●友達

 先日、ひょんな事から結婚式に出席する事になった。突然の事で少し戸惑ったが、知り合いであった新郎の人柄に惹かれて出席する事にした。今まで2次会には参加した事はあるが、今回は式からの参加。柄にもなく緊張してしまった。しかし結婚式は厳粛な儀式だが祝いの儀式でもあり、何か暖かいモノを感じる不思議な感動をもたらしてくれた。今までは結婚式なんて改めて挙げなくても・・・なんて思っていたが、少し心が動いてしまった自分が可笑しくもあった。

 式も終わり披露宴の席。私のテーブルは新郎の友人で占めており、初めこそ大人しかったものの、途中からは新郎をからかう余裕も出ていい雰囲気。私もカメラを持って会場をあちこち動き、ファインダーから彼等を見ていた。若い彼等は無邪気に、しかし純粋に楽しみ、祝福の意志を現していた。その姿を見て何故だか少し悲しくなり、嫉妬している自分に気付き、もっと悲しくなった。今、同じ立場に自分が立った場合に、あんなに泣いてくれる人がいるだろうか、俺の友人が結婚する時に果たして俺はこんなに純粋な涙が流せるのだろうか。若いから、と言って逃げるのは簡単だが、こんなにも豊かな感性を持った人に囲まれて初めて自分の心の荒廃に気づき愕然となった。俺は・・・俺は泣けなかった。いつまでも冷静な自分を責めながら、しかし感動したふりを装ってその場を過ごそうとした、いや、過ごしてしまった。

 今でもその違和感と後悔の念が俺の心に引っかかっている。俺の感性はこんなにも痩せてしまったのか。それとも、これが俺の本性なのか・・・





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