きっかけは…
私は今、○○県内にある私立中学・高校で非常勤講師をしている傍ら、ワンダーフォーゲル部の活動に生徒とともに参加している。しかし中学、高校と一切スポーツをやったこともなく、まったくの初心者である。体育会系の数ある部活の中でひっそりと陰をひそめながら、地道にハードなトレーニングを積むその部活に、なぜ私が足を踏み入れることになったのか。
現在勤務している学校に非常勤講師として採用が決まったのは、昨年の四月のことである。「お好きなクラブにどうぞご自由に参加なさってください」と教頭先生に言われた私は悩んでいた。公立でも私立でも、これから専任の教員になるためには、部活の1つや2つは指導できなくてはならない。果たして今の自分に自信を持って指導できる部活があるだろうか。いや、ない。そこで、こう考えたのである。「体育会系の部活はやったことはないが、見ておいた方が後々都合が良い。体もなまっているからちょうど良い」と。さて次に、どの部活を見るかきめよう。野球は無理、バスケも無理、バレーも無理、卓球も無理…。いろいろ消していくと残ったのがワンダーフォーゲルだったのだ。高校時代に○○に両親と住んでいたせいか、自然は大好きだし、歩くのもまったく苦にならない。はて、顧問は…先ほどの教頭先生!である。勇気を出して参加を申し込んだところ、快諾&いきなりの山行へのご招待。キターーー!
かくして山の世界へとどっぷりと浸かっていくこととなる。家の中は山グッズや関連する雑誌、書籍などで溢れかえり、両親も呆れかえるほどである。(だって商品を見ると欲しくなるんだもん。と子供みたいなことを言ってみる。)後日談だが、両親は、私がすぐに山登りに飽きて長続きしないと思っていたらしい。
ともあれ、山登りは子供からお年寄りまでいろいろな人が楽しめるスポーツである。山の上ではそれまでまったく知らなかった方々と、あたかも既知の仲間であるかのように親しく会話し、美しい風景を共有することができるのが良い。人種も、性別も、年齢も関係ない。山――そこには国境を越えて、そこにたどり着いた者にしか見ることのできない、また誰の手にも侵されない、壮大な“別世界”があるのかもしれない。
私は、山を登るには技術的、精神的、体力的にまだまだ劣っているが、この山の会を通じてそれらを向上させていきたいと思う。そして、結婚して子供が生まれても、おじいちゃんになっても登り続ける。そこに山がある限り…。
星の王子様
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