特集:マンガ原稿流出事件を考える。
030701 update
030703 ちょい修正
041017 「追記:マンガ原稿流出事件のその後」を追加しました。「さくら出版原稿流出事件を考える。」から「マンガ原稿流出事件を考える。」に改題しました。一部のリンクを修正しました。
050406 「追記:マンガ原稿流出事件のその後」に追記しました。
050502 「追記:マンガ原稿流出事件のその後」に追記しました。
目次
はじめに。
1)事件の経緯
2)作者と出版社の関係(原稿はだれのもの?)
2.1)破産関係(原稿を預けていた相手が破産してしまった!)
3)作者と古書店の関係(買った物は自分の物?)
4)作者は古書店に原稿返却を請求できるか?(どうすれば原稿は戻ってくるの?)
5)今回の事件で古書店は「善意の占有者」か。(不正品と知ってて買い取ったのか?)
6)まとめ……ちょっと待った!
7)著作物の譲渡権(著作権よ、もう一度)
8)最後に。(契約は大事。)
以上の記事は03年7月までに書かれたものであり、現状に即さない部分があることをご了承下さい。
追記:マンガ原稿流出事件のその後
追記:マンガ原稿流出事件のその後(B館MANGA
NEWSより)
今回の事件に関わる記事・コメントを時系列順に転載しました。(041017)
当時から時間が経過して、残念ながら多くの1次、2次情報が現在はリンク切れになっていますこと、どうぞご了承下さい。
030617
■マンガ家に無断で出版社から大量の原稿がまんだらけに流出!?(日々是無事)
日々是無事、どころじゃないひどい話。被害にあったマンガ家は複数の模様。
この場合、盗品あるいは不正品かどうかの認定がネックになると思われます。古物営業法そのものは盗品等の売買防止や被害の迅速な回復を目的とした法律で、特に盗品の扱いには罰則を含めた規定がありますが、警察が必要と認めて動かない限りは実効力はないように読めます。(19〜21条など。)(今回のケースは15条の3に照らしてどうだろうか?
1000頁を越える生原稿が持ち込まれた際、買い取り時に業者は不正品の疑いを持つものだろうか。まんだらけの扱うグッズ系アイテムのことを考えると量だけでは不正の傍証にはならないだろうが。)
でもって、描き上げて出版社に送った生原稿の所有権がどう管理されているかという問題。出版社は普通出版権を持っているだけなので、出版後の原稿はあくまで作者に返却されるべきものというのがスジ。ここは当事者間の契約に負うところも大きい。契約違反や盗難が立証できないと警察は動かないとなると、出版社が機能停止状態で連絡がとれない状況では、それこそ泣き寝入りに終わりかねない。
改めてマンガ業界の原稿管理の杜撰さが露呈された事例だと思う。
ただし最近の判例では、漫画家の原稿を紛失した出版社に対して賠償命令が出ている。(東京地裁平14・8・26判決)
→原稿紛失した出版社に賠償命令……(特ダネ生情報2002年8月号8/27)
→原稿紛失で学研に賠償命令=漫画「天使のたまご」作者勝訴(アニオタニュース02年8/28)
(Yahoo!や毎日の元記事は軒並みリンク切れ……。)
民事の損害賠償請求がひとつの方法だと思う。単行本未収録による損害推定や古物市場からの自費回収コストを請求する線はアリだと思うけど、相手出版社に対応、支払い能力はあるのかな?
030620
■さくら出版から大量の生原稿が流出した事件の経過と現状(井出智香恵のホームページ 6/19日記より)
被害はかなりの範囲に及ぶ模様。弘兼憲史氏も被害に。
事件の発端となった渡辺やよいのホームページ「日々是無事」に、過去にさくら出版から発行された初期作品シリーズの作品リストがアップされた。
030622
■さくら出版からの原稿流出問題についてまんだらけ社長がコメント(まんだらけ
社長部屋 目安箱No.117書き込み)
連絡があったものについては販売を差止めているし返却の意志はあるとのこと。
漫画家の原稿が流出する最大の原因は漫画家の怠慢ではないかという意見を含め、重要な問題提起だと思う。
出版社は、著作権者が設定した出版権に基づいて、著作物(原稿)を複製し出版することができる。しかし、出版権者自身が他人に対してその著作物の複製を許諾することはできない。原稿を受け取った日から6ヶ月以内に出版することや、慣行に従い継続して出版することが「義務」として定められていて、これらの義務に違反した場合は出版権を消滅させることもできる。また、別途契約がなければ一度設定された出版権も最初の出版から3年で消滅する。
著作権法の規定は、複製権者すなわち作者が、自分の作品に対して強い権限を持っていることを示している。作者はその権利に見合った責任を果たしているだろうか。
今回の事件では、
1)作者は出版社に原稿を横領された(原稿遺失、あるいは市場からの自費買い取り分の損害。別途原稿料の未払いなど。)
2)まんだらけは問題のある商品を掴まされた(今後「作者に」返却すると思うけど、その場合買い取りコスト分の損害。)
3)出版社は倒産して、対応・賠償能力なし
ということで、作者もまんだらけも損害を被ったことになるだろう。で、このような事態に至った原因は、原稿の管理が杜撰だった事に尽きる。これは作者と出版社が一番に改善していかなければならない点だと思う。
事件はまだ収束していませんが、原稿が著作権者の手元に戻って適切に管理、活用されることを望みます。
030623
■さくら出版からの原稿流出問題の経緯と現状については以下のサイトを参照のこと。
→渡辺やよいのホームページ「日々是無事」6/11〜
→井出智香恵のホームページ 日記6/19〜
→まんだらけ 社長部屋 目安箱No.116〜
作者と古物商と弁護士と警察が積極的に(かつ冷静に)問題解決に当たれば、変にこじれるような話ではないと思います。
(6/12、13にマンガ家が警察に何度も相談しているのに結果的に対応が遅れたのは痛い。)
損害賠償の実現は難しいかもしれませんが、できれば刑事で、そうでなくても民事で、出版社の関係者の法的責任を明らかにして今後の糧にできればと思います。
030625
■「さくら出版」原稿流出事件・関連リンク集(最後通牒(期間限定))
予想以上に根が深い模様。出版社が倒産し関係者が姿をくらませている状況では、まんだらけの対応次第では真相と原稿がヤミに葬られてしまう恐れもある。
警察の動きが鈍いと思う……。出版権絡みの業界の慣習ってそんなに不可解なものかしら?
030627
■流出漫画原稿、売らずに返して 弘兼憲史さん提訴へ(朝日)
030630
■「緊急特集:さくら出版原稿流出事件を考える。」(B館)←このページです
ここ数日に書き込んださくら出版原稿流出事件関連の文章をまとめなおしてアップしました。(状況が流動的なので期間限定のつもりです。)それにともなって、記事の元となる文章2件(昨日とおとといの分)を削除しました。
内容はこんな感じです。
1)事件の経緯
2)作者と出版社の関係(原稿はだれのもの?)
2.1)破産関係(原稿を預けていた相手が破産してしまった!)
3)作者と古書店の関係(買った物は自分の物?)
4)作者は古書店に原稿返却を請求できるか?(どうすれば原稿は戻ってくるの?)
5)今回の事件で古書店は「善意の占有者」か。(不正品と知ってて買い取ったのか?)
6)まとめ……ちょっと待った!
7)著作物の譲渡権(著作権よ、もう一度)
8)最後に。(契約は大事。)
普段馴染みのない法律関係をわかりやすくまとめようという意図でしたが、力不足を痛感しています。誤り等ご指摘いただければ幸いです。
030703
■『創』2003年8月号(7月7日発売)(創出版)
さくら出版マンガ原稿大量流出の顛末 渡辺やよい
さくら出版倒産とマンガ原稿流出事件 篠田博之(さくら出版前社長2名に直撃取材!)
など。
030704
■生原稿流出に有名漫画家たちの怒り(TBS)
「犯罪の話になるので話せない」かよ……。>さくら出版元社長(弁護士コメント)
■破産した出版社からマンガ原稿が大量流出(ANIMAXIS.com)
030706
■この度のさくら出版の原稿流出の件について(マンガジャパン)
■マンガ生原稿流出について(AMI-Web)
030707
■『創』2003年8月号 マンガ原稿 大量流出事件の怪(創出版)
締め切り直前に滑り込んだ巻頭記事2つ。
「さくら出版マンガ原稿大量流出の顛末 渡辺やよい」はホームページの日記をまとめて日記風の記事にしたもので、そちらをフォローしている人には新しい情報はない。後から事件を知った人が読めば事態の概要がわかりやすいだろう。「さくら出版倒産とマンガ原稿流出事件 篠田博之」は4P記事。こちらはさくら出版が破産に至る過程、マンガ家らによる集団訴訟の内容、元社長への取材、マンガジャパンへの取材などを記事にしている。原稿料未払い分の支払いを求めた01年の訴訟では、被告のさくら出版社長は答弁書も提出せず、裁判にも全て欠席。被告に約1890万円の支払いを命じる原告勝訴の判決が01年3月に出ている。驚くべきことに、この訴訟に先立って調べたところ、既にさくら出版は売り上げ1億5千万円を他社に債権譲渡していて、原告が差し押さえるべき財産がない状態になっていたという。事件後の対応を裏付けるような悪質さである。警察の動きが鈍いと言われているが、立件できなかったら法務の仕事を疑ってしまう。
030713
■「漫画原稿を守る会」が発足(川島れいこのホームページ、日記)
■渡辺やよいのホームページ、日記
[代表]渡辺やよい・バロン吉元・大島やすいち
[窓口]渡辺やよい・川島れいこ
[支持者]弘兼憲史・桜井美音子・井出智香恵・水島新司・里中満智子・村野守美・ビッグ錠・一峰大二・三浦みつる・日野日出志・関口シュン・森園みるく・御茶漬海苔・北川玲子・さかもと未明・眠ノ木葵(7/12時点)
■特集:弘兼憲史先生、原画流出に怒り 漫画と知的所有権(まんがたうん)
030718
■漫画原稿を守る会(公式サイト)
■マンガ原稿大量流出事件(続報)(ANIMAXIS.com)
030807
■「創」2003年9月号(創出版)、購入。
さくら出版マンガ原稿大量流出事件のその後 渡辺やよい
さくら出版原稿流出事件のその後 篠田博之
030817
■渡辺やよい氏のホームページ「日々是無事」の8/10、8/11に、さくら出版原稿流出事件についてマンガ業界と古書店の姿勢について書かれているが、原稿の管理問題について、現状のよくまとまった要約になっている。
根本的に何とかしようとするならマンガ家が交渉すべき相手は出版社だと思う。少なくとも「近代化」へと動くことが必要だ。個人的にこの問題については、まんだらけには当事者の責はあっても咎はないと思うし、その責も一方的に大きいとは思えない。さくら出版事件だけにこだわるならともかく、今後システムをどうにかしたいなら出版社や古書店と積極的に話し合ってルール作りをしていく必要がある。そして、出版社との交渉はもっと厳しいものになるだろう。
030831
■「漫画原稿を守る会」ミーティングと会見のお知らせ(日々是無事8/31)
関係者向け……ということでいいのかな。
マンガ家でも報道関係者でもないただのマンガファンのためにも、事後レポート希望。
■創作系同人誌即売会コミティア65へ行く。
「漫画原稿を守る会」の『漫画の生原稿を捜しています!』チラシなど受け取る。
030905
■「漫画原稿を守る会」が記者会見を開催(ANIMAXIS.com)
030908
■「漫画原稿を守る会」が初会合、不正流出防止求め声明(朝日)
関連:「漫画原稿を考える会」記者会見速報(漫画原稿を守る会)
030909
■人気漫画家の原稿流出で「守る会」結成(TBSニュース)
弘兼憲史氏やさくら出版の元社長が登場する3分半のニュース動画(TBS「ニュースの森」で放送されたビデオのよう)。
■漫画家:生原画大量流出「守る会」が返却訴える(毎日)
■漫画原稿の所有権確立へ 漫画家有志が守る会設立(Yahoo!ニュース)
■原画・原稿流出・回収の現実問題(まんだらけ 社長日記)
2003/09/09付の投稿。
言わんとすることはわからなくもない。で、具体的にさくら出版の原稿の時はどんな状況でどのような対応をされたのでしょうか?
●さくら出版原稿流出事件に関して「漫画原稿を守る会」の初会合&記者会見が9/8にあって、そのニュースが各方面に出ています。しかし、今回の報道で初めて事件を知った方や最近になって関心を持たれた方が、事件の概要と現状の問題点(法的問題や業界の慣習)を把握するためのまとまった記事があまりないのが残念です。
漫画原稿を守る会公式サイトのメイン掲示板などでは何度目かの議論ループが忍耐強く行われていますが、整理された記事があれば多くの人が助かるはずです。
事件の発端から事態の推移を精力的に書き込んでいる渡辺やよい(5/31〜)、川島れいこ(6/20〜)、井出智香恵(6/19〜)各氏の6月以降の日記ログに加え、「さくら出版」原稿流出事件・関連リンク集などから記事を漁って状況を理解しろというのはかなり大変です。(しかし本当に把握したいならやる価値はあり。)
公式サイトだと書けないこともあるし労力的にも厳しいのでしょうが……。
(うちの特集記事にしても7月以降の状況をフォローできていなかったりして、自分のことを棚に上げてなんだと言われても仕方ありませんが。)
根の深い問題なので、各ニュース記事を見てもいまいち全体像が見通せない気がして、すっきりしません。
なんというか、出版社サイドはだんまりを決めてじっと嵐の過ぎ去るのを待つ感じ?
もしマンガ家がまんだらけに刑事で勝ってしまったりすると(これは簡単ではないと見ますが)、マンガ家と出版者の関係はこのままずるずる行きそうで心配。
大量の日本製アニメが、ライセンスや著作権の意識がないままタダ同然で海外にたたき売られてずたずたに翻案された歴史を、どうかMANGAが繰り返しませんように。
030930
■毎日新聞の9月30日(火)付け朝刊で、今回の「漫画原稿大量流出事件」に関する記事が、ほぼ半面を使った大きな特集として掲載されました。(漫画原稿を守る会)
031005
■「漫画原稿を守る会」第2回ミーティング報告(漫画原稿を守る会)
10/4(土)に行われた懇談会の報告。素早い情報公開。
関連:漫画原稿を守る会2回目のミーティング(川島れいこのホームページ 10/4,10/5日記)
警察の認識の浅さには驚くばかりです。
■「原画返して!」、訴え続々=被害防止へ自衛の動きも−弘兼さんら(Yahoo!ニュース)
民事訴訟で論理をどう展開しているのかが知りたい。ことが裁判なので情報が出にくいのはある程度仕方がないけれど。「心を込めて描いたのに」とか「自分の子どものように愛着がある」とかの感情論は記事に載るけれど、大事なことはてんでわからない。(こういうこと書くと現場で頑張っている方に鞭打つようで心苦しくはあるのですが。)
031010
■「漫画原稿を守る会」メンバー、文化庁と2回目の会談(漫画原稿を守る会ニュース)
031021
■大量の漫画原稿がもどる!(漫画原稿を守る会ニュース)
関連:渡辺やよいのホームページ 日記10/21
10/17、さくら出版元社長が都内に保管していた大量のマンガ原稿が、原稿引き渡しを求めていた(株)大島プロダクションに引き渡された。現在「漫画原稿を守る会」有志の手によって原稿の確認と目録の作成が行われている。なお、返却された原稿の中に復刻単行本用の原稿は含まれておらず、またさくら出版以外の原稿も多く含まれているという。原稿の量が膨大なため、確認作業には時間を要する模様。
これは朗報。原稿流出に関する事実関係の解明が進むことを期待したい。原稿返却に進展があれば、原稿管理問題へ取り組む体制も取りやすくなる。
031022
■漫画:生原稿の一部戻る(毎日)
031023
■さくら出版のマンガ原稿、返却される(新文化)
■返却漫画原稿リスト(漫画原稿を守る会)
返却された原稿総数は21,327ページ、作者の数は196名にのぼるとのこと。
031024
■「漫画原稿を守る会」に大量の漫画原稿が戻る(ANIMAXIS.com)
031206
■新宿「ロフトプラスワン」で漫画原稿流出問題に関するトークライブ
(漫画原稿を守る会)
12/26(金)18:00〜19:30。
031216
■弘兼憲史の原稿もどる(漫画原稿を守る会)
■漫画原稿を守る会」メールマガジン 第5号 2003/12/12発行(井出智香恵のホームページ
日記12/16)
031221
■漫画原稿:古書店側が弘兼憲史さんに無償返還 和解成立(毎日)
■「まんだらけ」が弘兼さんの生原稿を無償返還(zakzak)
■<漫画原稿>古書店側が弘兼憲史さんに無償返還 和解成立(Yahoo!ニュース)
031230
(略)03年のトピックのひとつとして、さくら出版マンガ原稿流出事件に触れる必要があるでしょう。出版社が作家から原稿を預かったまま倒産し、作家への原稿料不払い、原稿の未返却のみならず、原稿の一部を古書店へ売っていたことが発覚し、業界に衝撃を与えました。当初、出版社元社長と古書店に感情的な批判が集中しましたが、事件の背景となった杜撰な原稿管理の実体も強く意識されるようになりました。執筆依頼から掲載、支払いまで口約束で行われることが当たり前の業界では、原稿の所有権すら曖昧です。今回の事件の被害者らが原稿返却を求めて作った「漫画原稿を守る会」は、預かり証の発行など、マンガ家の権利を明らかにするアイデアを出しています。しかし、この問題に関して出版社は完全に沈黙を守っており、マンガ家も立場の弱さを理由に反応は鈍いです。どちらの側も、長年享受してきたメリットを失うことを恐れて、厄介な契約問題・権利問題からできるだけ目を背けようとしているのでしょう。(略)
040301
■「漫画原稿を守る会」第3回ミーティング報告(漫画原稿を守る会)
裁判の結果と経過、会の今後など。
040421
■「−走る!漫画家 漫画原稿流出事件−」(渡辺やよい
著)創出版より5月上旬発売(渡辺やよい的過激倶楽部)
渡辺やよいの日記日々是無事の4/5〜に出版に関する漫画原稿を守る会との一連の騒動について記されている。
040426
■渡辺やよい先生『走る!漫画家〜漫画原稿流出事件』発売記念トークショー(まんがの森)
>場所:本店BSホール
>日時:5月26日(水曜)18時30分〜20時30分
>出演:渡辺やよい氏、弘兼憲史氏、里中満智子氏、みなもと太郎氏)
040501
■『走る!漫画家 漫画原稿流出事件』発売のお知らせ(漫画原稿を守る会)→amazon
040509
■「走る!漫画家」(渡辺やよい)創出版[amazon]。
件のさくら出版漫画原稿流出事件の当事者として文字通り走り回った1年弱の出来事を綴る。Webサイトの日記や雑誌「創」の記事などをこの一年追いかけてきた人間にとっては新味な内容ではないが、そこまでフォローしている人はどれだけいるだろうか。そういう意味でも一冊の本としてまとまったことに意義がある。文章は読みやすく迫力もある。
■「漫画原稿を守る会」を閉会いたします(漫画原稿を守る会)
→「漫画原稿を守る会」閉会のお知らせ
>会としての裁判の終結、ある程度の原稿の返却、会の世話人であった渡辺やよい先生の本の出版を機に、「閉会」とさせていただきます。
(閉会宣言より)
さくら出版からの漫画原稿流出事件をきっかけに作られた「漫画原稿を守る会」が閉会することとなった。公式サイトには閉会のお知らせとともに、会の代表である弘兼憲史の閉会宣言、世話人の渡辺やよい、大島やすいち、川島れいこの退任が告知されている。
会の発足から閉会までの主な動きをまとめてみる。
・流出原稿返却及び情報提供の呼びかけ(関係者への呼びかけ、webサイトでの告知や同人誌即売会でのチラシ配布)
・マスコミ向け記者会見の開催
・賛同者およびカンパを募る(カンパは後に閉じられた。)
・公式サイトの開設および運営
・被害者3名を原告とした、出版社元社長に対する原稿引渡を求める民事訴訟(裁判費用の一部をカンパで充当。裁判中に原告2名の原稿が下記大島プロへの返却原稿の中に見つかったため、2名は告訴取り下げ。残る1名によって裁判は続き、原告完全勝訴となった。ただし被告は裁判を終始欠席しており、返却や賠償の意思・能力は不明。)
・弘兼憲史個人による、まんだらけに対する原稿の販売差し止め請求裁判(原稿の無償返還で和解成立。ただし、被害原稿の盗難届が警察に受理されているため、出版社元社長に対する捜査は続行中?)
・渡辺やよい個人による、まんだらけに対する損害賠償金請求の民事訴訟(継続中。)
・文化庁職員との懇談(2回)
・出版社元社長から大島プロに原稿が引き渡される。(しかし復刻単行本用など一部の行方不明原稿は含まれていなかった。)作家196名分、計21,327ページの整理と返却作業。(現在までに約7割を返却。100余名の作家と連絡が取れないなどの理由で約6,000ページが引き取り手がない状態。)
・本事件を綴った渡辺やよいの著作「走る!漫画家」が出版
約10ヶ月の出来事としては決して少なくない。なにより、前代未聞の大量原稿流出事件を社会に知らしめ、業界の体質改善を訴えたことには大きな意味があると思う。世話人の方々の奮闘ぶりにあらためて敬意を表したい。
「漫画原稿を守る会」は、会の目的として以下の3つを掲げてきた。
・不正流出した原稿を取りもどすために全力を尽くします。
・漫画原稿の所有者は誰であるのかを明確にしていきます。
・漫画原稿の管理について出版社と話し合っていきます。
このうち第2項と第3項については、結果的に厳しい現実を突きつけられた格好となっている。作家と出版社の間で所有権を含めた権利関係を取り決めた契約書を作る慣習がなく、口約束で仕事が動いていく業界の体質と、作家と出版社の双方がその利点を享受している現実が、このような事件の解決と再発防止を難しくしている。しかも、明確な契約の存在が現場の負担になることを恐れる意識は根強く、性急な改革に対する抵抗も大きい。(これはアニメでも同じ。先日の下請法改正でも問題になった部分である。)
しかし、結局のところ最も割を食うのは末端の作家たちである。この事件の後、せめて納品書や預かり証を発行していこうとする意識はどれほど高まったのだろうか。大手、中小を問わず各出版社はほぼ完全に沈黙したままだ。
デジタル制作、デジタル入稿が当たり前になる時代がもう来ている。生原稿の意味も根本的に変わっていく。権利と管理の問題をおろそかにしたまま、出版業界はどこまで行けるのだろう。物書きとその作品で商売するプロとして、半歩でも前に進む姿勢、変化の可能性を見せて欲しい。
最後に一言。
会の世話人や賛同者が各個人サイトの日記に会の内情を自由に書き込み応酬し合うという歪んだ状況が続く中で、情報が降りてこない公式サイトの管理人として、一般の人々に対してもバランス感覚と誠意を失わず対応し続けたすがやみつる氏に、この事件をネットで追いかけたひとりとして感謝申し上げます。
040511
■「漫画原稿を守る会」顛末記(MSugaya's Weblog)
先日閉会した「漫画原稿を守る会」の公式ホームページ管理人を務めたすがやみつるが書く顛末記。会の組織、運営面での弱さがあらためて明らかに。本件に関心のある方には必読の連載です。
040520
■「漫画原稿を守る会」顛末記(MSugaya's Weblog)
「漫画原稿を守る会」公式サイトの管理人を務めたすがやみつるの視点からまとめられた顛末記。連載が一区切りついたので再掲。
040602
■[漫画原稿を守る会]未返却原稿・会計報告ページ
040623
■『創』2004年7月号。
・日本マンガの現状と漫画原稿流出事件 弘兼憲史×里中満智子×みなもと太郎×渡辺やよい
漫画原稿流出事件の記事は5/26にまんがの森で行われた『走る!漫画家〜漫画原稿流出事件』発売記念トークショーの内容をまとめたもの。
040827
■破産出版社からの流出原稿販売、まんだらけに賠償命令(読売)
■破産出版社からの流出原稿販売でまんだらけに賠償命令(ANIMAXIS.com)
■−まんだらけ裁判の続報です…判決が下りました−(渡辺やよい的過激倶楽部)
>「被告は原稿の所有権の確認を怠っており、所有権を得たとは言えない」と述べ、同社に約18万円の支払いを命じた。(読売記事より)
古書店側の善意による即時取得の主張が退けられ、売買された原稿の所有権は作者にあると認定されたようです。損害賠償額については原稿の売買価格などから算定。将来の再録の可能性による遺失利益が認められなかったことは平成10年の東京地裁判決(漫画原稿返却拒否事件)を考慮しても妥当な判断と思います。
マンガ界に衝撃を与えた事件であると同時に、マンガ家渡辺やよい個人にとって大きな負担を伴う裁判でしたが、本判決の重要性は疑いようもありません。判決文をどこかで読めないのかな……。
貴重なマンガ原稿が適切に管理され有効に利用されることを願って止みません。
041017
■−「まんだらけ」が控訴しました−(渡辺やよい的過激倶楽部【過激NEWS】)
>●一審の判決を不服として、まんだらけが控訴してきました。また裁判になります。
正直、時間もお金もかかります。受けるしかないと思いますが、今後のことは、
弁護士とよく相談して決めようと思います。(記事より)
040826の地裁判決を受けてまんだらけ側が控訴。さてさて。
050406
■ マンガ原稿流出事件の控訴審判決出る(渡辺やよい的過激倶楽部 過激NEWS)
■漫画原稿を守る会跡地(星海銀の日記 4/5,4/6)
>原稿の所有権が漫画家にあること、まんだらけの買取は善意取得にあたらないこと、という本件の争点は、すべてこちらの主張がそのまま認められました。(過激NEWSより)
大量の原稿を預かったまま破産状態となったさくら出版からマンガ原稿が流出し、まんだらけで販売されていた事件で、マンガ家の渡辺やよいがまんだらけを相手取って損害賠償を求めていた民事訴訟の控訴審判決が4/5に下った。04年8/26の東京地裁判決は、原稿の所有権は作者にあると認め、古書店側の善意による即時取得の主張を退けた。まんだらけに賠償金の支払いが命じられたが、まんだらけは不服として控訴していた。高裁判決は、1審判決を大筋で踏襲する内容だった模様。
050416
■4月16日、判決が確定しました。(渡辺やよい的過激倶楽部 過激NEWS)
>まんだらけは上告はせず、高裁の判決が確定しました。(記事より)
漫画原稿の所有権は作者にあると認めた貴重な判例になります。
長文おつき合い下さいまして感謝いたします。
「B館」--極私的マンガウォッチング-- は、マンガとアニメをネタにした基本的にお気楽な個人Webサイトです、ええ。