していると、「試香」の香炉がまわりはじめました。
8人でひとつの香炉をまわして、香を聞きます。あんまり人数が多いと
香りが変わってしまうそうです。繊細なのね。

 いよいよ、まわってきました!!ドキドキ!! 
 直径8センチ・高さ8センチくらいの手のひらにすっぽりと収まるサイズです。
湯のみ茶碗っぽいなんて言ったら、先生に叱られてしまうかしら。
香炉には蓋はありません。香炉を左手の手のひらに乗せて、右手をドームの
ようにして香炉にかぶせて蓋をします。このとき右手の親指と人差し指で
○を作るようにすると、ちょうど蓋の一部分に穴が開きますよね。
ここから香りを聞きます。とてもひそやかな香りなので、こうして香りを集める
のだそうです。この穴から、お腹の底まで深く、香りを吸い込みます。
顔をちょっと脇へ向けて(香炉の中の灰が飛ばないように)息を吐きます。
 これを3回くりかえします。(本当は1回らしい。)
で、この間に、香りの特徴をおぼえるのです。

 最初は「野菊」。ちょっと甘い香り。シナモンぽいような・・・。
  2回目に香りを吸い込んだら、なんだか印象が違ってきたわ〜。
  3回目。うむむ〜。よくわからなくなってきちゃった。
 
 次は「夏菊」。名前の印象が強いのか、爽やか系?草っぽい感じがします。
  これも2回目・3回目とだんだん判らなくなってしまった。

 そして「秋菊」。これは高校の作法室の香り。その昔、茶道部だったのよ。
  お茶会のときの香りかな〜。懐かしいかんじがする。

さて、3種類の香を聞いたわけですが。香りは、あっというまに消えてしまう。
「香りを聞く」とは本当だわ〜ほんとうに一瞬なの。
覚えられるかどうかは集中力なのですわ!

ここで一休み。
はたして管理人@わかは違いのわかる人なのか??
「本香」編、こうご期待!!

**香道一口メモA**

 「香席の構成」香元(こうもと)・・・香席をすすめる人(香を焚く人)
            執筆(しっぴつ)・・・記録をとる人(書記)
            連衆(れんじゅう)・・・香席に連なる人(香を聞く人)

<「本香」編>
 さて、いよいよ「本香」がまわってきます。
先ほど「試香」で聞いた三種類「野菊」「夏菊」「秋菊」の他に「白菊」
プラスして、四種類の香の順番を入れ替えます。
 香木はハガキ大くらいの大きさの紙に包まれています。(紙の大きさは
見た目の感じです。包み方は、祝儀袋のような感じです。)
この包み紙が四種類とも同じで、混ぜてしまうので香元(香を焚く人)にも
どの香を焚くのかわからないそうです。
 後でそれぞれの香が何だったかを書いて提出するので、香を聞いたら
その印象をメモしておくと良いそうです。


 「一の香」
   この香りは”知っている!”そう、思いました。
   ・・・ということは試香で出されたものね。あまりに知っているという
   確信があったので、懐かしい「秋菊」かな?とメモ。

 「二の香」
   
?。???。なんだかよく判らない。
   どちらかといえばスッキリした感じなので、「白菊」or「夏菊」?

 「三の香」
    ん〜とね。一番目のに似ている。ということは、「野菊」かしら。
    あっ、でも・・・これが「秋」で一番目が「野」かな〜。
    決め手は無い。暖かな印象。美味しい香り。

 「四の香」
    ん?これは爽やかな雰囲気。これは「夏菊」かな〜。
    思い出せない・・・

 判らないって・・・(^^;)
香炉を四つ並べて、聞き比べをしているわけでは無いのですもの。
それぞれの香炉がまわって来るまでには、数分ずつは間があります。
ということは、最初の印象を覚えておくとはいっても限界が・・・。
一応、教えていただいた通りにメモをとりつつ、考えて見ました。
でも、考えたってね〜。もう、香りはどこかへ行ってしまってるもの。
昔、英検を受けた時の「ヒアリング試験」を思い出しました(笑)。

 四つの香を聞き終わったら「手記録紙」に記入して提出します。
手記録紙は、タテ16センチ×ヨコ12センチの半紙を縦四等分に折ったもの。
答えは紙を開いて中に記入します。で、答えが見えないように折って
その一番上に名前(下の名前だけ)を記入して提出します。
執筆の方が、全員の名前と答えを一枚の紙に記入していきます。
そして、答え合わせ。朱で点数が書き込まれて発表されます。

さんざん考えて提出した管理人@わかの答えは以下の通り。

1.秋菊   2.白菊   3.野菊   4.夏菊

結局は第一印象で決めてみました。

今回の「組香」では、次のように点数を付けます。
白菊が当たっていると2点。他のものは1つ1点。
その組の中で、白菊を当てた人が一人だけの時は白菊3点。
運がいいと当てた数が少なくても逆転勝利もあるのです。

【正解】  1.野菊   2.白菊   3.秋菊   4.夏菊

ということで、私は3点獲得!!(スバラシイ〜)
なかなか良かったということにしておきましょう。
ちょっとだけ違いのわかる管理人でした。
全問正解の方もたくさんおられたので、初心者向けでわかり易かったのかも。

管理人@わかにとって、いい香り=美味しい香り。
今回の体験講座で自分の印象を表そうとすると、必ず「美味しい!」という
イメージになってしまって。(表現力が乏しいわね・・・)
私にとって、美味しい=満足・幸せ のようですね。
「いい香り」は、何かを満たしてくれる。
まさしく癒されているんだわ。
そして、今回、特に感じたのは、香りを覚えるのには集中力がいるということ。
香りはそのシチュエーションそのものを覚えているものですけど、
たまには、自分の記憶を総動員させて、全神経で何かを感じるというのも
必要なのかもしれないです。ものすごく集中したら、なぜだかとっても
リラックスできるんだわ〜。

お気軽に参加できる機会があったら、是非試してみてくださいね!
管理人@わかの「一押し」です!

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