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テスターの使い方? 馬鹿にするなよ、知ってるよ(関西ではこういう言い方はしませんけどね)と言われるかもしれませんが最近手軽に購入出来るようになったテスターも動作がイマイチ分かっていない方を見かけます。
いまさら解説のこけら落としとして初回テーマはこれにしようと思います。

[写真1]
くまさん現用の針式テスター サンワのNA-210M

実用的な特徴は電池が3Vってところですね。
LEDのチェックも出来ます。
とは言っても超初心者まで対象にするととても1ページに収まらないので、テスター自体の取扱説明は製品付属の説明書にお任せして、測定上の注意点に絞ろうと思います。
参考になれば幸いです。

1.まずは内部抵抗の把握かな?
測定器を使うにあたって、その測定器を被測定回路に接続しても大丈夫か?という事を知っておかねば何を測っているのか分からなくなります。
[写真2]内部抵抗の表示例
私の使っている針式テスターは右の写真1のものです。
内部抵抗の表示はメーターの左下にあります。DC 100kΩ/Vと書いてあります。(写真2)
この数字は、1Vレンジだったら内部抵抗は100kΩです、という事を示しています。
実際に使うのは0.3/1.2/3/12Vの各レンジですから、各々30k/120k/300k/1.2MΩという事になりますね。
裏を返せばどのレンジもフルスケールは10μAということです。
ですから、そこに流れているであろう電流がこの値に近くなるとテスターを接続する事によって誤差は大きくなり、また回路の動作状態にも影響し始めるということです。

ご自分のテスターの内部抵抗を確認してみて下さい。
最近のデジタルテスターなどは比較的この値が高いと思いますが、針式の少し安いテスターだと10kΩ/V以下の物も珍しくありません。
この値が高い方が影響は少なくなりますが、低くても測定方法を工夫する事によって使える事もあります。

では実際の測定例を見てみましょう。

2.直流電圧を測る
内部抵抗が分かっていたら直流電圧の測定値は大体予想出来ると思います。
しかし、動作まで変わってしまうような事も予想して測らねばなりません。

回路1を見て下さい。
トランジスタ2段のスイッチング回路です。
回路の消費電流を抑えるために抵抗値が全体的に高く設計されています。
電源が5Vとか3.3Vのデジタル回路の場合は74HCシリーズなどを使うので負荷抵抗の値まで考えなくてもよいのですが、これらのICが使えない電池駆動の場合や12Vの回路などではディスクリート部品が使われますので実際にあり得る話です。

さて、この回路でQ1のコレクタ電圧を測定する場合を考えて下さい。
Q1がONの時はほぼ0Vというのが予想出来ますね。
問題はQ1がOFFの時です。

元々意地悪な定数にしてあります。(このままでも動かないかもしれない)
Q1のコレクタを測定するときにテスターの内部抵抗が20kΩ/Vだったらどうなりますか?
レンジは3Vだとすると60kΩということです。
丁度R3の100kと並列接続になるので、合成抵抗が40kより少し低くなります。(300÷8=37.5)
そのままの分圧比で計算してもQ2のカットオフ電圧に届かない事が分かりますね。

測定電圧=1.5V×{37.5/(37.5+100)}

これでテスターを接続すると動かない回路か出来てしまいました。
このような場合、測定している人は混乱してしまうでしょう?
今回のような簡単な回路の場合はすぐに分かってしまうでしょうが、100mV不足してしまうために不安定な状態になる事もあるので日頃からご自分のテスターの事を熟知しておく必要があります。

3.電流を測る
電流を測定する場合、フルスケールでどの程度の電圧降下があると思いますか?
電流レンジの拡張は分流器を使うので、抵抗値は変化しますが、どのレンジでもフルスケールの電圧降下は一定です。

これを知るには電圧と電流の感度最高のレンジを調べて下さい。同じレンジになっていませんか?
私のテスターの場合は0.3Vと30μAのレンジが同じです。
フルスケールが0.3Vと30μAなら内部抵抗10kΩになりますね。思ったより大きいでしょう?
つまり電圧降下は0.3Vという事になりそうです。
電流測定のトラブルはいずれもテスターの電圧降下による影響ですが、次のような例があります。
(1)比較的小さい電流の測定
比較的小さい電流を測定する場合、やはり電流レンジの内部抵抗が問題になります。
なにしろ30μAを測る時は10kΩの抵抗が直列に入っているのですから、低抵抗の回路では計れないということです。

色々な例が考えられますが、回路2を見て下さい。
R5によって負帰還をかけている回路です。
今頃はこういう回路を使う事も少なくなってきたかもしれませんが、高周波増幅段ならまだつかっていそうな回路ですね。
この場合エミッタ電流をどうしても測りたいなら、R5の両端電圧を測定して100Ωで割って算出した方が良いでしょう。
でないと、テスターを接続する事によって増幅器の動作が変わってしまい、本当の状態を知る事は出来なくなるからです。
理由はもうおわかりだと思いますが内部抵抗10kΩのテスタをR5に直列に入れるとエミッタ抵抗は10.1kΩになっちゃうんです。

また最近ではボタン電池1個で1年くらい動く製品も数多く、0.3Vの低下で回路が働かなくなる場合もあります。
「あ、電池なくなっちゃった」と勘違いしないように。
(2)比較的大きな電流の測定
電流レンジの電圧降下は同じと言いましたので、500mAくらいのレンジでも変わりません。
しかし良く考えて下さい。300mAフルスケールで0.3Vの電圧降下ということは内部抵抗は1Ωです。この抵抗値はどこからどこまでの抵抗値でしょう?実はテスターリードの刺さっているピンまでです。テスターリードの抵抗値は含みません。(これはあまり実害が無いのですが)
さて1Ωの抵抗が付いていると困る事はありませんか?
実は結構あるんですが気が付かないケースが多いです。
それは電源投入時の突入電流です。
実に短い時間ですが、入力側にコンデンサが入っているので電源回路の最大電流まで流れていることがほとんどです。

・・で何が起こるかと言うと、マイコンが立ち上がらなかったりします。

一般的にマイコン自体の消費電流よりも、マイコンで制御しようとするLEDやモータの電流の方が大きいです。(今なら常識ですがマイコン登場の時代は反対でしたよ。ウッソーって言わないように)
マイコンにリセットがかかってポートの状態が初期化されてしまえばこれらの負荷電流が先に流れる事も少ないのですが、マイコンにリセットが掛からない間は流れてしまいます。その引き金になるのがこの突入電流による電源電圧の立ち上がりの遅れの場合があるのです。
[対策]もっと小さい値の抵抗(0.1Ωとか)をテスターと並列に接続して電圧レンジで測りましょう。
測定結果が0.2Vなら実際の電流値は
I=0.2÷0.1=2Aと言うことになります。

測定の基本は被測定回路に極力影響の出ない条件を整えてやるということです。


4.直流抵抗値を測る。
カーボン抵抗や金属被膜抵抗などの抵抗器の抵抗値を測る場合は特別な注意は必要無いかもしれません。
実際くまさんは抵抗値はデジタルテスターのオートレンジで測る事が多いです。(何も考えずに正確に計れるから)
むしろ接触抵抗に気を付けるなど、テスターリードのお手入れをお忘れなく。
極性の無い部品の抵抗値が測るたびに違うなんてのも要注意です。リード先のメッキがこすれていることもありますから新しいリードに交換される事をお勧めします。
テスターリードって消耗品です。ちゃんと売っていますので販売店でお確かめ下さい。

参考までに、10年くらい放置しているとテスターのロータリースイッチが接触不良になる場合もあります。

5.半導体の良否を判定する
半導体の簡単な良否判定もテスターで行えます。
@ダイオードやトランジスタの端子間抵抗なら説明は不要でしょう。順方向と逆方向の抵抗値を比較して判断しますね。
 最近ではゲルマニウムタイプの素子は使われていませんので、逆方向の抵抗値は1MΩ以上を示します。
 ゲルマニウムダイオードの逆抵抗を測ると数10k以下を示すので順方向抵抗に比べれば高いけど不安になった時代があります。少しハンダコテで暖めると抵抗値が下がりますし、思わず「壊れているのかな?」と思った事もありました。
 この値が数100kΩ以下を示したら半殺しの状態です。気を付けましょう。
 また、半導体の壊れ方として、端子間がショートして0Ωになる場合もあります。

この範囲ならだいたいどんなテスターでも出来ます。
また、高抵抗の計れるテスターなら逆方向抵抗が劣化して低下してきた事も確認出来ます。

ALEDのチェック
これが出来ないテスターがあります。
単3電池が1本しか入っていないテスターではLEDの確認は出来ません。
LEDは最低でも2V必要(赤のLED)です。その他の色だともう少し高い電圧が必要です。

Bデジタルテスターの場合の注意点
デジタルテスターの場合は針式テスターと違って実際の電圧を被測定物に加えない場合が普通です。
抵抗レンジで計れるのは直流抵抗値ですから、加える電圧によって抵抗値の変化する半導体のチェックには不向きです。
代わりにのマークのついたレンジがあります。
このレンジなら0.7V位の電圧でちゃんと測りますがLEDのチェックは出来ません。

一度テスターのリード間の電圧をオシロスコープか何かで観測してみて下さい。
何か発見があるかも。

単純で手軽な測定器テスターですが、注意して使えば回路の色々な状態を知る事が出来ます。
知識面の技術武装をすればその範囲ももっと広がるでしょう。

これらのいまさら解説のページはこれで終わりではありません。
くまさんが書き忘れていた事や思い出した事を随時追加・加筆していきますので時々読みに来て下さい。
また何か変わっているでしょう。


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