長野「まちづくり」見学記



KAZ 2007年8月18〜19日





 以前から都市交通や「まちづくり」などで話題に上っていた長野市ですが、夏休みの避暑?も兼ねて周辺各都市と合わせて巡ろうということになり、とも様・TAKA様と私で2泊3日(実質は1.5日程度の日程)で出掛けましたので、その顛末をば。


エムウェーブ付近の広幅員道路

8/19 ビックリの連続の一日

 昨日はしっかりと長野市街地を見ましたが、この日は長野市の東郊・鶴賀〜屋島エリアの見学をとバスに乗ります。長電バスは長野駅東口から屋島までしっかりと拡幅された道路を走ります。駅東口の「新交通の駅スペース」と噂される異様に広い道路空間から、長野市の新交通ルートと分かれる道路を進みますが、道路幅としてはこちらの方が広く、また沿道は業務集積もあり郊外部からの流入道路ともなっていますので、徹底した「広幅員道路」という状況に三人でニヤニヤと妄想を繰り広げてみたり・・・。
 そこから北へと歩き、木工団地から今度は川中島バスで長野駅へ戻ります。先の長電バス須坂屋島線、この川中島バス北屋島線、更に北側には長電バス平林柳原線、そして須坂屋島線の南には川中島バス大豆島線と、2kmと開けずにバス路線が設定されており、それぞれが20〜40分毎と(地方都市としては)高頻度運行となっており、長野都市圏での公共交通の「強さ」を実感します。長野市の交通政策で時折出る「軌道系でカバーできていないのは松代方面だけ」という言葉がありますが、これは裏を返せば「長野都市圏はほぼ全エリアが軌道系でカバーされている」ということであり、それも地方都市とは思えない驚異の状況ですが、その中でもこれだけのバス路線が維持されていることに、改めて感嘆しました。

 長野駅へ戻り、ここからは松本へ向かって出発します。11時23分発の快速みすず(313系3連)に乗ろうとしましたが、こんな中途半端な時間帯にもかかわらず空席がほぼ無く、見送って次の普通列車(12時00分発)に乗車。松本まで乗り通す利用者も多く、長野〜松本間の流動の太さを実感します。都市圏人口50万人程度の長野市と、30万人程度の松本市の間で鉄道が毎時2本・高速バスが1本設定されおり、両者の競争により鉄道側は往復1,430円(なんと35%もの割引)の企画きっぷを常時発売するなど、気軽な利用が促進される環境となっています。
左最上段−公園通り 右最上段−パルコ前広場
左二段目−中町通り 右二段目−中町通りの商店
左三段目−ナワテ通り 右三段目−女鳥羽川
左再下段−伊勢町通り

 松本駅前は人通りも適度にあり、きっちり整備された街区も整備時期が早かったこともあり、いい感じに馴染んできたという感じでしょうか。公園通りを暫く進み、パルコ前まで来てビックリ。都会的な「広場」ができているではありませんか。ただの広場にも見えますが、よく見るとそこかしこでイベントを実施していたり、フリーマーケットに使われていたりと、各自が思い思いに「使って」います。その先へ歩を進めても、街路はきれいに整備されており、一時の雑多なイメージは一新されています。本町通りも綺麗になっており、市街地の整備方法としても興味深く見ておりましたが、ふと横を見てまた驚き。
 以前は裏通り的なイメージの商店街となっていた「中町通り」ですが、古くから残る建築物をうまく活用しながら様々な業種を呼び込んでおり、観光客や「ぶらぶら歩き」といった層を中心に、人を呼び寄せているようです。歴史のある商家を活用しながらもサービスは現代風など、意外性があって歩くのが楽しくなります。
 中町通りと女鳥羽川を挟んで反対側の土手道が「ナワテ通り」、カエルのキャラクターで少し前に整備が完了した通りです。以前はバラック街の雰囲気が残る、古物商や生活雑貨を中心とした商店街でしたが、整備に際してはその独特な風情を残すべく市民が奔走し、風情は残しつつ近代的な基準もクリアする、面白い商店街になっています。
 横を流れる女鳥羽川も特徴的な事業が行われた河川で、1990年代から河川改修の際に景観や親水空間の演出などの工夫が盛り込まれた「先進例」となっており、他にも同様の事例が増えたとはいえ、今でもその風情は心和むものです。
 暫く女鳥羽川沿いを西進し、改めて駅方面に向かいます。途中で交差する伊勢町通りですが、ここも以前とは全く違う様相に化けています。広い歩道には水路が造られ、地方都市にありがちな狭い歩道に雁木よろしくアーケードを掛けただけの姿から一変しています。

 今回は松本城付近には行けずに終わりましたが、駅前からの市街地は面目一新といったところでしょうか。ナワテ通りの整備成功、伊勢町・六九通りの刷新、そして中町通りの変身、ダイナミックに変容しています。

 今回は交通面もそうですが、まちづくり面での「見どころ」が満載の行程でした。長野市と松本市、お互い競い合いながらも「連担都市」の様相を見せる都市圏ですが、大きく目立ちはしないものの細かな工夫・仕掛けが多い長野市、城下町というベースを活用しながら王道とも言える都市整備を行う松本市、全く違う性格の都市を見比べることができ、非常に興味深いものでした。都市がしっかりしてこそ、来訪者が増え、回遊が生まれる訳で、交通の面にも影響を与えるものです。こういった視点での「都市検証」というのも、非常に面白く有意義なものだと改めて実感しました。これからも、色々と「まち」を、交通を見て勉強していきたいと思います。

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