MERPとは

MERP(ミドル・アース・ロール・プレイング)はファンタジーの原点「指輪物語(The Load of The Ring)」、近年映画化され、ご覧になった方も多いはずですね。その舞台である「中つ国(middle−earth)」での冒険を楽しむことが出来るTRPGです。

製作はアイアン・クラウン・エンタープライズ社(略称ICE)です。
ICEは自社製品のTRPG「ロールマスター」用の背景世界として、中つ国を舞台とする「ミドルアース・キャンペーンシリーズ」を発表しました。
このロールマスターは精密な難易度の高いゲームでした。武器の種類は約30種、防具は20タイプに解れています。そして、それぞれの武器が、どのタイプの防具にどういったダメージを与えるかが事細かにかかれた表があり、呪文は2000以上、能力値は10個という具合です。ルールや資料は膨大な量になります。
この精密RPGに中つ国はピッタリの素材でした。ICEのミドルアース・キャンペーンシリーズは詳細な地図、生態系のデータ、気象データ、町や村、街道の状況とあらゆる物を取り揃え、指輪物語の研究書としても十分に価値のあるものに仕上がっていたと聞き及んでいます。
ですが反面、精密過ぎるという弱点が露呈してしまいました。有名な中つ国を舞台としていたので、人気は高かったのですが、ルールが難解で初心者(中級者にも(^^;)手軽に扱える代物ではなかったのです。
そこで、指輪物語をもっと手軽にプレイできるように、ロールマスターを元に製作したものが、MERPです。
汎用だったロールマスターから中つ国専用になったため、不要なデータ、ルールが削除されました。30種あった武器は4タイプに、20タイプあった防具も5タイプにまとめられました。能力値も10から6個に整理されています。難解さは影を潜めて、でも精密さはほとんど損なっていません。(難解さはそのままに、簡略されたとを言う人もいます。(^^;)
始めてのTRPGとしては少し難しいという気はしますが、何度かプレイをしたことがある人が一緒なら大丈夫でしょう。
さらに、MERPはロールマスターと基本をほぼ同じにしているので段階的にルールを追加することでMERPからロ−ルマスターに移行できます。事実、MERPではサポートしていない10レベル超はロールマスターを使って拡張するようにルールブックに記載されています。
(何じゃソレハ)
MERPは人気を集め、次々とモジュールが発売され、1987年ホビージャパンより日本語版が発売されました。
サプリメントやモジュールは次のものが出ていました。
ビルボやフロドも冒険中に立寄った裂け谷の館やエルフたちを紹介する、「リーヴェンデル」
ホビット庄の隣にある人間とホビットの共存する粥村での冒険を扱う、「粥村の冒険者」
モルドールの入口の一つ、キリス・ウンゴルと怪物シェロブを紹介する、「モルドールの門」
騎馬民族ローハンと彼等の王国を紹介する、「ローハンの乗り手」
エルフ語辞典の付いた「キャンペーンガイドブック2」
*「キャンペーンガイドブック1」は中つ国の全体図や歴史、キャンペーン指針について書かれていて、ローハンの乗り手に入っています。
海外ではもっと多くのものが発売されていました。邦訳版はすべて絶版です(TT)。

ゲームとしては素晴らしかったのですが、惜しむらくは、当時、指輪物語の知名度はそれほど高くなく、研究書籍などがほとんどなっかったこと、環境が整っていなかったのです。ですが現在は映画公開により、知名度も研究書籍も充実しています。10年前のアメリカに追いついたのです。指輪物語の環境は整っています。プレイするなら今です。名作の感動をゲームで追体験しましょう。

 

追記
MERPは原作を持つRPGなので、最低限「ホビットの冒険(ホビット 行きて帰りし物語)」ぐらいは(指輪物語とまでは言いません。)読んでおかなければなりません。(もちろん、映画でも問題ないですよ。もうすぐ家庭視聴用メディアも発売ですしね)ゲームマスターなら、指輪物語は何度か読破していてもらいたいところです。欲を言えば「シルマリルの物語」も読んでもらいたいです。
また、原作にはまりすぎて、ゲームが楽しめない、受け入れられない現象が発生するのは原作付RPGの弱点です。その点は注意してお楽しみ下さい。
ゲームマスターは中つ国らしいシナリオが頭に浮かぶように日々研究と精進です。