●Lady


まだ中学の頃だけど、ラジオから聞こえる声に恋をしていた。
地元だけのローカルな番組だけど、センスのいい選局と心地のいい声で
俺の心を捉えて離さなかった。まだまだ子供だった俺は、彼女の渋い選局が
何を意味するのか分かっていなかったが、ふと出てきた昔のカセットテープで
彼女の声を聞き、彼女の選局を聞き、やはり自分の感性は間違ってなかった、
彼女の感性は本物だったと、改めて感じた。
30年以上生きてきた俺の耳にも心地よく響く、さりげないがマイナーな曲。
彼女がどこでこんな曲を知ったのか、今となっては聞くこともできないけど、
まだまだガキだった俺の心にはさりげなく入り込んでいたようだ。

マイナー好きな俺の趣味は、彼女によって固定化されたのだろうか。





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